“サブスク型AI”がやってきた!国際コンペ優勝・Studio Ousiaが生み出す「やりたいことを待たずにできる世界」と顧客体験(CX)

“サブスク型AI”がやってきた!国際コンペ優勝・Studio Ousiaが生み出す「やりたいことを待たずにできる世界」と顧客体験(CX)

株式会社Studio Ousia

自然言語処理を用いた新しい実用的なアプリケーションの研究及び開発を行う企業。自然言語処理における世界最先端の技術開発を行い、それらを迅速に実用化することをミッションとする。開発した技術は、複数の国際コンペティションで、著名な企業や研究機関に対して大きな差をつけて優勝し、国際的に評価されている。

今回は、セールスディレクター 谷口諭氏にお話を伺いました。どのようにサービスと顧客体験を作り込んでいるのでしょうか。

インタビューイーについて

“サブスク型AI”がやってきた!国際コンペ優勝・Studio Ousiaが生み出す「やりたいことを待たずにできる世界」と顧客体験(CX)_インタビューイー

株式会社Studio Ousia セールスディレクター 谷口諭氏。

慶応大学総合政策学部卒業、University of Illinois at ChicagoよりHealth Informatics修士号取得。徳島大学での研究、教育関連企業の立ち上げなど「教育×医療」をテーマに活動を続ける。

2019年より現職。

世界最先端のAIが文章の意味を理解する

まず、貴社のサービスの概要を教えてください。

“サブスク型AI”がやってきた!国際コンペ優勝・Studio Ousiaが生み出す「やりたいことを待たずにできる世界」と顧客体験(CX)_プロダクト

Studio Ousiaでは、2007年の創業以来、自然言語処理技術(※1)の開発を行っています。

2015年、世界最先端の人工知能がユーザーの質問を理解し、最適な回答を瞬時に返すクラウド型の質問応答システム【QA ENGINE】をリリース。チャットボットのAIとして利用いただくことが多いプロダクトとして反響をいただいています。

さらに2020年には、文章の意味を理解するAIを用いて、自動的にテキストデータの仕分けるクラウド型のテキストアノテーションツール【SMART ANNOTATOR】をリリース。チャットをはじめとするお問合せの分析に用いるソフトとして、カスタマ―サポートを中心に本格的な導入がはじまっています。

(※1)テキストをコンピューターが理解できるようにする技術

導入実績や競合サービスについて教えてください。

“サブスク型AI”がやってきた!国際コンペ優勝・Studio Ousiaが生み出す「やりたいことを待たずにできる世界」と顧客体験(CX)_連携・パートナー

【QA ENGINE】の導入実績としては銀行が多い状況ですが、業界には特化していないプロダクトなので、今後、業界の幅は多様化していくと見ています。最近は社内コミュニケーションの効率化を目的とした導入も増えています。情シス・人事への問い合わせにおいて、ひとを介在させないという取り組みが進んでいるためです。導入は、初期費用無料のサブスク型で月額30万円~。約20社でご活用いただいております。

【SMART ANNOTATOR】は2020年にリリースしたばかりですが、約10社のカスタマ―サポート、カスタマ―サクセス部門にて、ご活用いただいております。こちらも初期費用無料のサブスク型で、月額5万円~導入いただけます。

AI業界におけるチャットボットの競合は、30社以上あると見ています。只、普及しているのはシナリオ型のシンプルな機能が多く【QA ENGINE】のようなハイエンドは少ないのではないでしょうか。2015年と比較するとハイエンド側も増えてきているものの、まだまだメジャーにはなっていないというのが現状です。文章の意味を理解するAIを用いて、自動的にテキストデータの仕分けるツールの競合は、4~5社程度あると見ています。

自然言語処理の技術力。意味を理解するAI「意味を理解する」×「適切な回答を抽出する」

なぜ現在の取り組みを始められましたか?

“サブスク型AI”がやってきた!国際コンペ優勝・Studio Ousiaが生み出す「やりたいことを待たずにできる世界」と顧客体験(CX)_ユースケース

2007年の創業当時は、自然言語処理技術の受託研究開発が中心でした。例えば、ニュースサイトの記事では、重要な単語がハイライトされ、説明のURLがついていますよね。これらは、規模の大きいメディアになると、手動で作業することが難しくなります。

そこで、重要な単語を文脈から判断するプロダクトを提供するサービスをはじめました。他には、Wikipediaで単語やエンティティ(意味的概念)のベクトル表現をWikipediaから学習できるツールをオープンソースで提供しました。

そんな中、2015年頃からチャットがUIとして注目を浴びるようになりました。LINEなどテキストで1対1のコミュニケーションを体現するというニーズが増えてきたのです。そのニーズは、Studio Ousiaに蓄積していた技術力である「日本語の意味を理解し、抽出と分類を行う技術」と非常に相性がよいものでした。

「テキストの意味を理解する」
「登録されているテキストから回答を適切に抽出する」
この2つの技術力では、複数の国際コンペティションで、著名な企業や研究機関に対して大きな差をつけて優勝し、国際的に評価されています。

そこで、この技術力を活用してチャットボットを開発。クライアント様とのPoC(※2)からスタートしましたが、評価が高く開発を継続することになりました。そこから【QA ENGINE】としてのプロダクト開発につながりました。

【QA ENGINE】を営業・運営する中で、FAQ(よくある質問)やお問合せの整理ができていないためにチャットボットの導入をハードルとして高く感じていたり、運用中の問い合わせ分析に多くの力が割かれているケースが目立ちました。これらをAI技術によって負担軽減できないものか?と考え【SMART ANNOTATOR】の開発がはじまったのです。

(※2)新たなアイデアやコンセプトの実現可能性やそれによって得られる効果などについての検証

「やりたいことを待たずにできる」というCXを届けるために

AI導入に至ったあと、使い切ることができないケースもあるのでしょうか?

2015年、IBM Watsonがクイズ王になったことで、AIに対する期待値がものすごく上がりました。当時、導入してからこの5年間に技術を使い切れず、やめてしまった企業もたくさんあります。これは非常に大きい課題です。なぜ、チャットボットを導入したものの、継続できなかった企業が一定数あるのか?これには大きく2つの背景があると見ています。

まず「AIはなんでもやってくれる」という期待値の大きさがあると見ています。当時は今よりできることが少なく“落胆した方々”がビジネス業界に多いのではないでしょうか。つまり「AIにできることとしての適切な期待値」が届けられていなかったのです。

AIは何でもできるわけではありません。「これはできる。ここができたね。じゃあ、次はここをやりましょうか。」と進めていくことが大切です。特に、個別性が高い質問には適していません。

例えば、同じ金融商品でも個々にカスタマイズしているものは、現在のAIには適していないのです。平たく言うと“お客様の背景にあわせて、何を求めているのか?を判断するもの”には向いていないのです。

もうひとつは、変化の激しい市場において、5年間、同じサービスを続けることができる企業は少ないという現実です。

AIを導入した企業の担当者が技術の特徴を理解し、うまく使いこなせるようになる支援とは?

“サブスク型AI”がやってきた!国際コンペ優勝・Studio Ousiaが生み出す「やりたいことを待たずにできる世界」と顧客体験(CX)_ホームページ

Studio Ousiaでは、運用する上で担当者が技術の特徴を理解し、うまく使いこなせるようになる支援を続けています。なぜなら、担当者が運営ノウハウを持つことによって、ニーズに合わせた細かい運営の調整が行えるようになり、社内にベストプラクティスを展開することでROIを高めることができるからです。

基本的な操作としては、大きく3つです。
1)学習データを作ってAIに読み込ませる
2)AIで運用する
3)運用結果を踏まえて、学習データを修正していく

1)ではテンプレートマクロを提供するだけではなく、データを作るうえでの注意点をお伝えしたり、作っていただいたものをStudio Ousia側でチェックしています。

修正が必要な場合は、必ず「なぜなら」という技術的な背景を添えてお伝えするようにすることで、ブラックボックス化しないようにしています。支援の在り方としては、「丸ごとお任せください!担当者さんは楽しててください!」のような方法もあると思いますが、私たちはその真逆で進めています。

「こういう風にツールを使ってください」
「成果をあげるためにこういう工夫をしていくことが重要です」
「ニーズに併せてこうしてください」
と担当者と一緒に汗をかきながら、サポートしています。つまり、ニーズとの一貫性を情報提供し、ノウハウとしてどんどん蓄積するようにしていくのがStudio Ousiaのスタイルです。

それでは当メディアの特徴であるCXに関してお伺いします。現在どのようなCXを上げる取り組みをされていますか?

“サブスク型AI”がやってきた!国際コンペ優勝・Studio Ousiaが生み出す「やりたいことを待たずにできる世界」と顧客体験(CX)_QA ENGINE
“サブスク型AI”がやってきた!国際コンペ優勝・Studio Ousiaが生み出す「やりたいことを待たずにできる世界」と顧客体験(CX)_SMART ANNOTATOR

やりたいことがあるのにできなかったり、できるようになるまで待たされるのはストレスが貯まりますよね。そのような経験をするエンドユーザーを減らすには、回答精度の高いチャットボットや検索精度の高いFAQサイトがあると、疑問をすぐに解消でき、やりたかったことをすぐできるようになります。ひと言でいうと「やりたいことを待たずにできる!」という顧客体験を生み出すことができるのが、Studio Ousiaのサービスではないでしょうか。

そのために、技術開発を通じてより賢いAIを作ることに注力をしています。加えて、クライントに対して適切な技術の組み合わせと、技術を活用するノウハウの蓄積をカスタマーサクセスの中で支援をしています。

質問応答でユーザーニーズが完結することはまれですので、シナリオ型のチャットボットとの組み合わせ、翻訳システムとの組み合わせなどを共に考え、提案しています。

最先端AI技術を使いこなす方を増やしていく

今後どのような取り組みをしていきたいですか?

“サブスク型AI”がやってきた!国際コンペ優勝・Studio Ousiaが生み出す「やりたいことを待たずにできる世界」と顧客体験(CX)_ニュース

今後は、企業の情報活用を実現するサービス・技術を開発していきたいです。まずは高性能な言語理解モデルを幅広い言語で実現するための技術開発に取り組み、それらを用いた実世界のビジネス課題の解決に積極的に挑戦してく予定です。

現在、教師データを用いない検索エンジンを開発しているのですが、これにより一層AIを活用する情報検索システム導入の障壁を下げていきたいですね。

また、運営ノウハウの外部提供も進めたいと考えています。「AI技術を使おう!チャレンジしよう!」という層を増やすことを目的に、2020年後半から月1回程度でセミナーを開催しています。

実は、自然言語処理技術の特徴を知っていると検索の仕方が変わり、より自分が求めている情報にアクセスしやすくなるんですよ。今後も、連携企業との共催セミナーなども含め、最先端技術を使いこなす方を増やしていく活動に力を入れていきたいですね。

AIを使うことで「自分の未来」をポジティブに描けるようになる

それでは最後に、谷口様がStudio Ousiaの技術力を通じて実現したい想いを、お聞かせください。

“サブスク型AI”がやってきた!国際コンペ優勝・Studio Ousiaが生み出す「やりたいことを待たずにできる世界」と顧客体験(CX)_プレゼン

私が理想とする顧客体験は「そのひとが必要とする情報がシームレスに提供されること」です。例えば、仕事を進めるうえでの情報は社外にあるもの、社内にあるもの、社員の中にあるものが存在します。今は組織の中にある情報にアクセスするのにコストがかかりすぎています。人やマニュアルが介在することで時間もコストもかかるのです。

知りたいことにすぐアクセスできないがゆえに、やりたいことをはじめるまでに時間もコストもかかるという状況こそ、AIによって改善できると見ています。AIによって今ある情報を使い切ることができれば「情報が見つからないから、○○ができない」をなくすことにつながります。これにより、自分自身や会社の可能性について、もっとポジティブになれると信じています。

“できない”が“できる”という捉え方に変わり、新しい価値創出へのスピードを縮めるのではないでしょうか。AIを使い切ることによって、自分の未来をポジティブに描けるようになる世界を実現できれば嬉しいですね。

編集後記

開発した技術は、複数の国際コンペティションで、著名な企業や研究機関に対して大きな差をつけて優勝し、国際的に評価されているStudio Ousia。毎年3~4本の論文を学会で発表しているそうです。

「私たちはAIの限界を知っています。それにあわせて、どのようなコミュニケーションが発生するかをデザインすることも担っています」という谷口氏の言葉が印象的でした。

2021年、キーワード検索の世界から「文章の意味を理解する」世界へ移り変わろうとしています。Studio Ousiaの技術力が生み出す新たな顧客体験から目が離せません。

谷口様、お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。

 

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