OTORIOKI -お取り置き-で実現するウィズコロナ時代の新しい買い物スタイルと顧客体験(CX)

プロシスタ株式会社
WEB、販促分析、コンサルティングなど様々な事業ドメインを持ち、新型コロナの影響を受けたリアル事業を展開する企業や事業主に向けての再建と活性化に繋がるサービスなどを次々に生み出すIT企業。
インタビュイーについて

代表取締役 早島 貴之氏
地元大阪にて約12年間実父のもと、取締役として経営全般に携わる。2000年、IT事業、アパレル事業、携帯電話代理事業等を立ち上げる。2005年にIT事業を独立させる形で、プロシスタ株式会社を創業。現在グループ代表として、6つの法人の代表を務める。得意分野は新ビジネス企画。
OMOマーケティングの新しい形【OTORIOKI -お取り置き-】
貴社のサービスの概要を教えてください。

【OTORIOKI -お取り置き-】は、ネットで予約した後、店舗で確かめてから購入できるツールです。
新型コロナの影響で、客数減少に悩む店舗と混雑を避けたいお客様に、安心できる売り場を提供し「最後はやっぱり見て触って確かめて買いたい!」という顧客体験を実現します。
2020年の年末には、クリスマスケーキやおせち料理、福袋などのように大量に受け付ける必要があるもので反響をいただくことができました。
ライブ配信やライブコマースとの連携についても非常に相性が良く、ライブでお客様の興味喚起を促し「お取り置き」されたものを、店舗で接客し販売するといった使い方が望まれています。
当初は、アパレルを中心に想定していたものの、パンやケーキなどの「どのくらいの数量をつくるのか事前にわかったほうがいいもの」「賞味期限のあるもの」と相性がよく、年末年始商戦にスポットでご利用いただき、次はバレンタイン商戦にご活用いただく事例がいくつかあります。
導入事例や価格について教えてください。
2020年8月リリース以来、全国の大手商業施設を中心に数社に導入いただいております。
店舗側にとっては、専用在庫・システム変更・運用変更すべて不要で、すぐに使えるシンプル設計になっています。特に店舗や商業施設での売上、店舗の消化率UPにこだわった設計が導入のポイントになっているのではないでしょうか。
現在、価格は新型コロナ感染症拡大の状況を鑑み、初期ライセンス費の割引キャンペーンを行っております。詳しくはサイトをご覧ください。
「買い物に行きづらい」を解決
なぜ【OTORIOKI -お取り置き-】を始められましたか?

店舗側からは「今の状況では、なかなかお客様に来ていただけない」という声が多く、お客様からも「買い物に行きたくても混雑が怖くて行けない」などの声が多く挙がっています。このような状況から、まずはお客様が安心して来店し、買い物できる環境を用意することが急務でした。
2013年頃から持っていた構想をベースに、2020年春、コロナの影響を見て「これは今やるしかない」と社内リソースを一気につぎ込み、機能改善を進め、2020年夏のリリースが実現した形です。
日用品などのコモディティ商品は、ネット購入でも満足いただけるものの、試着が必要な靴、そして試打が必要なゴルフクラブなどのスポーツ用品は、店舗スタッフのアドバイスを必要とする方がまだまだ多い状況です。
「実際に見て試さないと買えないもの」「アドバイスがないと決められないもの」においては、単純なEC化ではなく、店舗での滞在時間の短縮・来店予約による混雑の回避など、多くのメリットと安心をお届けする新しい顧客体験が必要だったのです。
【OTORIOKI -お取り置き-】では、ネット上で安心してウィンドウショッピングを楽しみ、最終的な「購入」の段階で、実際に商品を見て店舗スタッフと話し、実物を確かめてから購入できるという体験が実現します。
ECシステムやネットショップと何が違うのでしょうか?

実店舗をビジネスの主戦場としていたショップが、ECやネットショップを始めた場合、次の課題があります。
- EC用の在庫を別途管理しなくてはならない。
- 店舗の売上ではなくなるため、消化率が下がり、店舗スタッフのモチベーション低下に繋がる。
- 実物の商品を見ずに買っているので、返品やクレームが多い。
- ついで買いやコーデ買いなどのクロスセルに繋がらない。
- 店舗の投資回収スピードが落ちる。
これらの課題を解決するためには、従来は新たなシステムの開発・専用在庫・店舗運用変更などが必要でした。
【OTORIOKI -お取り置き-】は、店舗の商品を在庫と見立て、「ウォークイン来店客」と「ネットのお取り置き客」の両方に販売チャネルを設けることで、システム開発不要・専用在庫不要・店舗の運用もそのままで、お客様と店舗に新たな体験を届けることができるようになっています。
買うか買わないか迷ったときの「中間地点に寄り添う」顧客体験を
それでは当メディアの特徴であるCXに関してお伺いします。現在どのようなCXを上げる取り組みをされていますか?

2005年頃から大手商業施設に導入いただいているホームページ情報管理システム【CAMAS(カマス)】の最新版を【OTORIOKI -お取り置き-】と同時にリリースしました。
これにより、自社ホームページとお取り置きツールが融合し、これまで閲覧のみだったホームページ来訪客をリアル店舗へ誘導促進する仕組みが整いました。「情報配信のシステム」×「来店を促すシステム」の連動が実現したのです。
EC送客のベクトルを店舗にすることで、お客様にとっては「買うか?買わないか?」の二者択一の世界から「行って相談してから買うかどうか決める」という中間地点をつくり、そこに寄り添うことでCXを高められるようにしています。
店舗側は、明日来店するお客様がわかれば、そのお客様に向けたおすすめ品を用意することができます。お客様は、自分のために用意された”接客”を受けることができます。
【OTORIOKI -お取り置き-】は、トライしないとわからない問題を解決するものに非常に向いており「思っていたのと違う」というミスマッチをなくすことで、よりお客様との信頼関係を強いものにします。
店舗の空気感を受け取ることができる顧客体験を
今後どのような取り組みをしていきたいですか?

【OTORIOKI -お取り置き-】をご利用いただいたお客様の中には、急な予定の変更で、店舗に行くことができなくなるケースもあります。その場合、ECサイトでのご購入になってしまいます。
いまのECサイトでの買い物は、商品が届くと”いかにも倉庫から届いた感じ”がするものが多い状況です。店舗だときれいに梱包してもらえるのに、多くのECサイトでは、店舗でのお買い物で味わえる空気感が体験できないのです。私たちは「商品が届くのではなく、空気感が届く形」を実現したいと考えています。
これからのデジタルとリアルの関係性は、O2O(Online to Offline)から、OMO(Online Merges with Offline)、そしてD2C(Direct to Consumer)とどんどん進化を遂げていくと見ています。
「商品が届くのではなく、空気感が届く形」の実現に向けて、決済システムや物流システムにおいても、研究開発を行い、新しい体験を届けていきたいですね。
オンラインとオフラインの過渡期こそ、新しい体験を
それでは最後に、早島様の【OTORIOKI -お取り置き-】事業を通じて実現したい想いを、お聞かせください。

私は20代の頃から、家業の経営を通して「商売人」としての感性を自然と磨き続けてきたのではないかと思っています。
いま、WEB、AI、IoT、販促分析など様々な事業ドメインを持つことで、何かひとつにこだわることなく、常に「商売人」の視点で、リアル事業を展開する企業に向けて「どんな再建方法があるのか?」「どんな活性化に繋がるサービスが提供できるのか?」など販促施策・来店促進を考え続けています。
【OTORIOKI -お取り置き-】の構想は2013年頃から持っていたものです。
当時、大手商業施設にホームページの更新システム(CMS)を提供する中で、店舗売上がどんどんECに取られている状況でした。商業施設としては、店舗がショールーミング化すればするほど、収益が下がる一方です。
売上改善していくには「ネットでお取り置きをして店舗に来ていただく仕組みをつくればいいのでは?」という商売人ならではの自然な発想が、ネット予約サービス【OTORIOKI -お取り置き-】を誕生させるきっかけになりました。
今はオンラインとオフラインの過渡期です。スマホひとつで、欲しいものを手に入れるという便利さは手に入れたものの、店舗ならではのワクワク感はここ数年置きざりにしていたのではないでしょうか。
ECでの買い物と店舗での買い物、どちらかを選ぶのではなく、その中間地点をつくることで、新しい顧客体験を届けることができれば嬉しいです。
編集後記
実物を見て実際に店舗の空気感を味わいながら買い物したいという顧客の想いに対し、多くのECサイトでは満足できる顧客体験を届け切れていないのが現状です。
リアル店舗ならではの今までのスタイルのまま「新たな体験を届ける」ことができる【OTORIOKI -お取り置き-】。
【OTORIOKI -お取り置き-】が生み出す新しい買い物スタイルと顧客体験から目が離せません。
早島様、お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。
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