sonar-uが取り組むオーディエンス参加型ライブグランプリ「Mudia」のCX(顧客体験)

sonar-uが取り組むオーディエンス参加型ライブグランプリ「Mudia」のCX(顧客体験)

株式会社ソナーユーは、定額制ライブ行き放題サービス「sonar-u」、オーディエンス参加型ライブグランプリ「Mudia」、ファン参加型レビューサイト「otopos」を運営している企業です。

ユーザーが参加できる街中音楽エンターテインメントを目指すと共に、積極的なアーティスト市場の開拓を担い、オンライン、オフライン共に充実した音楽ライフを提供できるサービスを提供しているとして注目を集めるようになりました。

今回は、ソナーユーが重視しているCX(カスタマーエクスペリエンス=顧客体験)を提供するに至った背景や、今後の取り組み、コロナウイルスによる影響について幅広く伺いました。

インタビュイーについて

株式会社ソナーユー 代表取締役 高松友治さん

ドラマーとしての活動を経て、2008年に住宅関連のアウトソーシング企業に入社。

その後2018年に株式会社ソナーユーを設立し、代表取締役を務める。

街中のライブをもっと生活に近い体験に。

まず、貴社のサービスの概要を教えてください。

株式会社ソナーユーが提供しているサービスは、3つあります。

「変化に適応した音楽環境を世界水準へ」sonar-uが取り組むオーディエンス参加型ライブグランプリ「Mudia」の挑戦_sonar-u

「sonar-u」は、街中のライブをもっと気軽に、身近に楽しんでほしいという思いから企画された、定額制ライブ参加サービスです。

参考:sonar-u

約150のライブハウスで行われる年間1,800件近いライブが定額で行き放題になるため、時間が少しだけ空いた時やたまたま近くでやっているライブを見かけた時にも参加しやすく、ライフスタイルに合わせてリアルな体験を得られるようになっています。

またライブやイベントのレビューを投稿できるファン参加型ライブレビューサイト「otopos」は「Mudia」と強く連動し、相互に規模を拡大してきました。

「変化に適応した音楽環境を世界水準へ」sonar-uが取り組むオーディエンス参加型ライブグランプリ「Mudia」の挑戦_otopos

参考:otopos

しかし、新型コロナウイルスによる影響は少なくありません。

東京アラートの解除に伴いライブハウスの営業自粛期間も一旦は終了を迎えましたが、リアルなライブにお客を動員していいか迷うアーティストやイベンターが多いのも事実です。

一方「Mudia」は、オンラインでもライブを楽しめるライブパフォーマンスグランプリです。

「変化に適応した音楽環境を世界水準へ」sonar-uが取り組むオーディエンス参加型ライブグランプリ「Mudia」の挑戦_Mudia

参考:Mudia

企画の趣旨としては、全国のライブを完全中継することによってアーティストのパフォーマンスを多くの人に「知ってもらえる」「観てもらえる」「聴いてもらえる」をコンセプトとしたものですが、昨今の状況においては、オンラインでライブ参加ができること、ファンを1ヶ所に集めずともライブが開催できることに価値を見出して参加して下さる方が増えてきています。

長期的にアーティストの活動支援ができる仕組みを作りたかった。

なぜ現在の取り組みを始められましたか?

バンド活動していた時代に、音楽産業の在り方について疑問を抱いていたというのが大きいです。

日本の人口が少なくなっていく中、このままではどんどん音楽産業が厳しくなってしまうという危機感や、ライブに足を運んでくれるお客さんのほとんどがアーティストの知り合いであって、新規の客層を開拓できていないということに対する焦りがありました。

利益を求めてチケットの単価を上げても、短期的な対策にはなるものの長期的に見れば動員数が減ってファンを増やせないきっかけになってしまっている。

Spotifyのような定額制聴き放題サービスは近年日本にも多くありますが、海外のように長い目で市場を大きくする取り組みを率先して行うことが日本では少ないのが現状です。

長期的な収益が見込めるような、一般の人もライブに呼び込めるような、そんなサービスが必要だと思いました。

「変化に適応した音楽環境を世界水準へ」sonar-uが取り組むオーディエンス参加型ライブグランプリ「Mudia」の挑戦_イベントの特徴

また、コロナウイルスの影響で音楽業界に変化が起きているというのもあります。

オンラインでライブ配信でチケッティングしているアーティストも増えて来ていますが、それでしっかりと収益化できるのはほんの一握り。

誰でも知っているようなメジャーなアーティストか、いつも安定してチケットの動員がある全国でツアーができるようなアーティストがライブ配信のチケッティングで採算が見込まれるぐらいです。

小さなバンドや地元だけで活動しているようなアーティストには同じ戦略が通用しないのが現状で、ライブハウス側も配信だけで採算を合わせるのは難しいです。

対面ライブを行うにしてもソーシャルディスタンスガイドラインを遵守しなければいけませんから、本来ライブハウスが持っているキャパシティの3分の1か4分の1程度しかお客を呼べないわけですし、現状の顧客に対してのプレッシャーで券売もうまくいきません。

となると、小さなイベントを開催するイベンターさんにとって使いやすいサービスが生まれる必要があります。

イベンターに利益が生み出せれば、そこに参加するアーティストにとっても利益になる。

ただ配信するだけではなく、視聴者参加型で作れるイベントプラットフォームがあればと思い、Mudiaに力を入れています。

オンラインで視聴者参加型のライブ環境を作る。

それでは当メディアの特徴であるCXに関してお伺いします。現在どのようなCXを上げる取り組みをされていますか?

視聴者参加型で楽しめるよう、Mudiaのコンテンツを充実させる取り組みをしています。

例えば、無観客の状態で複数のアーティストの収録を行い、ゲストコメンテーターにアーティスト1つずつに対するコメントを行ってもらう企画が挙げられます。

ライブを聞きにくる人の中には、音楽経験がある人も非常に多いんです。

アーティストごとに聞きどころとなるポイントを解説してもらうことでより楽しめるし、もっと上達したい、ノウハウを知りたい、という人にとっては勉強にもなる。

オフラインのコール&レスポンスと、オンラインのコール&レスポンスが異なるというのを実感しますね。

他には、サービスを利用するための動機付けも行いました。

sonar-uやMudiaで参加したライブに対するレビューをotoposへ書き込めば、それがポイントとなってまたMudiaでの投票権を得られたり、アーティストへギフトを贈って支援できたりする。

3つのサービスが相互に補い合って、ライブや音楽に関するるコミュニティを形成できるようにすることで、ユーザーにとってもイベンターやアーティストにとってもプラスの働きができるのではないかと思っています。

「変化に適応した音楽環境を世界水準へ」sonar-uが取り組むオーディエンス参加型ライブグランプリ「Mudia」の挑戦_サービス連携

今Mudiaでは、ダンスイベントのオーガナイザーが動いて企画が動きだそうとしています。

コロナウイルスによる影響が出てからMudiaで行っている、有料ギフトの売り上げの8割バックキャンペーンに着目していただいた形ですね。

我が社としては原価のみいただく形でほぼ利益はありませんが、そこに着目して音楽以外のジャンルの方に見つけていただいたというのは非常に嬉しく思います。

サービスやコンテンツの幅が広がるきっかけになりそうですね。

視聴者の方々をもっと巻き込んでいきたい。

今後どのような取り組みをしていきたいですか?

視聴者参加型の楽しい配信ができるサービスを、アーティスト向けというよりはイベンター向けに作成していきたいと思っています。

アーティストも時にはイベンターになりますが。

YouTubeなどの映像配信コンテンツが台頭することによって誰でもクオリティの高い配信ができる時代になり、配信そのものに対するハードルは下がってきています。

それに加え、ライブハウスに所属して企画を考案するイベンターがどんどんフリーランス化して箱に捉われない働き方をするようになっていくと思われますから、今まで以上にイベンターのプロジェクトマネジメント能力が求められるようになっているでしょう。

アーティストをキャスティングし、視聴者を積極的に増やしていけるような、「ただ配信するだけではない視聴者参加型のサービス」が重要です。

そのプロジェクトマネジメントをする上で、必要なサービスを提供できるのがMudiaであるようにしないといけないと思っています。

「変化に適応した音楽環境を世界水準へ」sonar-uが取り組むオーディエンス参加型ライブグランプリ「Mudia」の挑戦_インタビュー風景

ゆくゆくは、ライブに関するデータがきちんと収集できれば面白いだろうなという思いもありますね。

どの地域で、どんなイベントで、どれくらいの視聴者(参加者)がいて、どれくらい利益が出て、というのをまとめることができれば、イベンターにとっては非常に有意義です。

変化を受け入れつつ、新しいライブの形を作っていきたい

それでは最後に、高松様のソナーユーの事業を通じて実現したい想いを、お聞かせください。

ある程度変化を受け入れて模索を重ねながら、一緒に新しいライブの在り方を考えて行きましょう、ということですね。

本当は早くコロナが終息してほしいし、安全を確保した上でライブハウスが賑わってほしい、今までと同じようなライブがやりたい、という気持ちも強いです。

しかし、今の状況では変化を受け入れなければ生き残っていけません。

こんな時でもどう音楽を楽しむか、どうすればみんなで思いを共有できるかということを考えて、ライブの形を作っていきたいですよね。

イベンターもアーティストも、今はみんな手探りの状態です。

1歩踏み出したら新しい価値観が生まれるかもしれない、何事もやってみた方がいいかもしれない、という気持ちで過去の依存から脱却することが大切になっていくでしょう。

経験やノウハウを積むためにも、チャレンジ精神を持つことが大事だと思います。

編集後記

衣食住を整えるための買い物や外出と比較して、音楽を始めとしたエンターテインメント事業は不況や社会情勢の変化を受けやすいと言えるでしょう。

しかし、変化を受け入れ、柔軟に対応する人が強いというのはどの業界でも変わらないのかもしれません。

新しい形でイベントが開催され、イベンター、アーティスト、視聴者の三位一体となって楽しむことができれば、withコロナ時代であっても日々の生活に楽しさが生まれていきそうです。

Mudiaが、音楽はもちろん、その他のジャンルでも評価を得て総合エンターテインメントプラットフォームとして成立する未来も近いのかもしれません。

高松様、お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。

 

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