インテリアのサブスクリプションサービスを展開。STYLICSを支える顧客体験(CX)

「夢を叶えるインテリアコーディネート」として人気を集めるインテリアショップSTYLICSは、金利・手数料不要で家具を自由に選んで定額レンタルできるサブスクサービスも業界で最初に開始しました。
同社の最大の特徴は、利用顧客のうち実に98%もの方が、それぞれの友人やご家族に対しての紹介意向を持っており、非常に高い顧客満足度を維持している点です。
アナログとデジタルの両面からニーズに応える顧客体験(CX)向上の取り組みに迫りました。
インタビューイーについて

株式会社フォー・ディー・コーポレーション マーケティング部 小針千紘さん
前職を退職後、北欧の暮らしに憧れを抱きデンマークに渡航。
家具を自由に組み合わせてインテリアを楽しむデンマークの人々のライフスタイルに感銘を受け、インテリア業界を志す。
同社にて3年間インテリアコーディネーターを経験し、現在はマーケティング・CX関連の業務を担当中。
新品の家具を定価の3%の価格でレンタル可能
まず、貴社のサービスの概要を教えてください。
当社は、常駐のコーディネーターがお客様一人一人の生活スタイルにあった家具をトータルで提案するインテリアコーディネートショップです。
国内外150のブランドから全7万点以上の家具を取り揃えているため、あらゆる生活様式や趣味嗜好にフィットした提案ができるという点が特徴の一つです。
お仕事の都合で転勤やお引越しを繰り返される方や、どうしても家具費用を一括で支払うことが難しい方向けに、定価の約3%の月額料金で家具を借りていただけるレンタルサービスも提供しています。
当社が取り扱うほとんどの家具がレンタル可能で、また全て新品のものをご用意しているので、衛生面が気になる方でも安心して使っていただけます。
気に入ったものはお買取いただくこともでき、当初3年という長期の間、支払い済みのレンタル料金と購入金額との差額で済む為、レンタル料金の支払いが無駄になりません。
生活の質を決める家具をご自宅で毎日ご利用いただき、お店で数分間見ただけではわからないレベルでじっくり確認できるという点が最大のメリットです。
一般的な賃貸物件の契約年数に合わせ、レンタルの最低ご利用期間は2年間としています。
お試し感覚でご利用いただくことはできませんが、それにより月々の料率を業界最安に抑えることができており、「ある程度の期間腰を据えて暮らすための家具」としてレンタルをされたい方にとっては最適のサービスだと考えています。

参考:https://www.stylics.com/coordinate-collection/eo001collection/
どんな方が利用されているのでしょうか?
メインのユーザー層は30〜40代ぐらいの、比較的生活に余裕がある方が中心です。
経営者の方や士業関係の方など、忙しくて時間がないけれど暮らしにはこだわりたい方にご利用いただく機会が多いですね。
取り扱い点数が豊富なため、価格帯に関してもかなり幅広いニーズに対応ができます。
例えば20万円以内でワンルームをコーディネートして欲しい、というご要望もお応えできますので、学生さんにご利用いただくこともあります。
またテイストに関しても幅広く、流行りのインダストリアル・ブルックリン、定番のナチュラル・モダンテイスト、他にはないクラシカルやアジアンなど海外の雰囲気を取り入れたものまで、お好みに合わせてカスタマイズが可能です。
他社様ではテイストをある程度絞られたり、比較的若い方をターゲットにされている印象がありますが、同じ年代であってもインテリアの好みやこだわりたいポイントは異なりますので、この間口の広さは当店の強みだと思っております。

参考:https://stylicsshop.com/?tid=4&mode=f28
「家具は自分で選びにくい」課題を解決するためのサービスを提供
なぜ現在の取り組みを始められましたか?
当社の代表がアメリカ留学時代に感じた「欧米の人々の暮らしの豊かさ」を、日本にも取り入れたいと考えたのが事業を始めたきっかけです。
豊かな暮らしにおいて重要な役割を担う家具ですが、一般的な生活を送る方にとって、家具を購入するという機会はそれほど多くないですよね。
そのため家具に関する知識やメーカー、価格相場といったような、家具を選ぶ上で必要な知識がないまま購入してしまい、失敗してしまうというケースも少なくありません。
そんな課題を解決するため、家具選びのプロであるインテリアコーディネーターが常駐し、気軽に話し合いながらインテリアの相談ができるお店をスタートさせました。
また、家具は1点あたりの価格もそうですが、一式そろえるとかなりの金額になります。
ましてや引っ越しとなるとそれ以外のコストもかかりますよね。
それに加え一度購入するとなかなか買い換えることができないので、「失敗できない」という精神的な負担もかかってきます。
そういったイニシャルの金銭的負担や心理面でのハードルを軽減するためにも、初期費用を抑え、月々定額払いで、生活の変化に合わせて返却・交換もできる家具のレンタルサービスの提供も開始したという経緯です。

参考:https://www.stylics.com/service/smartplan/
一般的な家具店とは真逆のプロセスで、お客様のニーズに対応
それでは当メディアの特徴であるCXに関してお伺いします。現在どのようなCXを上げる取り組みをされていますか?
当社ではお客様により納得感のある購買体験をしていただくため、「お客様がどんな家具を求めているのか?」ではなく、まず「どんな暮らしを送りたいと考えているのか?」ということをお伺いすることから相談を開始します。
一般的な家具屋さんでは、お客様が店内にある商品やカタログの写真を見ながら、どれにするかを選ぶことが普通ですので、そういったプロセスとは全く異なる進め方です。
希望の暮らしやライフスタイルを細かくお伺いし、それらをコーディネーターがお客様と共有することで、お客様お一人お一人が本当に快適に過ごせるためのレイアウトやカラーコーディネート、家具のご提案が可能になります。
例えば、「仕事終わりや週末に、リビングでゆっくり映画を見たい」という希望を持っているお客様に対しては、「ダイニングをコンパクトにして、リビングをゆったり確保したレイアウトにする」、「長時間座っていても腰に負担がかからないやや硬めのソファを選ぶ」などのほか、「どんな姿勢で見ているのか」「見ている時、テーブルに置くものは何があるか」「AVボード側に大きめの収納は必要か」というように、派生するシーン全体に気を配っていきます。
「お客様が家具を手に入れた後の暮らしにフォーカスしたヒアリングと提案」が、当社のCXにおいて最も重要なポイントですね。
各コーディネーターはクオリティを維持するため、一定の研修期間とロールプレイを行ってから接客業務に当たるように、社内制度を整えています。

参考:https://www.stylics.com/coordinate-collection/an02collection/
また、当社はコロナウィルスの影響がで始める前から、積極的にITツールを導入して参りました。
家具は実際に部屋の中に置いてみないとそれぞれの相性や大きさの感覚などが把握しにくいため、3DシミュレーションやVRなどを利用し、家具が実際に入った生活の想像がよりスムーズにできるように工夫をしています。
遠方の方など、都合によりご来店いただくことが難しいお客様に対してはオンラインミーティングシステムを活用し、画面共有で映像やカタログ画像を見ながら店頭と同じサービスを受けられるようにしています。
こういった取り組みについては特にコロナウィルスの影響が本格化してからも好評を得ており、来店しなくてもリアリティのある情報を届け、購買意欲を高める一助になっているのではと分析しています。

参考:https://www.stylics.com/coordinate-collection/yu8627collection/
「暮らしのイメージさえあれば理想のインテリアを手に入れられる」ということを多くの人に届けたい。
今後はどんなことに取り組まれるのでしょうか?
あくまでも家具を販売するのではなく、家具を揃えた後の暮らしの価値を提供するというスタンスは変えず、日々の業務に取り組んでいきたいです。
まだまだ家具を自分で決めるのは難しいと感じているお客様は多いと思いますので、できるだけ多くの方に「漠然とした暮らしのイメージさえ持っていれば、理想のインテリアは手に入れられる」ということを知ってもらいたいと考えています。
特に最近では、コロナウィルスの影響でご自身の生活やご自宅での過ごし方について改めて向き合う時間が増えたことで、「暮らしを良くしたい」というニーズは高まってきていると思います。
そのために、サービスの認知を高めることに加え、オンラインコーディネートの質の向上や、オンラインショップの拡充を図り、直接ご来店いただかなくても、これまで同様にお客様の暮らしの夢を実現できるように努めていきたいです。
また、時代の変化に合わせて現在のレンタルの形態を変えていくことも考えています。
よりお気軽に、安心して相談してもらえる環境を整えられるよう、フレキシブルに取り組んでいきたいですね。
編集後記
インテリアコーディネートと聞くと「お客さんに訪問していただいた上で、写真や商品を見せながら打ち合わせを行う」というリアルでの対応が必須であるため、現在はコロナの影響を大いに受けているのではとイメージしていました。
しかし実際は3DシミュレーションなどITツールを積極的に活用することで、柔軟にCXにつなげている点が特に素晴らしい取り組みだと感じました。
ITツールの活用については業界内でもいち早く取り入れられきたとのことで、今後も同社の取り組みに注目していきたいです。
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