ワーカーとワークスペースの間をアプリでマッチング。新たな働く場を提供する「ワークスルー」とは

ワーカーとワークスペースの間をアプリでマッチング。新たな働く場を提供する「ワークスルー」とは

飲食店やホテルラウンジなどのアイドルタイムにおける空席をワークスペースとしてビジネスマンに提供している「ワークスルー」。

ビジネスワーカーがカフェなどで仕事をするのはよくあること。その際、カフェは混雑していて使いにくいことがあります。そこで、「街中のあらゆる場所をあなたのワークスペースに変える」をコンセプトに登場したのが「ワークスルー」です。

今回は、SBイノベンチャー株式会社の加々本さんに、「ワークスルー」のサービスの特徴やサービスをスタートさせるきっかけについて伺いました。

インタビューについて

ワーカーとワークスペースの間をアプリでマッチング。新たな働く場を提供する「ワークスルー」とは_インタビューイー

SBイノベンチャー株式会社
「ワークスルー」プロジェクト責任者
加々本雄太郎 氏

2016年4月、ソフトバンク株式会社に新卒入社。

入社後は、法人営業を行いながら社内起業制度「ソフトバンクイノベンチャー」を利用し、1年目から新規事業の立ち上げに責任者として携わる。2019年3月に「ワークスルー」を企画し、2019年10月にクローズドβ版サービスとしてスタートさせる。

飲食店やホテルラウンジなどの空席をワークスペースに。アプリ1つで利用できるサービス。

まず、貴社のサービスの概要を教えてください。

ワーカーとワークスペースの間をアプリでマッチング。新たな働く場を提供する「ワークスルー」とは_サービス

ワークスルー」は、登録された飲食店やホテルラウンジなどの空きをスマートフォンアプリで確認してワークスペースとして利用できるサービスです。

外出中にパソコン作業などを行う場所を探す時間や手間が掛からず、業務の生産性の向上につながります。

ワークスルー」で利用可能なワークスペースは、個人作業だけではなく、商談や打ち合わせなどにも利用いただくことが可能となっており、無料のWi-Fiサービスと電源が完備されています。

現在、渋谷、新宿、東京、品川、新橋、池袋、横浜など、首都圏エリアを中心に約80の提携拠点を持っており、順次拡大中です。

月額5,400円で全拠点をいつでも予約なしで利用することが可能です。利用可能な時間帯は各店舗のアイドルタイムなどに合わせて異なり、アプリ上から確認できます。

どのような料金体系ですか。

最初はカウンター席で最低30分100円から利用できるサービスとしてスタートしましたが、2021年3月31日にサービスをリニューアルし、月額5,400円で全拠点使い放題の「月額プラン」のほか、1日1,000円の「1日プラン」と、 初回限定で1週間630円プランの「お試しプラン」を開始しました。

ユーザーにはスキマ時間の作業に活用していただいたりしているほか、個室も1時間500円から予約して利用できますので、重要な商談やチーム会議など、さまざまな形態でご利用いただいています。

ワークスルー」の拠点の多くでドリンクが無料で提供されているほか、アプリ内でクーポンを提供している拠点もあり、そのクーポンを利用してドリンクや料理を注文することができます。

なお、「ワークスルー」のリピート率は高く、一度ご利用いただいたお客様の約30%はリピート利用をされています。

カフェの隣のガラガラなレストランをワークスペースとして活用できないか。

なぜ現在の取り組みを始められましたか?

私自身が法人営業として働いていたとき、隙間時間でカフェをよく使っていましたが、「利用できる電源やWi-Fi設備がない」「席と席の間隔が狭い」「席が空いているかどうか事前にわからない」などの課題を感じていたところ、カフェの隣のレストランはガラガラで「その空きスペースを活用できないか」という発想を持ったことがきっかけです。

そこで飲食店側にお話しを聞いてみたところ、「アイドルタイムはお客様が来ないため閉めているだけです。調理業務が発生しないドリンクの提供などを行い、追加人件費が発生しないのであれば、お店を開けることは大歓迎です」という店舗も多く、「ワークスルー」というサービスをスタートしてもうまくいくだろうという手応えを感じたのです。

店舗が開いている時間なら暇な時間帯でも店舗スタッフはいますので、その時間帯を有効活用するために「ワークスルー」は生まれました。ただ、どちらかというと私たちが狙っているのは、「ワークスルー」の利用をきっかけにその店舗のことを知っていただいて、飲食利用につなげて本業への売上貢献の効果、認知の施策として使っていただきたいと考えています。

ユーザーがサービスを利用している体験を想像しながら、痒いところに手が届く機能を提供する。

それでは当メディアの特徴であるCXに関してお伺いします。現在どのようなCXを上げる取り組みをされていますか?

ワーカーとワークスペースの間をアプリでマッチング。新たな働く場を提供する「ワークスルー」とは_CX

CXを上げていくために、ユーザーがサービスを利用している体験を想像しながら、痒いところに手が届く機能を提供しています。

まずは予約したスペースの利用時間の延長機能(2021年3月31日のサービスリニューアルまで機能を提供。リニューアル後のアプリでも今後本機能を実装予定)です。「大事な商談をクローズさせるまでもう少し使い続けたい」というときも、アプリ上でワンタップするだけで、すぐに利用時間を延長することができます。

人と会話している途中ですと、長くアプリ操作するのは気が引けますし、目の前のことに集中したいと思います。延長はできるけれども煩雑な手続きをしなければならないといったことを避けたいと思い、このような延長機能を搭載しました。

また、店舗へのアクセス表記も工夫しています。多くの店舗で「●●線渋谷駅から徒歩5分」というような表示ではなく「●●線渋谷駅A●番出口から徒歩5分」など、最寄り駅だけではなく、できる限り詳細な出口も記載しています。このアクセスについては、「ワークスルー」のスタッフが実際に現地で確認したものを掲載しています。

些細なことですが、駅構内ではスマートフォンでマップアプリなどを開いても正確に表示できないことがあり、迷うこともあります。詳細な出口までわかっていればそこまでは何も考えずその出口へと向かい、あとは外に出てアプリ内のマップボタンを押すだけでスムーズに現地へと到着することができます。

ワークスルー」はアプリでの各店舗の空き状況の確認、現地への移動、店舗利用の一連の流れでできており、良質な店舗の利用体験をしてもらうだけではなく、来店前後の体験にも気を配りながら、利用する際に発生する課題やストレスを解決できるようにしっかりと設計しています。

また、一般ユーザーに近い立場の方にアンバサダーをお願いしています。アンバサダーにサービスを体験してもらい、活用シーンをTwitterやブログなどで発信していただき、ユーザーが具体的なイメージをもって安心して利用できるようにしています。

アンバサダーの選択基準は私たちがターゲットにしているユーザーの代表格のような方々。私たちが「ワークスルー」を使っていただきたいと考えているユーザー像に近い方に協力していただくことで、「ワークスルー」の利用経験がないユーザーにも「ワークスルー」の利用を疑似体験していただけるよう、意識しています。

それぞれの人が自分の理想とする「ハタラク」を追求できる世界を作っていきたい。

今後どのような取り組みをしていきたいですか?

ワーカーとワークスペースの間をアプリでマッチング。新たな働く場を提供する「ワークスルー」とは_インタビュー風景

現在の「ワークスルー」のサービスからもう一歩踏み込んで、それぞれの人が自分の理想とする「ハタラク」を追求できる世界を作っていきたいと考えています。

新しい場所、人、体験と出会える場所を創りたい。あるいは、ハイエンドなスペース、面白いスペース、快適に働くことのできるスペースにこだわったプラットフォームとしてサービスを拡充させていきたいと思います。

また、人と人をマッチングさせる仕掛けを作っていきたいとも考えています。それはたとえば、「ワークスルー」が提供するスペースで、英会話や靴磨きなどといった「仕事場所+α」の新しい体験を提供していきたいですね。カフェやレストランといった飲食店にはこだわっていません。たとえば美容室やホテルの朝食会場・宴会場など、利用できる空きスペースであれば、形態にこだわらず活用していきたいです。

「ワークスルー」は、さまざまな角度でさまざまな事業とアライアンスできる可能性を秘めているサービス。

それでは最後に、ワークスルーのプロジェクトを通じて実現したい想いを、お聞かせください。

ワークスルー」は、初期費用なしで家を簡単に契約できる「NOW ROOM」や、飲食店の社食提供サービス「びずめし」とすでに提携するなど、さまざまな角度でさまざまな事業とアライアンスできる可能性を秘めていると思います。そこで、「ワークスルー」と一緒にできる新たな取り組みのアイデアをお持ちの方がいらっしゃれば、ぜひご連絡ください。

編集後記

スキマ時間に作業をしたくてもカフェが混んでいるビジネスワーカーと、空席・空室をうまく活用したいという飲食店やホテルなどのニーズをうまくマッチングしてサービスにつなげていった思いが伝わってきたインタビューでした。

加々本様、お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。

 

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