リクルートがゼクシィ縁結びを通して実現するカスタマーサクセスとCX(顧客体験)とは?

2015年にスタートし、累計マッチング数292万組、累計会員121万人と拡大中のゼクシィ縁結び。
そのプロダクトマネジメントグループのグループマネジャーを務める中西宏貴さんにインタビューを行いました。
インタビューの過程で見えたのは、リクルートとしての事業への向き合い方や環境変化への対応力でした。
ゼクシィ縁結びで実現するカスタマーサクセスとCX(顧客体験)はどのようなものなのでしょうか。
インタビューイーについて

株式会社リクルートマーケティングパートナーズ
縁結び・恋結びプロダクトマネジメントG グループマネジャー:中西 宏貴さん
出会いの選択肢を増やす
まず、貴社のサービスの概要を教えてください。

2015年よりゼクシィ縁結びをスタートしました。
総合婚活サービスとして、ネット・アプリの「ゼクシィ縁結び」、結婚相談所の「ゼクシィ縁結びエージェント」、パーティの「ゼクシィ縁結びイベント」の3業態を展開しています。
これらは全て、素敵な相手と出会いたいという思いを持った方をサポートするサービスです。
ゼクシィ縁結びは、無料会員でも使用できますが、お相手とのメッセージのやりとりなど行う場合は、月額2400円~という料金体系です。
個人情報を介することなくデートの日程を調整できる「お見合いコンシェルジュ」機能や、AIなどを活用した高精度の不正行動検知や、24時間365日パトロールや、人の目による画像目視確認といった、技術と人の両軸からサービスの安心・安全に取り組んでいます。
おかげさまで、ゼクシィ縁結びはオリコン顧客満足度ランキングの婚活マッチングアプリ部門で1位を獲得しました。
ゼクシィ縁結びエージェントは、明瞭な料金体系、専属コーディネーター、オンラインでの気軽な利用が特徴です。
料金は、入会金3万円、利用料月9000円~のみで、お見合い料や成婚料はありません。
新型コロナウイルスの影響を受け、非対面入会・オンライン上でお相手検索も可能なため、結婚相談所でもオンラインで活動を進めることが可能です。
ゼクシィ縁結びエージェントは、オリコン満足度ランキングの結婚相談所部門で3年連続1位を獲得しました。

3つのサービスを展開している理由はなんですか?
3つの軸で展開しているのは、総合婚活サービスとして、どんな出会い方やどんなスピード感で出会いを求めているのかというニーズにあわせて、包括的にサポートしていくということを掲げているからです。
出会いというカテゴリーに絞れば、相席や街コン、合コンなどといった様々な出会いの手段があります。
一方で、カスタマーがそれぞれのサービスに持っているイメージや、求めるサービス内容は異なっているはずです。
例えば、悩み事があった際に、人にアドバイスをもらいつつ一緒に相談しながら解決方法を決めていきたい人もいれば、アドバイスはほしいけど最終的には自分で解決方法を決めたいという方もいると思います。
前者であれば結婚相談所、後者であればアプリが向いていますね。
人の好むコミュニケーションスタイルを考えた結果がこの3つです。
どのような方が利用されていますか?
ネット・アプリゼクシィ縁結びの年齢層は、28歳くらいから30代前半の方が一番多いです。
また、結婚相談所であるゼクシィ縁結びエージェントでは、徐々にカジュアルなイメージになってきていると思います。
弊社の会員では、20代の会員の方も多くいます。
これは若い人にとって、婚活のサービスを使うことに抵抗がなくなってきているということであると考えています。
20代または20代を過ぎた少し先で、結婚を見据えた出会いを求められている方が多いです。
結婚・恋愛相手を探すことが当たり前で身近なものに
なぜ現在の取り組みを始められましたか?
真剣な出会いを希望する全ての人が素敵なパートナーを見つけるために「当たり前に」「身近に」ご利用いただけるサービスとなること、積極的な結婚・恋愛相手探しが当たり前のライフイベントになっていること。
この2つの世界の実現を目指しサービスを立ち上げました。
ゼクシィ縁結びをスタートした2015年は、人口減少に伴う婚姻組数の減少や、50歳時未婚率の上昇など、社会問題となっていたときでした。
ゼクシィブランドとしては、「結婚したい、結婚してよかったと思えている人々が増えている世界を目指す」をビジョンに掲げていますが、実際に、恋人がいない・できない理由としては、「出会いがない」という課題が顕在化していました。
そこで、ゼクシィとして婚活事業をスタートすることにしました。
スタート当初から現在までに市場の変化はありましたか?
婚活サービスの利用経験割合は、約4人に1人となり、中でもネット系婚活サービスが伸びており(リクルートブライダル総研 婚活実態調査2019)、マッチングアプリは、出会うための手段の一つとして当たり前になってきました。
弊社がサービスをスタートした当初は、「HAT、いわゆる、恥ずかしい・怪しい・高い」といったイメージがありましたが、今までの出会い系のサービスとは違う、安心安全のものであるということが徐々にカスタマーに浸透してきました。
そのため、マッチングアプリを使ってもそれを話すことを恥ずかしいと思わない雰囲気になってきています。
結婚式の馴れ初めなどでもマッチングアプリで出会ったことを紹介している人も多くいます。
様々な企業が参入していることで、いろいろな機能も出てきており、その結果、世間の認識につながってきたという感じです。
大切なお相手と出会えるように

それでは当メディアの特徴であるCXに関してお伺いします。現在どのようなCXを上げる取り組みをされていますか?
最終GOALは、ユーザーが大切なお相手と出会うことです。
そのためにやっていることは3つあります。
1つ目が、オンライン上で完結できることです。
メッセージのやりとりや、個人情報を介することなくデートの日程調整機能など、実際に会うまでに必要なことはオンラインで完結できるようにしています。
2つ目が、価値観診断です。
18個の質問に答えることで自分の価値観や恋愛傾向が分かります。
「ゼクシィ」利用者6000人の調査結果から、どういう人とどういう人の相性が良いのかという事を分析したデータです。
3つ目が、相性のいいお相手紹介機能です。
価値観診断の結果に合わせて、まだ自分が気づいていない相性の良い人を毎日4人紹介しています。
相性が良い部分だけではなく、二人の相性注意ポイントも教えてくれるので、コミュニケーションをとる際に役立ててもらえると嬉しいと思っています。
相手を探すときにプロフィールで検索すると思うのですが、そこに対して取り組んでいることはありますか?
年収や働き方、結婚をいつしたいかというのは、ユーザーによって考えが違います。
ただし、検索時に絞るものがあればあるほど、絞ってしまい、出会いの機会損失につながることにもなります。
そのため、どこが最適なのかを常に見極めながら改善を重ねています。
オンライン化が進むからこそリアルの価値も届ける

今後どのような取り組みをしていきたいですか?
オンラインとリアルの価値の融合により、その人にとって最適な出会いのサポートができるサービスに進化していきたいと考えています。
今回のコロナウイルスの影響により、生活やコミュニケーションスタイルは一変していくと考えています。
例えば、オンラインMTGなどは今までも存在していましたが、コロナでその手段しか取り得なくなったことで一気にオンライン上でのコミュニケーションが進み、実際に使用してみるとさして抵抗がないということもあったと思います。
それを受け、婚活の市場においてもオンライン化が進み、出会いが「より便利に」&「より手軽に」なっていくと思います。
「恋愛=会ってデートする」という手段しかなかったものが、「オンライン上で相手を事前に知った上で、会ってデートする」というようになっていくかと思います。
しかし、それと同時に、「リアル(対面)の価値」や「人が介する価値」も改めて大きくなると思います。
これまで以上に、その人に最適なサービスの使い方や出会い方の選択肢を増やし、時には「リアル(対面)」や「出会いのプロのアドバイス」なども提供していきたいです。
目の前のカスタマーをファクトとして追い続ける
それでは最後に、中西様がゼクシィ縁結びの事業を通じて実現したい想いを、お聞かせください。
ゼクシィ縁結びを通じて、素敵な相手、大切なお相手に出会っていただくことです。
これからも多くの方にいい出会いを見つけていただきたいです。
そのためにひとつひとつの事を丁寧に考えていきたいと思います。
編集後記
婚活、恋活のマッチングをトータルでサポートする「ゼクシィ縁結び」の中西さんにお話を伺いました。
短期間で3つの領域に同時に取り組み成長させているところに、ゼクシィ縁結びとしての社会課題への思い入れを感じました。
CX向上のために、機能の拡充だけでなく、必要なものと邪魔になってしまうものの取捨選択のバランスが重要なようです。
今後も事業の成長だけでなく市場に変革を起こしていかれるのが楽しみです。
中西様、お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。
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