「すべては、猫様のために。」猫の⽣活をテクノロジーで⾒守るCatlog®の顧客体験(CX)

「猫様の見えない時間を、見えるようにしたい」
「離れていても、もっと近くに猫様を感じられる世界にしたい」
そんな想いを実現するべく立ち上がった、テクノロジー企業・株式会社RABO。
今回は、株式会社RABOの創業者・伊豫愉芸子氏にインタビューをしました。
どのようにサービスと顧客体験(CX)を作り込んでいるのでしょうか。
インタビューイーについて

株式会社RABO 代表取締役・伊豫愉芸子氏。
東京大学大気海洋研究所佐藤克文教授のもと、ペンギンやオオミズナギドリに小型センサーをつけ行動生態を調査するバイオロギング研究に従事。
東京海洋大学大学院修士課程修了後、株式会社リクルート入社。
スタートアップ企業を経て、現職。
世界中の猫様と飼い主が、1秒でも長く一緒にいられるように
まず、貴社のサービスの概要を教えてください。

首輪型のデバイスとアプリを通じて、猫様の様子を見守るサービス「Catlog(キャトログ)」を提供しています。
次世代首輪「Catlog」は、猫の活動データを24時間記録し、バイオロギング解析技術および機械学習を用いて、実際の行動に分類するデバイスです。
お留守番中の猫様の「歩く」「走る」「睡眠」「休息」「ごはん」などの様子をスマホの専用アプリで見ることができ、猫様の生活をテクノロジーで見守る仕組みになっています。
現在、コロナの影響で外出することが一時的に減ったこともあり、ライトに見守りたい方とデータを蓄積したり家族や獣医さんともデータを共有するなど猫様の健康管理に対して関心の高い方がいらっしゃいます。
プランは3つ、フリープランである「プチみまもりプラン」、毎日の猫の様子が見れるプラン「みまもりプラン」、他の猫とのデータ比較や、家庭内やシッターさんといった猫様を取り巻くステークホルダーとデータが共有出来る最上位プラン「猫バカプラン」をご用意しています。
サービスの特徴や導入者数を教えてください。

Catlogで出来ることは、主に4つです。
【1.見守り首輪とスマホで猫ウォッチ】
首輪型のデバイスで、猫様の活動データを24時間計測。猫様の行動と、お部屋の室温をスマホで管理。
【2.猫様の健康管理をサポート】
デバイスから愛猫のデータが常時蓄積。運動不足や食事回数を知ることができ、健康管理にも役立ちます。
【3.多頭飼いにも対応】
同じ時間帯にそれぞれがどんな行動をしていたか、1つのアプリで管理。
【4.みんなで見守る】
家族や獣医さん、シッターさんにも、Catlogアプリのアカウントをシェア可能。
現在、3000猫様にCatlogライフを送っていただいています。
Catlogが保有する猫様の行動データは、1年間で3億件を突破。日本最大級の猫様データベースとして成長中です。
人間が見ることのできない「猫様の時間」を見えるように
なぜ現在の取り組みを始められましたか?

猫様は留守番が得意なペットと思われることが多く、週に5日以上自宅に留守番させている飼い主は全体の約7割です。
猫様は本能的に不調を隠すことが上手く、体調の変化に飼い主でも気づけないケースが多いです。
日々の小さな変化に気づけないことは、病気になった時の処置の遅れにもつながります。
獣医さんの「いつ頃からですか?」という問診に対し、正確に回答できる飼い主は少ないのです。
このような課題の解決策を考えた時に、学生時代に研究した「人間が見ることの出来ない動物の時間を見えるようにする」バイオロギング(※1)を「家猫に応用すれば良いのではないか?」と閃いたのがはじまりです。
(※1)元々は水中で目視できない海洋生物に加速度ロガーなど小型のセンサーを装着し、生態行動を調査する研究手法。Catlogは、この技術をベースに開発されている。
Catlog事業は、いつ生まれたのでしょうか?
「動物に携わること」をしたいとは考えていたものの、起業は考えていませんでした。
卒業後、リクルートで経験を積み、スタートアップに転職。主人と共働きだった我が家では、お留守番する愛猫・ブリ丸がいつも心配でした。
そんな中「見えない時間を見えるようにすることはできるのではないか?」「猫様にバイオロギングを使えるのでは?」と構想が浮かびました。
恩師の佐藤教授にも相談し、猫好きにニーズのあるプロダクトであることが見え、起業を決意しました。
愛猫・ブリ丸がいなければ、Catlog事業は生まれていないですね。ブリ丸は、経営メンバーのひとりです。
まず体験を想像する。そしてプロダクトに落とし込む
現在どのようなCXを上げる取り組みをされていますか?

当社では、体験までを含めてプロダクトだという考え方のもと、プロダクト開発~マーケティングを行っています。
チームメンバーとは「作り手の当たり前は、使い手の当たり前じゃないよね」と確認し合うことがあります。
チームメンバーの半数以上が猫様と暮らしていますが、そのチームメンバーの持っている「当たり前」をお客様にそのまま当てはめることはありません。
パッケージデザインひとつにも、インタビュー・調査をしっかり行い、「理想の顧客体験を生みだすには、このデザインで本当にいいのか?」思考を重ねます。
体験設計として「どういう機能が必要か?」「どういうデザインパッケージで美しさを体験していただくか?」にオールメンバーで向き合っています。
『健康管理をしっかりしたい』に応える体験設計

健康管理をしっかりしたいというお声にこたえるための体験設計として、食事や運動など猫様の健康変化に気づくための新機能『ようすモニター』を追加しました。
『ようすモニター』では、記録している行動データをもとに、普段の行動と異なる変化を検知した場合にアプリで知らせ、前日との比較だけではなく対象期間との比較もわかりやすく表示するものです。
大切な猫様と暮らしている世界中の方に
今後どのような取り組みをしていきたいですか?

『猫様の生活をテクノロジーの力をフルに使って守る』ことを実践していきたいと考えています。
猫様のことは、一緒に暮らしている飼い主さんが一番わかっていると思います。しかし、365日24時間見守ることは現実的には難しい状態です。
「昨日より毛づくろいの時間がどのくらい少ないか多いか?」と、定量的にはかることはできません。
定性的に読み取ることは飼い主さん、定量的にはCatlog(キャトログ)を活用することで、いざというときに、健康管理、予防医療につなげる管理にしたいですね。
蓄積されるデータを使って、動物病院と連携し、獣医さんに使って貰ったり、ペット保険やペットフードといった、猫に絡んだ最適なものを提案出来るようなサービスへの展開も視野に入れています。
「すべては猫様のために」世界中で猫様を大切に家族として暮らしている方に向けて発信し続けていきたいと思っています。
大切な存在を大切に想い、 そして大切にできる世界を
それでは最後に、伊豫様の次世代首輪「Catlog」事業を通じて実現したい想いを、お聞かせください。

当社では、プロダクト開発~SNS発信まで「すべては猫様のために」という理念のもと一気通貫して実践しています。
ペットのウェアラブルは、アメリカ・ヨーロッパ中心に販売されていますが、愛犬・愛猫をひとくくりにしているものがほとんどです。
愛猫と愛犬は全く違う生き物であることに着目していないサービスが多いなか、当社は「ペット向け製品ではなく、猫様専用・すべては猫様のために」として猫様の行動特化したプロダクトとして発信しています。
これからも、経営メンバーでもある愛猫・ブリ丸と共に、迷ったときには「それは猫様にとってはよいものか?」という軸を判断基準とし、世界中の猫と飼い主が、1秒でも長く一緒にいられるように、愛猫を大切に想う全ての方と猫様の暮らしを見守っていきたいと考えています。
猫様も家族の一員、とても大切な存在。
愛すべき大切な家族である猫様とその飼い主さんが、1秒でも長く一緒にいられる世界を実現するのがRABOの果たす役割だと考えています。
猫様に限らず、ペット、お子さま、パートナー、親、親戚、友人など、みんなそれぞれにとって大切にしたい誰かがいます。
みんながそれぞれの大切な存在を大切に想うことを尊重し、堂々と愛を注いで大切にできるように心から応援する、そんな世界をRABOは目指しています。
編集後記
世界で飼育されている動物の中で、「ペットとして飼われている生き物」で一番多い『猫様』。
「すべては猫様のために」猫の⽣活をテクノロジーで⾒守る次世代首輪が生み出す顧客体験から目が離せません。
伊豫様、お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。
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