サブスクリプションサービス「WonderBox」を通じて提供する想いとCX(顧客体験)

子どもたちの知的なわくわくを引き出すサービスを開発、提供しているワンダーラボ株式会社。
その中核をなす思考センス育成アプリ「シンクシンク」と「ワンダーボックス」はともにサブスクリプションサービスとして順調に会員数を伸ばしています。今回は、事業責任者としてサービス開発をされている鳥居さまにインタビューを行いました。
お話の中で見えてきたのは、2020年4月にリリースされた新サービス「ワンダーボックス」の、リリース初期ならではのCX向上に向けた地道な活動でした。
インタビューイーについて

シンクシンク事業責任者・ワンダーボックス開発チーム:鳥居 亜紀様
東京大学教養学部卒業。
2008年三菱商事入社、A.T.カーニーを経て、2018年にワンダーラボに参画。
メキシコ育ち。三姉妹の母。
わくわくが詰まった自由な遊び

まず、貴社のサービスの概要を教えてください。
世界中の子どもたちに考える楽しさを広めたいという思いから、4〜10歳を対象にした楽しく遊びながら思考力を伸ばせるアプリ教材「シンクシンク」をスタートさせました。
サブスクリプションサービスで、無料コースに加え、月額300円のスタンダードコース、月額980円のプレミアムコースをご用意しております。
その後、2020年4月にSTEAM教育分野の新しい通信教育サービス「ワンダーボックス」をリリースしました。
多くの子ども向け通信教育サービスは教科学習を主な目的としていますが、ワンダーボックスは子どもたちの好奇心をひきだし、感性や思考力を育てることを目的としています。
デジタルとアナログを組み合わせて、プログラミングやアート、パズルなど、多彩なコンテンツを毎月お届けしており、月々3,700円からご利用いただけます。
競合他社との差別化や違いとして意識していることはありますか?
通信教育という枠の中では、学習補助を目的としているサービスが多く、直接的な「競合」をターゲティングして、そのサービスと差別化するというような発想は持っていません。
コンテンツやサービスを作り上げる際、意識していることは、過度な味付けの排除です。
子どもにコンテンツ自体を楽しんでもらい、わくわくを引き出したいと考えているため、報酬や収集などの味付けをできる限り少なくしたいと考えています。
世界中の子どもたちが持っている知的なわくわくを引き出す

なぜ現在の取り組みを始められたのですか?
弊社は研究授業を通して、コンテンツの開発・ブラッシュアップを行なっています。
目の前にいる子どもたちのわくわくをいかに引き出すか、という気持ちを元にコンテンツを開発していった結果、コンテンツの幅が自然と広がっていきました。
これまではアプリ教材が中心でしたが、子どものわくわくを引き出すという目的のためには、アプリという枠に捉われない方がより魅力的なものを生み出せると考え、そこから、アプリとキットを組み合わせた形のワンダーボックスが生まれました。
弊社のミッションは ”世界中の子どもが本来持っている 知的なわくわくを引き出す” ことです。
私たちのコンテンツ開発に「これからの時代にはこういうスキルが求められるから、そのスキルを身につけさせよう」という発想はなく、今この瞬間に、考えることや試行錯誤すること、つくりだすことを「楽しい!」と感じる経験をたくさんしながら育つことが一番大事だと考えています。
そのような体験を重ねて育った子どもたちは、きっと私たち大人が予想もしない世界を作っていってくれるのだろうと考えています。
わくわくを引き出し、共感を生み出す

それでは当メディアの特徴であるCXに関してお伺いします。現在どのようなCXを上げる取り組みをされていますか?
弊社のサービスのエンドユーザーは常に2人以上いらっしゃいます。実際のユーザーであるお子さまと、購入や継続の決断をする保護者さまです。
サービスの購入を決断し、継続していただくためには、お子さまにも保護者の方にも満足していただく必要があります。
シンクシンクに比べて、ワンダーボックスでは単価が高いこともあり、この構造がより顕著になったと感じます。
お子さまのCX向上という点では、兎にも角にもコンテンツそのものを磨くことに注力しております。
前述した通り、コンテンツは必ず授業でトライアルを実施した上でリリースします。
保護者さまのCX向上については、いかに弊社の理念に共感していただけるか、また、いかにコンテンツを理解しお子さまの素敵な瞬間を感じていただけるか、という点をベースに取り組んでいます。
具体的にどのような取り組みをされていますか?
ワンダーボックスは自由度の高いコンテンツ(教材)が多くあるため、活用の仕方について、保護者の方からよくご相談をいただきます。
保護者の方々に、コンテンツの意義や楽しみ方をより深く理解していただければ、その分、子どもたちの素敵な瞬間を多く引き出せるのではないかという思いから、教材の意義や使い方の配信、コンテンツを楽しむ秘訣講座(動画)の配信、Q&A(保護者の悩みになんでも答えます!コーナー)などの取り組みを行っています。
活動の中で課題に感じていることはありますか?
前述のような取り組みを行うにあたり、お伝えしたいことが多く、どんどんコミュニケーションの量が増えてきてしまいました。
あまりに多くを伝えようとすると、情報量が多くなって読まれなくなってしまいますし、お節介にもなり得ます。
また、ワンダーボックス自体が保護者の方々の負担となってしまったら、元も子もありません。
色々な家庭に寄り添えるサービスにするための、最適なUXを模索しています。
本当にいいコンテンツを目指して

参考:https://wonderlabedu.com/class/index.html
今後どのような取り組みをしていきたいですか?
お子さまのCX向上という点では、データを用いて、よりわくわくを引き出せるようにしていきたいと考えいます。
「わくわく」をどう定義するか、色々な子どもたちがいる中でどのようにデータを扱えば良いかなど、一筋縄ではいかないですが、いろいろな議論を重ねて、引き続きチャレンジしていきたいと思っています。
保護者CXの観点では、社内でコミュニケーションチームを発足して、さらに注力しています。
また、新型コロナウィルスが落ち着いたら、各ご家庭でインタビューしたり、実際にワンダーボックスがどのように使われているか観察させていただいたり、現場にどんどん足を運びたいと考えております。
子どもも家庭も千差万別です。各ご家庭にとってのワンダーボックスの価値や悩みは、実際にお会いしてお話をしなければ、深く理解することはできないと考えております。
もっと多くの人にわくわくを届けたい

それでは最後に、鳥居様のワンダーボックスの事業を通じて実現したい想いを、お聞かせください。
私自身三児の母なのですが、ワンダーラボに参画し、子育てについての考えをアップデートしてきたことで、子どもの素敵な瞬間をより多く受け取れるようになりました。
ワンダーボックスを通じて、各ご家庭に寄り添いながら、お子さまと保護者さま、両者の素敵な瞬間を引き出していきたいと考えています。
編集後記
子どもの知的なわくわくを引き出すサービスを展開するワンダーラボ株式会社の鳥居様にお話を伺いました。
CXへの取り組みはもちろん、徹底したプロダクトの磨き上げとプロダクトへ込める想いの強さがCXの根底を支えていることがよくわかりました。
今度のサービスの広がりとともに、子どもたちが新しいイノベーションを生み出していく未来が楽しみです。
鳥居様、お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。
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