再配達率5%以下に。物流業界の社会課題に取り組む「OKIPPA」の挑戦

再配達率5%以下に。物流業界の社会課題に取り組む「OKIPPA」の挑戦

ネットショッピング利用者が爆発的に増加したことにより、大きな社会課題となりつつある再配達問題。

Yper株式会社が提供する「OKIPPA」は、そんな再配達の増加に悩む配送会社や大手ECサイトのみならず、不動産管理会社、自治体をも巻き込んだ新たな物流サービスとして成長を続けています。

学生時代の海外のNGOや国際機関でのインターン経験、会社員時代の海外駐在を通じ、改めて日本の宅配インフラのクオリティの高さを再確認したという内山さんに、「OKIPPA」を立ち上げた経緯と同ビジネスにかける想いについてお伺いしました。

インタビューイーについて

再配達率5%以下に。物流業界の社会課題に取り組む「OKIPPA」の挑戦_インタビューイー

Yper株式会社 代表取締役 内山智晴さん

1985年生まれ。京都大学大学院地球環境学舎修了。

海外NGOや前職である商社勤務を経て、2017年8月にYper株式会社を設立。

出典:Yper株式会社

再配達に苦しむ様々な立場の皆さんを救う新たな物流サービス「OKIPPA」

まず、貴社のサービスの概要を教えてください。

置き配バッグ「OKIPPA」は、玄関口に専用のバッグを吊るしておくだけで、不在時でも荷物が受け取れるというサービスです。

一般的に「置き配」というと、段ボールの荷物をそのまま玄関の前に置いておくことを思い浮かべる方が多いと思いますが、「OKIPPA」はどちらかというと簡易的な宅配ボックスというイメージが近いです。

鍵付きの専用バッグをワイヤーを使ってドアノブ等にぶら下げておくだけで、あとは配送員の方が荷物を入れて施錠してくれるため中身がわかりませんし、配送ラベルを見られてしまうこともありません。プライバシーが気になる方も安心してご利用いただけます。

また、マンションやアパートでは防災の観点からも大きな荷物を廊下に置けないことが多いですが(注1)、「OKIPPA」は一瞬で13cm×13cm×5cm程の大きさに折り畳めるため、他の居住者に迷惑をかける心配もありません。もちろん取り付け工事や面倒なセッティングも不要です。

原則、税込3,980円の専用バッグを購入いただければそれ以降の追加料金はかかりません。

アプリと連携させると荷物の配送状況が分かったり、荷物到着が通知されたりと、アプリと一緒に使うと、気軽に置き配を始められる以外のメリットがあります。

注1)2020年3月に実施された、国交省と経産省主催の置き配検討会(第5回)では、宅配物など避難の支障とならない少量の私物を暫定的に置く場合、消防法違反にならないとの見解も発表されています。(P10)

参考:https://www.mlit.go.jp/common/001335954.pdf

再配達率5%以下に。物流業界の社会課題に取り組む「OKIPPA」の挑戦_サービス

出典:Yper株式会社

どんな方が利用されているのでしょうか?

専用バッグのご利用者数は現時点でおよそ15万世帯ほどです。

年齢層は30~40代の方が多く、男女比率は4:6ほどで、週に1回程度ネットショッピングを利用する、いわゆるECヘビーユーザーに分類される方がほとんどになります。

プレミアムプランをご利用いただいている方は、月々100円という価格も影響しているのか、引越しや生活環境の変化といったことを除いてほとんど解約されることはなく、継続率は90%以上をキープしています。

日本の「インフラ改善」をソフトとハードの両面でサポートする

なぜ現在の取り組みを始められましたか?

学生時代から人々の生活に深く根ざしたインフラ産業という分野に興味があり、海外のNGOや国際機関での経験後、前職である総合商社でもずっとインフラに関わる仕事に携わりたいという気持ちをもっていました。

インフラというと大規模な施設や水道・電気など公共サービスのような印象が強いですよね。

しかし、当時ちょうど「Uber」や「Airbnb」などの新しいサービスが日本に上陸した頃で、驚きを持ちながらもみんなが使い始め、少しずつ生活の様式が変わっていくということを体験したんです。

そこでハード面だけでなく、ソフト面からでも人々の生活に深く関わる「インフラ」を改善していける時代なのではないかと考え、日本で徐々に大きくなりつつあった再配達問題に目を付けたのが「OKIPPA」を開発したきっかけです。

再配達問題には誰もが気付いていながらも、「儲からないから」という理由で手をつけられていないという現状があるように思いました。

しかし再配達問題で困っている人が多く、EC利用はさらに活性化する傾向にあったので再配達問題はますます深刻化すると感じ、「課題を解決する仕組みを作りたい」という一心で取り組んできました。

配送会社だけでなく、ネットで商品を売るメーカーだったり、ものを送る側の荷主だったり、もちろん荷物を受け取る個人の皆さんも、様々な方を楽にできるような価値を生み出し続けたいですね。

必要だと思った瞬間に、気軽に使えるサービスにしたい

それでは当メディアの特徴であるCXに関してお伺いします。現在どのようなCXを上げる取り組みをされていますか?

ご利用いただいているユーザーの皆さんがどんな感覚を持っているかは一人ひとり異なりますが、最も気になる点としてはやはり「盗難が起きた場合どうなるか」ということだと思います。

そんな皆さんのためにOKIPPAでは、2008年7月に「置き配保険™」を東京海上日動様と共同開発し、9月のOKIPPA一般発売当初から提供しています。

30日間に100円でプレミアムプランに加入いただくと、万が一、OKIPPAに配達された荷物が盗難が遭った際に補償として最大30,000円までを当社が負担するサービスです。

これまでの傾向から、高価なものを購入される方でも盗難被害を受けた際に補償が受けられるプレミアムプランを利用されない方もいらっしゃいますし、安価な日用品を中心に購入される方がプレミアムプランに加入されているというケースもあります。

そんな様々な利用状況に対応するために、今年の7月29日よりプレミアムプランに加え、無料でご利用いただける補償サービス「盗難サポート」の提供を開始しました。

プレミアムプランの最大補償額30,000円に対し、「盗難サポート」は最大5,000円となりますが、OKIPPAバッグをアプリと連携して利用されるすべてのユーザーの皆さんが無料で利用できるので、より安心してOKIPPAを活用いただけると思います。

日本は治安がよく、世界でもトップレベルで盗難が起きにくい国だと思います。しかし、それでも今後さらに「置き配」が広まっていけば、盗難が発生する可能性はゼロではないと思います。

OKIPPA利用時の補償や対策の選択肢を増やすことで、より一層安心して利用いただければと考えています。

また、小さなことですが、OKIPPAバッグを購入いただいた際にバッグのお届け自体が再配達にならないように、ポスト投函できるパッケージサイズにしていたり、習慣としてOKIPPAを継続利用いただき再配達削減効果を高められるように、バッグの付属品は無償交換したりと様々な工夫をしています。

再配達率5%以下に。物流業界の社会課題に取り組む「OKIPPA」の挑戦_補償

出典:Yper株式会社

再配達に関わる全員を巻き込んでいく。認知拡大も使命の一つ。

最後に、ビジネスにかける想いと今後の取り組みについてお聞かせください。

近年では再配達問題が大きな課題としてメディアでも取り上げられることが多くなりつつあります。

徐々に「置き配」も一般的になってきましたがまだまだ浸透しきっているとはいえず、もっと認知拡大に取り組む必要があります。

現在Rakuten EXPRESS様と協業し、楽天市場内の複数のECサイトで商品を購入すると購入手続きの中で「OKIPPAに商品を入れておく」という項目の皆さんが選択可能になっています。

置き配をより簡単に利用できるようになっていると思います。

再配達率5%以下に。物流業界の社会課題に取り組む「OKIPPA」の挑戦_楽天

出典:Yper株式会社

また、配送会社の皆さまにもどんどん認知いただいているほか、不動産管理会社向けサービス「OKIPPA for 不動産」を提供し、管理会社さんからの居住者向け冊子で紹介してもらっています。

直近では、レオパレス21様が入居者の利便性や安全安心な住環境整備のため、全国57万室の宅配ボックスとしてOKIPPAを推奨してくださっています(注2)。

さらに、最近では新型コロナウイルス感染対策の観点から、複数の自治体の皆さんと協力し、住民の方が非対面で荷物を受け取ることができる機会を拡大したりと (注3)、様々な施策を実行しています。

今後もこの流れを止めず、再配達で困っている方全員と接点をもち、物流業界全体を巻き込んでみんなで課題を解決していきたいと思っています。

ビジネス的な観点でいえば、物流と「OKIPPA」、スマートフォンアプリなどIoTで連携させることができれば、インターネット経由でモノやサービスを販売するメーカー、運送会社などともいろいろな面でタイアップしていくことができると思います。

特に最近事業コンセプトを発表した「エシカル&サステナブルバッグ」では、業界の枠を超えた多様なパートナー企業とコラボレーションして、玄関前の可能性を広げ、利便性を高めながら、共に社会の課題を解決できると思っています(注4)。

直近の目標は、来年のオリンピックまでに「再配達5%以下」にすることです。

最終的には100万人の皆さんに「OKIPPA」をドアにぶら下げて活用いただいて、再配達問題を解決するというゴールに向けてアクションを取り続けたいと思います。

現在皆さんが使っているエコバッグのように、どなたでも気軽にまずは体験していただければ嬉しいです。

注2)置き配バッグ「OKIPPA」、レオパレス21物件全国約57万室の宅配ボックス環境に採用~入居者の安全で安心な住居環境をめざし国交省推奨の置き配環境を整備~

注3)沖縄県北中城村、簡易宅配ボックス「OKIPPA」を住民に無償提供~全国初の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」OKIPPA活用事例~

滋賀県大津市、置き配バッグ「OKIPPA」2,000個を住民に提供~中核市初の「新型コロナ地方創生臨時交付金」活用宅配バッグ普及事例~

注4)置き配バッグOKIPPAを環境配慮型再生素材RENUで製造開始 ~「エシカル&サステナブルバッグOKIPPA」で再配達問題解決を通じたサーキュラーエコノミーの構築を目指す ~

編集後記

深刻化する社会問題に対し、多くの方に少しの行動を促すことで解決に導こうとする内山さんの熱い思いが伝わるインタビューでした。

コロナウィルスの影響で、配送業者の負担は一層大きくなっているのかもしれません。

「OKIPPA」が今後の日本の物流業界をどのように変えていくか、注目していきたいと思います。

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