サイト制作の全てを叶える「Wix」。海外から日本への進出を成功させたCX(顧客体験)とは

Wixは、ウェブをもっと身近なものにし、すべての人がウェブサイトを手軽に運営できるようにしたいという想いから誕生した、クラウドベースのホームページ作成ツールです。
世界で1億8,200万人以上の登録ユーザーを有するツールとして、名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
無料版とサブスクリプションのサービスの提供を通じて、企業、団体、アーティスト、個人に至るまで、あらゆる人がインターネット上でのビジネス拡大、ブランド構築、ワークフロー導入を実現できるようになりました。
本社はイスラエル・テルアビブにあり、現在日本を含む世界9カ国に拠点を有しています。
今回は、Wix.com日本法人代表の積田英明さんに、Wixの考えるCX(顧客体験)について幅広くお話を伺いました。
インタビュイーのご説明

Wix.com
日本法人代表 積田 英明さん
2007年に当時のマイクロソフト株式会社に入社し、Technical Account Managerとして同社エンタープライズ向けクラウドサービス大手顧客を担当。
2012年Evernoteに入社し、法人向けサービスの立ち上げやNTTドコモ社と世界初の代理店契約の締結などを主導した。
その後、日本およびアジア太平洋地域の統括を担う同社日本法人代表を経て、2019年1 月にWix.comの日本法人代表に就任。
日本市場のさらなる開拓に向けた事業戦略やパートナー戦略を統括している。
クラウドベースのホームページ作成ツール「Wix」。シンプルと多機能の両立性が好評。
まず、貴社のサービスの概要や特徴について教えてください。

Wixが提供しているのは、クラウドベースのホームページ作成ツールです。
「誰もがウェブサイトを制作、運営し、ビジネスを成長できるようにすること」というビジョンを掲げ、活用の幅を広げて参りました。
自社ホームページやブログの立ち上げはもちろん、オンラインストア、ホテルやレストラン、レッスンなど予約システム、マーケティングやブランディング、顧客管理、見積もりや請求など支払い業務に関する機能など、さまざまなソリューションをワンストップで提供しています。
また、初心者からデザインのプロに至るまで、個々の能力に捉われる使用できる操作性も叶えています。
簡単な質問に答えるだけでAIが最適な文章、画像、レイアウトを自動で生成してくれる「Wix ADI」もあれば、高度なウェブアプリケーションの構築を可能とするサーバーレスのオープンな開発プラットフォーム「Corvid by Wix」も用意するなど、幅広いユーザー層にご好評いただいております。
日本のマーケットについて情報交換をしているうちに、Wixの社風に惹かれた。
なぜ現在の取り組みを始められたのでしょうか。

Wix自体はもともと、アビシャイ・アブラハミ、ナダブ・アブラハミ、ギオラ・キャプランという3名の創業者のアイデアから生まれたサービスです。
彼ら3人がスタートアップビジネスのサイトを立ち上げようとした時に、ウェブに詳しいという自信があったにも関わらず、かなり難航したんですよね。
プログラミングやデザインの知識をかき集めながらSEOの対策も行い、多大な時間と費用をかけながらどうにか立ち上げたそうです。
その時の苦い経験がWixというサービスをリリースするに至る根源となっていて、「専門知識がなくても誰でも簡単にホームページの作成ができるサービス」として、現在の姿になりました。
私自身がWixと出会ったのは、2018年です。Evernote Japanの代表をやっていた頃でした。
Evernoteは当時、海外主導で日本のビジネスマーケットに上手く浸透した稀有な企業として知られていました。
そのため、同じように日本に進出したいと考える企業様から、日本市場の特徴について共有してほしい、成功談や失敗談について相談に乗ってほしいと依頼される機会が多かったんです。
同様にWixの経営陣からも、直接イスラエルに来てプレゼンテーションしてほしいというご要望をいただきまして、それに対応したことがWixとの最初の接点でした。
Wixのオープンな社風と、共に働くことになるメンバーのスキルや能力に感銘を受けたこと、あとはイスラエルという国自体に興味を持ったこともあり、やり取りしているうちにご縁があって、2019年7月に日本法人を設立する運びとなりました。
一生に一度の機会だと思ってチャレンジしてよかったですよね。
日本のマーケットならではの特徴を掴み、日本のユーザーが扱いやすい操作性を叶えた。
それでは、当メディアの特徴であるCXについてお伺いします。現在CXを上げるためにどのような取り組みをされていますか?

顧客体験(CX)向上に対する取り組みは、いくつか行っています。
例えば、日本のマーケットに特化した対策をすることが挙げられます。
先ほども申しました通り、日本のマーケットは他国と比較しても特徴的で、他の国で上手くいったことをそのまま日本に適用しても、マーケットに受け入れられないことがよくあるんですよね。
なので、日本のユーザーが好むようなデザインテンプレートや決済手法を取り入れたり、アジア圏でシェアの高いLINEとの連携を強化したり、さまざまな手法を取っています。
他には、初心者向けのアクションを充実させることにも取り組んでいます。
「Web をもっと身近なものにし、すべての人がウェブサイトを手軽に運営できるようにしたい」というWix全体で掲げるビジョンの通り、ホームページ作成初心者、デザインに詳しくない人、プログラミング知識のない人でも簡単に作成できるようなサービスでなくてはという想いがあります。
どんなジャンルのサイトを作りたいのか、どんなテイストを好むのかなど、最低限の情報を選択・入力することで勝手にWixの方から内容を提案してくれるような機能を実現するシステムを導入しています。
Wixが今後大きく発展していくには、第一として強く深くユーザーのCX価値を考えること、Wixを選んでくれた方が自分の思い通りのサイトを作るためのヘルプページやツールなどを充実させることが考えられるのかなと思っています。
ウェブサイトづくりを担う制作会社やクリエイターからも選ばれるWixでありたい。
今後どのような取り組みをしていきたいですか?

今後、日本のマーケットにおける取り組みとして始めたいのは、ウェブ制作者のビジネス拡大を支援する、新しいパートナープログラムを強化することですね。
ここでいうパートナープログラムの対象は、ウェブ制作を行う制作会社やクリエイターに対する取り組みだと理解していただけると嬉しいです。
Wixは設立から10年以上に渡り、企業、個人、団体向けのウェブサイト制作プラットフォームとして発展してきましたが、近年、クライアントからウェブ制作を受注する制作会社やクリエイターの利用が増えてきました。
ウェブ制作をするためには、サイト構築からマーケティングに至るまで、さまざまな要素を組み合わせなければいけません。
そういった複雑な工程を形にしていくプロフェッショナルな方々をサポートするために、アカウントマネージャーを配置したり、業種や企業ごとのニーズに応じたカスタムソリューションを提供したり、リード獲得が期待できる「Wix Marketplace」への登録を促したり、さまざまな取り組みを行って参ります。
また、Wixを利用する制作会社やクリエイター同士が交流できるパートナーフォーラムを作ったり、パートナーバッジを付与することにより制作会社やクリエイター自身の信頼性を向上し、Wixでのサイト制作がよりしやすくなるような仕組みづくりも行っています。
自社内や個人単位でウェブサイトを作るシーンはもちろんのこと、制作会社やクリエイターがウェブサイトを作るシーンにおいてもWixを選択いただくことで、エンドユーザーの方々にとってもご満足いただけるような動きが取れるのが理想ですね。
編集後記
ウェブサイト制作が初めての人から、ウェブデザインを専門としているクリエイターまで、幅広いユーザーをターゲティングしたビジネス展開が特徴的でした。
ホームページ作成に必要な全ての機能がワンストップで利用できること、日本のマーケットに対応して決済機能やLINE連携を行うなど、さまざまな取り組みを行うことで、今後更にWixが広まっていくように感じます。
積田様、お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。
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