カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?顧客体験を対策するメリット・実施方法と成功事例

- 2020.06.03
- CXノウハウ カスタマーエクスペリエンス
- CX, カスタマーエクスペリエンス, とは, 顧客体験
近年注目されているカスタマーエクスペリエンス(CX)について、「名前は聞いたことがあるけれど、詳しく知らない」という方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事ではカスタマーエクスペリエンスの意味や、注目されている理由、そして対策することでどのようなメリットがあるのか、実践方法や成功事例まで解説。
読み終わったあとには、カスタマーエクスペリエンスを即実践できるようになる情報を紹介していきます。
カスタマーエクスペリエンス(CX)の意味とは?

まずは、カスタマーエクスペリエンスの言葉の意味について、正しく把握することからはじめましょう。
カスタマーエクスペリエンス(CX)の意味
「カスタマーエクスペリエンス(Customer Experience)」とは、日本語に直訳すると「顧客経験」です。
ビジネスでは「顧客が自社の商品・サービスを通じた経験に対して感じた価値」との意味で使われます。
UX・顧客満足度(CS)との違い
「UX(ユーザーエクスペリエンス)」「顧客満足度(CS)」とカスタマーエクスペリエンスの違いについて疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。
UXとは、ユーザーエクスペリエンスのこと。
主に、Webサイトやアプリ、デバイスなどで具体的な商品やサービスに対しての使い心地や使用感、利便性を測るときに使われる指標です。
カスタマーエクスペリエンスはサービス全体を通した経験の価値を表すのに対し、UXは具体的な使い心地や利便性などを指すことに違いがあるといえるでしょう。
また顧客満足度(CS)とは、顧客がどれほど商品やサービスについて満足しているのかを示した指標です。
カスタマーエクスペリエンスが高いことで、顧客満足度も上がる可能性もあり、両者は因果関係にあるといえます。
カスタマーエクスペリエンスが注目される背景

では、カスタマーエクスペリエンスはなぜ注目されているのでしょうか。
近年では製品が市場に飽和しており、プロダクトのみで差別化することは難しくなっています。
そのため、製品から生まれる「体験」「体験を通じた感情的な価値」が重視されるようになったことが、カスタマーエクスペリエンスが注目されている背景です。
また、インターネット・SNSが普及し、「本当に満足できる商品やサービス」を顧客が探しやすくなったことも原因です。
消費者の発信力が高まり、顧客に満足してもらうこと、ポジティブな経験を拡散してもらうことの重要性が高まりつつあります。
カスタマーエクスペリエンス(CX)対策のメリット

これまでの内容で、カスタマーエクスペリエンスへの対策をすることの重要性がなんとなく把握できた方も多いのではないでしょうか。
次に、カスタマーエクスペリエンスを対策することでどのようなメリットがあるのか、代表的な3つのメリットをご紹介します。
1.顧客に特別な体験を提供することでブランディングに繋がる
カスタマーエクスペリエンスへの対策をする1つ目のメリットは、ブランディングに繋がることです。
顧客に特別な体験や経験を提供することで、同業他社との差別化に繋がります。
結果、自社のブランディングができることが大きなメリットだといえるでしょう。
2.ロイヤルカスタマーの獲得に繋がる
2つ目のメリットは、ロイヤルカスタマーの獲得に繋がることです。
パレートの法則(2:8の法則)では、売上の8割は顧客全体の2割のロイヤルカスタマーによって成り立っているといわれています。
また、1:5の法則では、新規顧客獲得には、既存顧客への販売の5倍のコストがかかるとされています。
これらの法則からも裏付けされるように、ロイヤルカスタマーを育成することは、企業の売上・利益を上げるためにも欠かせません。
商品・サービスを通じて顧客によりよい経験を提供することで、ロイヤルカスタマーの獲得に繋がることも、カスタマーエクスペリエンスへの対策をするメリットのひとつです。
3.SNSを始めとして口コミ効果が期待できる
3つ目のメリットは、口コミ効果が期待できることです。
よい経験をした場合、SNSを始めとしたポジティブな口コミが期待できます。
一般顧客による口コミは、広告よりも信ぴょう性が高い情報だと認識されており、口コミをみた他のユーザーへの認知・購買にも期待できます。
カスタマーエクスペリエンス(CX)の種類

カスタマーエクスペリエンスを向上させることは、企業にとって利益がある内容だとわかりました。
実は、カスタマーエクスペリエンスには5つの種類があります。
カスタマーエクスペリエンスを実践する際には、次の5つのうち、どの価値を向上させるのかそれぞれ検討してみてはいかがでしょうか。
1.SENSE:感覚的経験価値
感覚的価値とは、音や香り、居心地のよさなど五感を通じて感じる価値のことです。
例えば、バイクや車の行き交う騒音がする場所で食べる食事と波の音が聞こえ自然を感じられる場所で食べる食事では、同じ食事だったとしても後者のほうがカスタマーエクスペリエンスが高くなる、というのは、感覚的経験価値を感じていることが理由です。
2.FEEL:情緒的経験価値
情緒的経験価値とは、商品・サービス、それらを通した経験でうまれた感情的な価値のことです。
ブランドストーリーへの「共感」、こまやかな接客による「感動」が生まれた場合、心が動かされた分カスタマーエクスペリエンスが向上します。
3.THINK:創造的経験価値
創造的経験価値とは、新しい経験をしたり、好奇心を満たすことで生まれる価値のこと。
「世界初」「最先端の技術を使った〜」といった製品は、製品そのものの使い勝手だけでなく「特別なものを使っている」という体験価値を提供し、カスタマーエクスペリエンスが高まります。
4.ACT:ライフスタイル的経験価値
ライフスタイル的経験価値とは、これまでのライフスタイルを変える価値のことです。
例えば、IoT家電・スマート家電の場合「スマホからも操作できる」という機能以外にも、「自宅外にいながらも家事ができる」といった新しいライフスタイルを提供しています。
5.RELATE:準拠集団や文化・社会的な経験価値
準拠集団や文化・社会的な経験価値とは、帰属意識に関する価値のこと。
応援しているグループのファンクラブに属することで、「帰属していることに対する特別感」に価値を見出すことが当てはまります。
カスタマーエクスペリエンス(CX)向上の実施方法
カスタマーエクスペリエンスについて理解が深まったら、カスタマーエクスペリエンス向上のために何を実践するべきなのか気になる方も多いでしょう。
次に、カスタマーエクスペリエンス向上のために実践したい3つの施策について紹介します。
カスタマージャーニーマップを作成する
カスタマーエクスペリエンスについて考える際には、顧客がどのようなタイミングで、どのような行動をとり、どのような心情になっているのかを把握する必要があります。
そのためには、カスタマージャーニーマップを作成することが効果的です。
カスタマージャーニーマップとは、顧客が自社商品・サービスを通して経験する一連のプロセスを「旅」に例えた戦略フレームワークのこと。
サービス全体の流れ、顧客の感情、ボトルネックを把握し、精度の高い仮説検証を行うのに役立ちます。
なお弊社では、無料でカスタマージャーニーマップに関する資料を提供しています。
テンプレートを活用することで、カスタマージャーニーマップで考慮するべきポイントを押さえながら、精度の高い分析が行なえます。
無料でダウンロードできるので、ぜひご活用ください。
顧客データを分析する
カスタマージャーニーマップで顧客の行動や感情を検討したあとは、実際の顧客のデータを分析し、より顧客について理解していきましょう。
KPI・目標値を設定する
カスタマーエクスペリエンスに限らず、新たな施策をおこなう際には、施策がうまくいっているのか効果検証するためにもKPI・目標値を設定することが重要です。
KPIを設定するときの注意点は、以下の記事が参考になります。
カスタマーエクスペリエンス(CX)の成功事例
参考:https://www.muji.com/jp/galapagos/#main
最後に、カスタマーエクスペリエンスの成功事例を確認してみましょう。
世界的なeコマース事業を展開する「Amazon」では、顧客のニーズにあわせて「配送にかかる日時の選択」「精度の高い人気商品のレコメンド」などを行っています。
注文した商品が早ければ翌日には届くことは、情緒的経験価値やライフスタイル的経験価値を高めます。
また、精度の高いレコメンドは創造的経験価値・情緒的経験価値を高めることに繋がるでしょう。
また、無印良品では、自社の思想や世界観をユーザーに共有することで、準拠集団や文化・社会的な経験価値へと繋げています。
製品や店内のインテリア・雰囲気だけでなく、自社サイトでコンテンツを作成していることも特徴的です。
カスタマーエクスペリエンス(CX)対策を始めてみよう

市場に製品・サービスが飽和しインターネット・SNSが発展した現代で、顧客に選んでもらい、使い続けてもらうためには、カスタマーエクスペリエンスへの対策が欠かせません。
本記事で紹介したカスタマーエクスペリエンス対策の実践方法や、成功事例を元に、カスタマージャーニーの作成から始めてみてはいかがでしょうか。
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