LTV(ライフタイムバリュー)の使い方とは? 業務への活用方法や算出方法を紹介

ビジネスの現場において、「LTV」という言葉を耳にすることが増えていませんでしょうか?
顧客生涯価値を意味するLTVは、カスタマーサクセスやマーケティング施策を行う上でとても助けになる概念です。
本記事では、LTVの意味や計算方法から、LTVを通して、より効果的なカスタマーサクセスやマーケティング施策を検討できるようになる方法を解説します。
LTV(ライフタイムバリュー)とは?

LTVとは「Life Time Value(ライフタイムバリュー)」を略したもの。
日本語では「顧客生涯価値」と言い、「顧客との取引が始まってから終了するまでの期間で得られる価値(収益・利益)」を示した指標のこと。
1回ごとの取引で得られる利益のみでなく、その後に発生したすべての取引を含め、1人の顧客から生涯にわたって得られる収益すべてを含んだものがLTVです。
LTVが普及している理由・背景
マーケティングを学ぶ際に「LTVを検討することが重要だ」と耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。
現在、LTVが普及している理由・背景には「サブスクリプションサービス」があります。
サブスクリプションサービスは、一度販売して終わりではなく、継続利用してもらうことを想定したビジネスモデルです。
顧客が契約したその時の利益ではなく、顧客がサービスを利用している期間での利益を考える必要があり、LTVという考え方が重視されるようになりました。
LTVの言葉の使い方
ビジネスシーンで「LTV(エルティーブイ)」という用語をどのように使ったらいいのか、不安な方もいるのではないでしょうか。
言葉の使い方の例文としては、以下のようなものが挙げられます。
- 一番の課題はLTVが減少していることだ
- LTVを上げるためにできる施策を検討しよう
- 公式SNSをフォローしている顧客は、していない顧客よりもLTVが20%高い
LTVを算出する計算方法

次に、自社のLTVを算出するための計算方法を確認しておきましょう。
LTVを簡単に算出する方法
まずは、LTVを簡単に算出する方法を紹介します。
継続利用を想定せず、単発での取引を行う一般的なビジネスモデルと、継続利用を前提としたサブスクリプションサービス、それぞれの計算方法を確認しましょう。
一般的なビジネスモデル
平均購入単価 × 利益率 × 平均購入回数(※平均購入回数=購入頻度×継続期間)
サブスクリプションサービス
一顧客の年間取引額 × 利益率 × 継続年数
コストも計算に入れてLTVを算出する方法
先ほど紹介したLTVの計算式には、コストが含まれていないことが気になった方もいるのではないでしょうか。
新規顧客の獲得・顧客維持にかかるコストも上記の計算式に含めると、より正確なLTVを算出できます。
一般的なビジネスモデル
平均顧客単価 × 利益率 × 平均購入回数 – 新規顧客の獲得・顧客維持にかかるコスト
サブスクリプションサービス
一顧客の年間取引額 × 利益率 × 継続年数 – 新規顧客の獲得・顧客維持にかかるコスト
LTVの概念を業務に活用/最大化する方法〜5つの使い方〜

「LTVが重要だとはわかったものの、どのように実務に活かしたらいいのかわからない」
「自社のLTVは計算できたが、具体的な施策につながっていない」
という企業も多いのではないでしょうか。
LTVの指標を業務に活用し、利益を最大化させていくための5つの使い方について解説します。
1.顧客獲得コスト(CPA)を決める目安として使う
LTVは、顧客獲得にかけるコスト(CPA)を決める目安として活用できます。
新規顧客獲得のコストには、どの程度予算を使うのか悩ましいところですが、LTVから逆算して1/5が目安になるといわれています。
現状のCPAが、LTVの何割程度になっているのか確認してみるのもおすすめです。
2.顧客単価・平均購買単価向上施策の予算を決める目安として使う
顧客単価や平均購買単価を上げるための施策の予算も、どのように決定したらよいのか悩ましいところです。
LTVを目安にすると、アップセルやクロスセル、コンテンツマーケティングなどの予算を決めやすくなります。
LTVへの影響率を検討しつつ、どの程度の予算をかけたら費用対効果がよいのかを検証しましょう。
3.購買頻度や顧客維持率を上げる施策の予算を決める目安として使う
さらに、購入頻度や顧客維持率を上げるための施策への予算も、LTVを目安として検討できます。
たとえば、顧客維持率を1%上げるとLTVがどのぐらい改善されるのかを計算すれば、顧客維持率を1%上げるためにかけられる予算が判断できるでしょう。
4.ロイヤルカスタマーの基準を判断するために使う
LTVは、ロイヤルカスタマーの基準ともなりえます。
優良顧客の基準は企業によってもさまざまですが、一般的に、LTVの高い人がロイヤルカスタマーだと判断できるのではないでしょうか。
LTVの高い人を分析し、共通点を見つけていくことで、ロイヤルカスタマーのペルソナ像が明確になるでしょう。
5.カスタマーサクセスやマーケティング施策のKPIとして活用する
LTVは、カスタマーサクセスやマーケティング施策のKPIとしても使われます。
計算式で確認したように、LTVはさまざまな要因によって構成されています。
カスタマーサクセスやマーケティング施策の効果が、最終的に収益に反映されていたのかどうかを確認するための指標としても有効です。
LTV向上の成功事例、活用ポイント
LTVを算出するためにはさまざまな数値を算出する必要があります。
改善のためにも複数の施策が検討されるので、LTVの検討には手間がかかるように思われがちです。
しかし、LTVの管理は収益の改善に効果的です。
最後に、LTV向上の成功事例と、成功したポイントについて紹介します。

1例目は、流入経路ごとに継続期間が異なる(=LTVが異なる)ことから、広告の投資効果の分析→最適な広告の再選定を行ない、LTVを改善した事例です。
LTVの向上は、カスタマーサクセスとマーケティングが共通して目指すKPI。
上記の事例では、両部署が情報を連携したことでより最適なアクションにつながっているといえるでしょう。

2例目は、解約率を低下させることでLTVの向上に成功した事例です。
解約リスクの高い顧客に対して、事前にアクションをすることで解約率を下げ、LTVを向上させました。
限られたリソースで最大限に効果を出すためには、LTVへ直結する部分から施策を行うことがポイントになります。

3例目は、継続ユーザーと解約ユーザーの差異を分析することで継続に効果のある要因を見つけ、施策を行なってLTVを向上させた事例です。
この事例のように、LTVの低い顧客と高い顧客の行動分析により決定的な違いを見つけられた場合は、その点へのアプローチをすることでLTVの大きな改善が期待できます。
LTVを使って、カスタマーサクセスやマーケティング施策を検討しよう

LTVは、カスタマーサクセスやマーケティング施策の実施時にKPIとなりやすい指標です。
たとえば、顧客の獲得コストや単価向上施策、購入頻度や維持率を上げる施策の予算を決める目安になります。
ほかにも、ロイヤルカスタマーの判断基準となったり、さまざまな場面で意思決定の拠り所となる指標だといえるでしょう。
本記事を参考に、まずは自社のLTVを把握することから始めてみてはいかがでしょうか。
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