マーケティングに有効なビッグデータとは?どのように自社に導入/活用するべきか

近年、ビジネスやマーケティングにビッグデータを活用する企業が増加中です。
しかし、ビッグデータという単語は聞いたことがあっても、どのように導入するべきかわからない方も多いのではないでしょうか。
ここではビッグデータとは何なのか、活用することでどんなメリットがあるのかについて解説します。
効果的なマーケティング施策立案におすすめの入門編ツールも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
ビッグデータとは

ビッグデータのマーケティングへの活用は、近年で急速に普及してきました。
まずは、ビッグデータとはどんなものを指すのか、またどのようなテクノロジーと関係性が深いのかという点について簡単に紹介します。
ビッグデータの定義と特徴
ビッグデータとは、「Volume(量)、Velocity(速度)、Variety(多様性)の三要素を備えるデータ集合」と定義されています。
以下に、各要素が何を意味しており、どんな特徴であるのかを詳しく解説します。
Volume(量)
ビッグデータはその名の通り、圧倒的なボリュームを持つデータであるという特徴を持っています。
明確なデータ容量の基準はありませんが、「一般的なソフトウェアの処理能力を超えた量のデータ集合」を意味することが多いです。
この点については、下記で紹介するVariety(多様性)に富んだデータ集合であるということとも密接な関係を持っています。
参照:wikipedia
Velocity(速度)
ビッグデータは容量が大きいデータ集合であるというだけでなく、それぞれのデータの入出力や処理が高速で行われることが必要不可欠です。
また、情報の入手速度やリアルタイムで蓄積され続けるデータ更新頻度なども含めた「変化の速度」も有していることもビッグデータの重要な側面です。
Variety(多様性)
一般的な文脈で用いられる「データ」と異なり、さまざまな情報ソースから得られたデータの集合であることが、ビッグデータの最大の特徴です。
メール文書や販売実績などテキスト・数値データはもちろんのこと、これまでは細く観察・分析されていなかったような音声データ・SNS動向・株価情報・顧客導線など多様な種類のデータが含まれています。
さらに詳しくみていきましょう。
ビッグデータの種類
上述の通り、「ビッグデータ」が「単なる大容量のデータ」と異なる最も特徴的なポイントは、定量的なデータに加え定性的なデータもリサーチ・分析の対象であることです。
ビッグデータの利活用においては、それら定量的なデータのことを「構造化データ」、定性的なデータのことを「非構造化データ」と表現します。
具体的な例で言い換えると、売上・利益率・市場占有率・顧客データなどのCSVファイルに落とし込める、いわゆる日常的に使われるデータが「構造化データ」です。
対して、メディア・報道などさまざまな要素から消費行動心理や社会行動心理にまで踏み込む情報が「非構造化データ」です。
スマートフォンやタブレットの普及により、爆発的に増加したSNS情報などを「非構造化データ(新)」、テレビ・ラジオなどのメディア動向による情報を「非構造化データ(旧)」と表現することもあります。

出典:総務省 情報流通・蓄積量の計測手法に係る調査研究報告書
ビッグデータとIoT/AIとの関係性
ビッグデータは、IoT(Internet Of Things)やAIといったキーワードとともに説明されることが多く、非常に深い関係性を持っています。
従来ではモニタリングしていなかったようなデータも含め、圧倒的な容量を持っているデータ集合がビッグデータであることはすでに説明しました。
その大容量のデータ収集を可能にしたのが、IoT端末とそれを支える通信技術です。
たとえば、トヨタ自動車では、クルマにIoT通信機を搭載することでユーザーの情報を収集し、メンテナンスのアナウンス、渋滞予測、自動車保険の最適化などさまざまな分野への利活用を進めています。

出典:https://toyota.jp/pages/contents/tconnectservice/contents/pdf/toyota_datapolicy.pdf
一方で、その大量なデータを収集しても、利用できる情報を抽出し、分析しないことには何の意味も持ちません。
そのデータの活用を支えるのが、AI技術です。
AI技術は高い情報処理能力を持っていることに加え、24時間稼働させておくことも可能です。
IoTやAI技術の発展とともに、今後さらにビッグデータの利活用が一般的になっていくことが期待されています。
ビッグデータ分析/活用のメリット・デメリット

続いて、ビッグデータを自社に導入し、活用することでどのような効果が現れるのかについて解説します。
メリット:コストを抑えつつ、効果的なマーケティング施策を発見できる
ビッグデータは「一般的なソフトウェアの処理能力を超えた量のデータ集合」です。
本来であれば各情報を収集・蓄積できていたとしても、分析/活用を行うためには多大なヒューマンパワーが必要になります。
しかし、ビッグデータの分析/活用はAI技術や後に紹介するBI(Business Intelligence)ツールを活用できれば、それらのテクノロジーに一任することが可能です。
システムやツールの使い方さえマスターしてしまえば、人手も不要な上、煩雑で細かい集計や分析作業もカットすることができます。
また、AI技術やBIツールは説明するまでもなく、人が与えた命令を受け取り、淡々と分析結果を回答します。
顧客行動データ・市場予測・自社の事業課題等々、どの分野の分析を行うかは各企業次第ですが、それらはすべて機械的に判断されたものであるため、マーケティング担当の思い込みやバイアスが介入していません。
つまりビッグデータから得られたマーケティング施策は、非常に確度が高いものであるのも大きなメリットです。
デメリット:情報を蓄積するだけでは意味をなさない
ビッグデータの分析/活用を正しく行えば、確度の高い施策を手間なく発見できる一方で、大容量のデータを集めるだけではまったく意味がありません。
ビッグデータ利活用の社内への導入検討段階において、「ただ何となくマーケティングの効率改善ができそう」という状態ではハイリスクです。
明確な目的を持ちながら、それに付随するデータを収集し、プランを立ててから導入検討に移るのがベターでしょう。
ビッグデータをどのように自社に導入するべきか

「ビッグデータについて理解はできたが、実際に導入するには何から始めるべきかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
ここでは入門編となるツールも踏まえつつ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
ゼロからのビッグデータ収集・蓄積には一定のリソースが必要
ビッグデータの分析/活用は一度ルーチン化してしまえば、手間なくコストを抑えてマーケティングを効率化できます。
しかし、ビッグデータ導入をまったくのゼロの状態からスタートするケースでは、多少のリソースが必要となります。
ビッグデータには、売上や顧客数などの「構造化データ」に加え、顧客の導線や市場の動向といった「非構造化データ」も含まれていることはすでに説明した通りです。
この非構造化データというのがやや厄介で、一般的な企業活動内では測定していないケースが多く、意図して収集を続ける必要があります。
この段階においては、社内で数人の専任メンバーを設けるといった工夫が不可欠です。
ビッグデータ解析入門編として、BIツールの導入がおすすめ
専任チームを作るリソースがなく、また専門的な知識がない場合は、いきなりビッグデータの分析/利用を目指すのではなく、BI(Businee Intelligence)ツールの導入からスタートするといいでしょう。
BIツールとは、企業がすでに持っている定量的なデータ(構造化データ)を分析・可視化し、精度の高い意思決定やマーケティング施策をサポートするツールです。
なお、広義ではエクセル等もBIツールに含まれますが、ここではセルフサービス型のBIツールについて説明しています。
ビッグデータ利活用入門編に最適なBIツール3選
ビッグデータの導入に向けての入門編ツールの中でも、比較的使いやすいツールを3つピックアップしました。
比較検討の参考になりましたら幸いです。
Tableau

ドラッグ&ドロップで直感的に使用できる簡易さが特徴のBIツールです。
ダッシュボード機能も豊富で便利なものが揃っており、マーケティング施策・意思決定の効率化を実感できるでしょう。
Yellowfin

こちらも管理・閲覧が非常に簡単で使いやすく、特別なプログラミング知識等は必要ありません。
売上・顧客数などの数値データに大きな変化があるとアラートで知らせてくれるだけでなく、その原因までも自動で分析し、提示してくれる機能が搭載されています。
KiZUKAI

SaaS、サブスクリプションプロバイダー向けツールです。
大量の顧客データを取り込み、分析可能な形で加工されて情報が提示されます。
「解約しそうな顧客」、「アップセルできそうな顧客」など細かくターゲティング可能で、LTV/解約率改善に非常に効果的です。
ビッグデータ利活用には明確なビジョンが不可欠

ビッグデータは正しく導入/活用できれば、効果的な意思決定やマーケティングの立案に非常に役立つ存在となるでしょう。
一方で、明確なビジョンなくさまざまな情報をただただ集めるだけでは意味がなく、ビッグデータが持つポテンシャルを引き出すことはできません。
まずは、本記事で紹介したようなBIツールを導入し、「順序立ててさまざまなデータを活用する」という感覚を試すことがおすすめです。
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