サブスク型ファンコミュニティ・Fanicon(ファニコン)が映し出す新しい顧客体験(CX)

THECOO株式会社
日本初のインフルエンサーマッチングプラットフォーム、インフルエンサープランニングツール、インフルエンサーとファンのコミュニティーサービスを他社に先駆けて開発し市場に投入し続ける企業。
今回は、代表取締役の平良氏にお話を伺いました。
どのようにサービスと顧客体験を作り込んでいるのでしょうか。
インタビューイーについて

代表取締役CEO 平良 真人氏
一橋大学社会学部卒業後、伊藤忠商事株式会社、株式会社ドコモAOL、ソニー株式会社にて、営業、マーケティング、ビジネス開発に従事。
2007年、Google株式会社に入社し、2010年より第2広告営業本部の統括部長を務める。
2014年1月、THECOO株式会社を設立し、代表取締役CEOに就任。
2000以上のコミュニティが開設されているFanicon(ファニコン)
貴社のサービス概要を教えてください。

THECOO(ザクー)は2014年1月に、オンラインマーケティングのコンサルティング事業会社として創業以来、インフルエンサーマーケティング事業の展開、コミュニティ型ファンクラブ【Fanicon(ファニコン)】の運営と事業を拡大してきました。
中でも、2017年12月にローンチした【Fanicon(ファニコン)】は順調に会員数を伸ばし、現在2,000以上のコミュニティが開設されています。
【Fanicon(ファニコン)】は、ファンがファンコミュニティに対し、サブスク形式で課金する形で、月額はワンコインのものが比較的多い状況です。その他、購入したポイントによって、ファンコミュニティ内で、さまざまな体験ができるようになっています。
【Fanicon(ファニコン)】の特徴について教えてください

Fanicon(ファニコン)は、“With fan,More fun”あなたとファンをつなぐファンコミュニティとして、アイコンとファンがクローズド空間でコミュニケーションする場を提供しています。特徴は次の3つです。
【ファンを知る】
ファンとアイコンの双方向コミュニケーションを実現。
ファンが受信側だけではなく発信側にもなれることで、アイコンはファンの声を直接聞くことができます。
つまり、アイコンはファンの声を自身の活動に活かすことができるのです。
【アイコンをもっと知る】
有料会員制のため、コアファンのみのクローズドな空間です。
コアファンのみのコミュニティのため、アイコンはアンチを気にすることなく安心して運営することができます。
【ファン同士が繋がる】
チャット機能やオフ会などファン同士が繋がる機会をつくることもできます。
年齢・居住地を超えた“好き”を共有できる仲間を見つけることができる空間になっています。
クローズドなファンコミュニティの可能性を感じて生まれたFanicon(ファニコン)
なぜ【Fanicon(ファニコン)】を始められましたか?

THECOO(ザクー)は、ゲームアプリのクライアント様より「アメリカでYouTuberを使ってプロモーションしたい」とご相談を受けたのがきっかけで、現在の事業がはじまりました。2014年、日本ではまだYouTuberという言葉が浸透する前のことです。
当時アメリカには、既に大手事務所が4社ほどあり、それらの大手事務所はグローバルネットワークをもっていました。日本以外でプロモーションをはじめたのは、THECOO(ザクー)がはじめてではないでしょうか。
その3年後、2017年、インフルエンサーマーケティング事業の一環で開催した美容系YouTuberの「インフルエンサーとそのファンが集まるオフ会」でのことです。オフ会が、終わったあとにファンの方の列ができたのです。そのとき、ファンが自分自身の想いを強く語っている一方、YouTuber自身は、ファンのことをほとんど知らないという状況でした。
その光景を見たとき「この熱量の差を何とかしたい」「このギャップを埋められたら」という想いが沸き立ちました。同時に、クローズドなファンコミュニティには大きな可能性があると感じ、それがのちに【Fanicon(ファニコン)】という形で誕生することになります。
従来型のファンクラブビジネスとの違いとは?
違いはとてもシンプルです。それは「コミュニティ」であること。つまりコミュニケーションが発生するという点です。
従来型のファンクラブでは、ファンクラブの会報誌が配られるなど、一方通行の情報で、ファンはアイコンのことを知れるものの、アイコンはファンのことは知ることが難しい仕組みです。ファンコミュニティでは、アイコンとファンで双方向のコミュニケーションが発生します。アイコンもファン一人ひとりの姿を捉えることができるのです。
さらに、ファンクラブビジネスでは加入者が約2000名規模でなければファンクラブは開設されず、集客力が求められます。しかしファンを持つ人はもっと大勢いるし、みなさん1人くらいは誰かのファンだとすると、世界中がFanicon(ファニコン)のマーケットだと言えます。
エンタテイメント業界では、ファンクラブ型からファンコミュニティ型へ一部移行していっているものの、併用しているパターンが多いと見ています。今後の大きな流れとしては、さらに併用が進むのではないでしょうか。
ファンといっしょにもっと楽しむ-With fan,More fun
それでは当メディアの特徴であるCXに関してお伺いします。現在どのようなCXを上げる取り組みをされていますか?

スタートのポイントは、アイコンのことをよく知ることだと考えています。私たちよりも、アイコン自身が何よりファンのことをよく知っています。「どういうことをすれば、ファンに喜んでいただけるか?」を非常によくわかっているのです。
そこで、まずはアイコンの方が喜んで楽しく使っていただくことを主眼にCXを高めるようにしています。その一貫として、THECOO(ザクー)では、YouTuberのマネジメント(※1)もしています。
(※1)現在は、ゲーム実況者のYouTuberのみのマネジメント。
【Fanicon(ファニコン)】ならではの顧客体験とは?

ひとつ事例をあげると、あるアーティストが「短期間やってみます」ということで始められました。アーティストは、もともとファンとの距離感をとって「コンテンツでファンを楽しませる」ことに慣れています。音楽なら楽曲でファンを楽しませるというものです。そこには、神秘性など自身のブランディング方法をしっかりと確立されています。
そんなアーティストが実際に【Fanicon(ファニコン)】を使ってみたところ、「ファンとの距離感が近く、安心感がある」という感覚を持つように変わっていったのです。
アイコン自身が楽しみながら、きちんとファンとコミュニケーションをとっていくことで、ファンの方も楽しみ、結果、ファンコミュニティの収益もあがります。半年~1年続けることで、コアなファンとの繋がりがより深いものになっていきます。
アーティストの言葉で印象的だったのが「ファンの方に支えられているのはよくわかっていたが、一人ひとりの姿が見えることで、仲間のような存在に変わっていった」というものです。
これまでアイコン自身は、ファンのイメージは認識できるものの、ファン一人ひとりのことは知ることができない世界でした。お互いをきちんと知ることによって、アイコンもファンもハッピーになれる体験が生まている“With fan,More fun ”これこそが、【Fanicon(ファニコン)】ならではの顧客体験と言えるのではないでしょうか。
第三の音楽の楽しみ方・顧客体験を見つけたい
今後どのような取り組みをしていきたいですか?

2021年【Fanicon(ファニコン)】では、ファンコミュニティだけでなく、ECやチケットなどファンビジネスに関わる全てのデジタル領域にてサポート出来るよう機能開発を進めたいと思っています。
また、コロナ禍で活動自粛傾向にあるアーティストを支えるため開発したチケット制ライブ配信サービス【Fanistream(ファニストリーム)】や、2021年3月オープンするライブ配信専用スタジオの利用も広めていきたいです。
私たちは、コンテンツを創る企業ではありませんが「コンテンツをいかにユーザーに届けるか?」という課題をテクノロジーによって、よりよい体験へと変化させていくことができる企業だと信じています。
そこを加速させるサービスとして、スタジオ、チケットなどの機能開発を進めています。結果、エンターテインメント業界全体にも顧客にとってもこれまでにない体験を届けられたら嬉しいですね。
実は、スタジオを作った背景には、第三の音楽の楽しみ方・顧客体験を見いだせるものにしたいという想いもあります。オンラインのライブ配信は、コロナの影響もあり、様々な方がはじめられ、非常に増えています。しかしまだ「リアルのライブの代替」「PVをリアルタイムで見るもの」といった枠の中に収まっており、インターネットならではのインタラクティブ性は活用し切れていないように見ています。
つまり「第三の新しい音楽の楽しみ方」はまだ見出せていない段階なのです。ここをどんどん追求していくことで、新しい市場ができるのではないか?という想いから、実感をもって体験するために、スタジオを作りました。「インタラクティブなコミュニケーションの可能性に挑む」という意味でもチャレンジを続けたいですね。
「できっこない」に挑み続ける
それでは最後に、平良様の事業を通じて実現したい想いを、お聞かせください。

実は私たちのビジョンの中には、エンタメ・インフルエンサーという言葉が入っていません。その理由のひとつとして「事業を通してこの社会のあらゆる課題を解決したい」という想いがあるからです。そのためには、いろんなチャレンジ・挑戦し続けることが必要です。チャレンジしないと解決策が見つからないからです。
私たち自身がこれをやりたい!というよりは「これをやりたいよね。やれるようになったらいいよね」と望んでいる企業や個人が、もっと自由にできるようにするのがTHECOO(ザクー)ミッションだと考えています。
つまり、テクノロジーを活かして「できっこない」に立ち向かい、挑戦していくのがTHECOO(ザクー)です。いまはインフルエンサーマーケティングの支援を通じて貢献していますが、この領域は深めつつ、異なる領域でもチャレンジを続けていきたいですね。
THECOO(ザクー)の事業そのものは、トップの私自身がつくるというよりは「それができるひとが集まってきて実現している」と思っています。今後、どんなに会社の規模が大きくなっても「これをやりたいよね。やれるようになったらいいよね」と望んでいる企業や個人をもっと自由にするために、「不可能だとされている」「常識では考えられない」新しいことに挑戦し続けることができる環境を創り続けられたら嬉しいです。
編集後記
アイコン自身がファン一人ひとりのことを知ることができない世界を変え、アイコンとファンがお互いをきちんと知ることによって、双方がハッピーになれる体験を創り出した【Fanicon(ファニコン)】という空間。
「できっこない」に挑み続ける・THECOO(ザクー)が生み出す顧客体験から目が離せません。
平良様、お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。
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