顧客分析とは?効果的な分析をする7つのフレームワーク・分析時の5つのポイントを紹介
CXやマーケティング施策を検討する際に欠かせない「顧客分析」。
なぜ重要なのか、そしてどのように行うのか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
顧客分析はフレームワークを使うことで、効率的に分析できます。
本記事では、顧客分析を行う7つのフレームワーク、そして分析をするときに知っておきたい5つのポイントを紹介します。
顧客分析とは?
顧客分析とは、購買率の向上や顧客満足度の改善を目的として、自社製品やサービスを購入した顧客について分析をすることです。
顧客のクラスタを明確化したうえで行動を分析し、購買決定要因を明らかにすることで、マーケティング手法の改善点や打ち手が明確になります。
たとえば、顧客がSNSでの情報をもとに購買決定をしていたとわかれば、SNSでキャンペーンをする、インフルエンサーマーケティングを行うなどの具体的な施策に繋がるでしょう。
顧客のニーズを把握して売上を伸ばしたいと考えている方は、顧客分析についてより詳しく学んでいきましょう。
顧客分析の必要性は? 分析をする3つのメリット
顧客分析をするメリットとして、以下の3点が挙げられます。
- 顧客のニーズを把握できる
- マーケティング施策の効果を上げられる
- 売上・業績の向上
それぞれ、具体的にどのようなメリットがあるのか解説していきます。
メリット1.顧客のニーズを把握できる
現代では顧客のニーズが多様化しています。
細かな顧客のニーズを把握するためには、顧客分析が最適です。
たとえば、20代前半の女性とひと口に言っても、大学生と社会人では使えるお金が大きく異るでしょう。
また社会人の中でもアクティブな趣味の人もいれば、内向的であまり外に出ない人もいるなど、趣味嗜好や生活パターンも人によって異なります。
20代の女性をターゲットにするというだけでは、顧客のニーズは把握できません。
顧客の声を分析し、ニーズをより正確に把握できることが、顧客分析を行うメリットだといえるでしょう。
メリット2.マーケティング施策の効果を上げる
顧客分析では顧客の行動を分析し、購買決定要因を導き出します。
顧客の行動パターンや購買決定要因が明確になることで、「どのような媒体でタッチポイントを増やすべきか」「どのようなキャンペーンが効果的なのか」なども判断しやすくなり、マーケティング施策の効果を上げることにも繋がります。
メリット3.売上・業績の向上
顧客のニーズを把握し、それに対応するマーケティング施策を実行することで、売上・業績の向上に繋がるだけでなく、既存の製品・サービスの改善にも、新商品の開発にも利用できます。
さまざまな場面に顧客の声を反映することで、会社の売上・業績の向上に繋げていきましょう。
顧客分析を行うための7つのフレームワーク・分析手法
顧客分析をより効率的に抜け漏れなく行うためには、フレームワークの利用がおすすめです。
次に、顧客分析によく使われる7つのフレームワーク・分析方法を紹介します。
1.RFM分析
RFM分析は、顧客を3つの指標で分類し、グループに分けて分析する方法です。
- Recency(直近いつ購入したのか)
- Frequency(購入頻度)
- Monetary(購入金額)
上記の3つの指標で分類した後「優良顧客(ロイヤルカスタマー)」「アップセル対象顧客」「安定顧客」「休眠顧客」などと、顧客をグルーピングしていきます。
顧客を3〜5つ程度にグルーピングした後、適切な施策検討していきます。
たとえば、Recency・Frequencyは高いが、Monetaryが低い顧客が多かったとしましょう。
その場合、顧客1人あたりの単価を上げるために、セット商品の販売を始めるといった施策が考えられます。
2.CTB分析
CTB分析は、以下の3つの指標をもとに顧客をグルーピングし、今後の購買予測を行うための分析手法です。
- Category(カテゴリ)
- Taste(テイスト)
- Brand(ブランド)
たとえば、アパレルの店舗であれば、Categoryはシャツ・パンツ・靴などで分類します。
同様にTasteは色・形状・柄、Brandはアパレルブランド・キャラクターなどで分類。
その中で青色の商品の売上が高いことがわかれば、今後の購買予測に繋げられます。
3.セグメンテーション分析
セグメンテーション分析とは顧客の属性を細分化し、マーケティング施策に繋げる方法です。
どのようにセグメンテーションするかは、事業によって異なります。
セグメンテーションの切り口としては、年齢・性別・職業・居住地などが考えられます。
自社のメインターゲットはどんな人なのかを明確にすることで、有効なマーケティング施策に繋げられるでしょう。
4.デシル分析
デシル分析は、購入金額の高い順に顧客を10等分にグループ化して分析する方法です。
顧客を購入金額順に並べてグルーピングしたら、それぞれのグループが何%売上に貢献しているのかを計算します。
たとえば、上位2グループだけで売上の80%を占めていたとすれば、上位2グループのロイヤリティをより上げるための施策を考えていくことが有効でしょう。
どの顧客層にアプローチすればよいのかわからないときは、デシル分析を使ってみましょう。
5.行動トレンド分析
行動トレンド分析は、過去の購買傾向からシーズンごとの購買率を導き出す方法です。
シーズンとは季節だけでなく、曜日・天候・時間などさまざまな視点から分析します。
たとえば、雨の日になると売上が落ちる店舗であれば、雨予報の日に仕入れを絞ればロスを最小限にできます。
シーズンによって購買率が異なる場合、行動トレンド分析を利用してみましょう。
6.AIを使った分析
AI技術を用いた顧客分析をすることで、より高次元な分析が可能です。
たとえば、防犯カメラの映像をAI分析すると、顧客の導線の最適化や顔認証による顧客属性の把握などが可能です。
7.特定顧客を抽出した分析
メルマガや会員登録などを通じて顧客情報をストックしている場合、特定の顧客情報を抽出した分析が可能です。
たとえば、会員情報から住所を抽出してみた結果、特定の地域の人に顧客が偏っていることがわかったとします。
その場合、対象のエリアをターゲットにした施策をすることで、売上が伸びる可能性が高いと考えられるでしょう。
このように、特定顧客の情報が抽出できるのであれば、より精度の高いマーケティング施策提案ができるようになります。
顧客分析を行う5つのポイント
顧客分析を行う際には、闇雲に情報を集めるのではなく、ポイントを押さえて行うことが大切です。
以下の5つのポイントを押さえておきましょう。
- 顧客分析をする目的を明確化する
- 「顧客」の定義を行う
- 顧客のニーズを理解する
- 顧客の購入意思決定までのプロセスを確認する
- 市場規模・ポテンシャルを検討する
これらのポイントを押さえずに顧客分析をすると、価値のある情報を見つけられないだけでなく、ミスリードしてしまう可能性も高まります。
顧客分析をする前に、失敗しないためのポイントを確認しておきましょう。
1.顧客分析をする目的を明確化する
顧客分析をする前に、まずはその目的を明確化しましょう。
そもそも顧客分析は何のためにおこなうのかがわかっていないと、データを集めただけで終わってしまい、ゴールにたどり着くことが困難になります。
顧客分析をする目的は、新商品の開発のためなのか、それとも特定のサービスを改善するためなのか、商材Aの売上を向上させるためなのか、目的を定めましょう。
2.「顧客」の定義を行うところから始める
顧客分析における「顧客」の定義が決まっていないと、正しい分析はできません。
「顧客」の定義を行うことから始めましょう。
商品やサービスを利用してはいないけれど、メルマガに登録している人・SNSをフォローしている人は顧客になるのか、見込み顧客とするのかなど、明確にグルーピングしたり、カスタマージャーニーマップを作成し、顧客の段階を明確にするのもよいでしょう。
その他、すでに「顧客」であるグループも「ロイヤルカスタマー」「安定顧客」「休眠顧客」などグループの定義をつけて分類することで、それぞれの段階にあった施策が検討しやすくなります。
3.顧客のニーズを理解する
顧客の定義を作成した後は、それぞれの顧客のニーズを理解しましょう。
顧客のニーズを理解するためには、アンケート・インタビュー・SNSの活用などが挙げられます。
ニーズを想像だけで進めるのではなく、実際の顧客の声(一次情報)を集めて分析していきます。
その際、顧客は顧客自身でニーズを明確に理解していない・言語化できない可能性もあることも念頭に入れておくとよいでしょう。
4.顧客の購入意思決定までのプロセスを確認する
顧客は商品やサービスに魅力を感じていたとしても、必ず購入するわけではありません。
そのため、購入の意思決定をするまでのプロセスを確認していきましょう。
たとえば、法人向け商品で担当者がいいと思っても、上司の意思で提案が通らないこともあります。
そんなときは上司の購買意思決定要因を探り、それを解消するための手段を考えなければなりません。
購買意思決定まで複雑なプロセスをたどる場合は、とくに重要なポイントになります。
カスタマージャーニーマップを利用して、プロセスを確認してみてはいかがでしょうか。
5.市場規模・ポテンシャルを検討する
顧客分析をするうえでは、市場規模・ポテンシャルも検討しなければなりません。
ペルソナを設定したとしても、その集団の規模が小さすぎた場合、ビジネス自体が衰退してしまう可能性があります。
これから挑戦する市場に将来性はあるのか、どの程度のポテンシャルがあるのかも、改めて検討しておくことが大切です。
顧客分析を行うときの注意点
最後に、より効果的に顧客分析を行うための注意点を紹介します。
目的を明確にして分析をすること
すでに紹介したように、顧客分析をする際には、目的を明確にする必要があります。
目的がないままデータを集めようとしても、意味のないデータ集めに終わってしまう可能性が高いです。
現状の課題は何か明確にし、改善の目的を定めれば、そこから逆算して必要なデータや分析する内容が明確になるでしょう。
分析をする際には、複数のフレームワークを組み合わせながら適したものを利用することがポイントです。
サービス特性/顧客立場を考えること
顧客分析の実施方法・適切な施策は、サービス特性や顧客立場によって異なります。
BtoBとBtoCでは顧客の購買意思決定プロセスが異なるので、教科書的に同じ施策を実行しても効果は薄くなります。
購入までのフローを時系列にすることで、顧客の意思決定に関わっている人を洗いだすことも重要です。
さらに、サービスによって重要事項・着目点も異なります。
たとえば、toBのSaasであれば初月~次月の利用率、toCのECであれば2回目の購入頻度が指標になります。
購入者の立場を推察して、適切な軸での分析をすることで、ユーザーの気持ちを把握しましょう。
CX・マーケティング施策効果を高めるには適した手法で顧客分析を
顧客分析は、むやみに行っても適切な施策に行き着きません。
顧客分析をおこなう目的を明確にし、本記事で紹介したポイント・注意点を把握したうえで、適切な手法・フレームワークを使って顧客分析をおこないましょう。
とくにチャレンジしてもらいたいのは、AIを用いた顧客分析です。
AIを利用することで人間では気づかなかったポイントが見つかることも多いもの。
顧客分析をする方は、ぜひAIでの分析もチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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