CRMで注目される「リテンションマーケティング」の意味と、3ステップの実践方法

既存顧客へアプローチを行い、少ないコストで売上の基盤を作るためのマーケティング手法として注目を集めている「リテンションマーケティング」についてご存知でしょうか。
本記事では、リテンションマーケティングの意味や効果、実施するためのステップ、施策を詳しく解説していきます。
これからリテンションマーケティングを実践していきたい方は、ぜひ確認してみてください。
CRM領域で注目されるリテンションマーケティングとは?

近年、CRM領域で注目を集めている「リテンションマーケティング」。
名前は知っていても、どのような手法なのか、何を目的にして行うのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
まずは、リテンションマーケティングの意味や、注目されている背景について確認していきましょう。
リテンションマーケティングの意味
リテンションマーケティングの「リテンション(retention)」には「維持」の意味があります。
つまり、リテンションマーケティングとは「顧客を維持させるためのマーケティング手法」です。
リテンションマーケティングが注目されている背景
一度、商品・サービスを購入してもらった顧客を繋ぎ止めておくことで、リピートに繋がり収益がアップすることは想像しやすく、「顧客を維持することが重要なのは、なんとなくわかる」という方も多いでしょう。
新規顧客に販売をするよりも、商品に興味を持ち、実際に購入した経験がある既存顧客への販売のほうが容易なこともイメージできるのではないでしょうか。
実は、会社の売上を伸ばすために既存顧客の維持が重要なことは、様々な根拠によって立証されています。
例えば、「8:2の法則(パレートの法則)」では、売上の8割は2割のロイヤルカスタマーから成り立っている、といわれています。
また、「1:5の法則」では、既存顧客への販売コストを1とすると、新規顧客への販売コストは5となることが示されています。
さらに、「5:25の法則」では、顧客離れを5%改善することで、利益率が最低でも25%向上するといわれています。
これらのさまざまなマーケティング法則が示すように、既存顧客の維持は会社の売上を支える上で重要な役割を果たしています。
そのため、顧客維持のマーケティング手法である「リテンションマーケティング」が注目を集めているのです。
CRMのためにリテンションマーケティングを行う3つの効果

リテンションマーケティングを行うメリットについて、イメージできたのではないでしょうか。
次に、CRMのためにリテンションマーケティングの具体的な3つの効果について確認してみましょう。
1.売上の基盤を作る
リテンションマーケティングの1つ目の効果は、売上の基盤が作れることです。
定期的にリピート購入をする既存顧客がいることで、売上の基盤が作れます。
特に、SaaSモデルの場合は、リテンション率によって売上が大きく左右されるといえるでしょう。
売上の基盤ができると、事業が安定し、人材の確保や、新規事業への投資も行いやすくなります。
2.新規顧客獲得のためのコストが減る
リテンションマーケティングの2つ目の効果は、新規顧客獲得のコストを削減できることです。
先ほども紹介したように、新規顧客を獲得するには、既存顧客への販売の5倍のコストが必要です。
利益率を上げるためにも、販売コストはできるだけ減らしたいもの。
リテンション率を上げることは、利益率を上げることにも繋がるのです。
3.ロイヤリティの高い顧客を育成できる
リテンションマーケティングの3つ目の効果は、ロイヤルカスタマーを育成できることです。
継続利用する顧客は、段階を経てロイヤルカスタマーへと成長します。
ロイヤルカスタマーの基準は企業により異なりますが、「企業への信頼・愛着がある顧客」を指すことが一般的です。
ロイヤルカスタマーは、売上の基盤を作るだけでなく、企業のいい口コミを広めてくれたり、顧客を紹介してくれるなど、企業にとってプラスの効果が期待できます。
リテンションマーケティングを行う3つのステップ

「顧客維持のための施策が必要なことはわかったけれど、具体的に何をしたらいいのかわからない」という方も多いでしょう。
リテンションマーケティングをどのように進めたらいいか、3つのステップを確認していきましょう。
STEP1.顧客について深く知る(データを収集する)
最初のステップは、顧客について深く理解することです。
顧客に関するデータを収集し、分析していきましょう。
顧客が商品・サービスの何に対して問題を抱えているのかを把握するには、お問い合わせの内容を分析することが効果的です。
その他、特定のサービスの利用率や、現在の解約率などを把握するのもいいでしょう。
また、ペルソナ(ターゲットの中で特に重要なモデル)となりえる人の購買ステップを把握することもおすすめです。
カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客について深く知れます。
STEP2.顧客一人ひとりに合わせたマーケティングを行う
顧客について深く理解できたら、可能な限り顧客一人ひとりに合わせたマーケティングを行います。
「商品に満足している顧客」「金額に納得していない顧客」「商品の使い方を把握できていない顧客」など、状況にあわせて必要な施策を検討しましょう。
STEP3.施策の効果検証を行い、PDCAをまわしていく
マーケティング施策を行ったあとは、効果検証を行いながら、PDCAをまわしていきます。
時間や予算には上限があるため、できるだけ小さな予算で大きな効果が期待できる施策を行えるよう、施策の効果検証を行いましょう。
効果検証を行うためには、KPI(目標となる指標)を設定しておくことがおすすめです。
リテンションマーケティングをする3つの施策・方法

最後に、リテンションマーケティングの具体的な施策・方法を紹介します。
1.カスタマーサポートから顧客の意見を収集する
顧客について把握するためには、顧客からの実際の声を参考にすることが確実です。
カスタマーサポートや、販売員など、顧客と直接相対している部署から、顧客の生の声を収集しましょう。
2.顧客の意見を商品・サービスに反映させる
顧客の意見を収集した後は、意見を商品やサービスに反映させていきましょう。
例えば、「サービスが高すぎるから安くして欲しい」という意見があったとしましょう。
分析してみると、金額が高すぎると感じている顧客は、サービスの30%の機能しか使っていないことがわかりました。
この場合、30%の機能だけを使えるミニマムプラン、すべての機能が使えるプレミアムプランなど、機能別にプランをわけるという施策が考えられます。
また、一部の機能に問題があった場合は、使いやすいように再開発することも一案です。
短期的には売上が落ちたり、開発費がかかったとしても、長期的に継続してもらうことを考えた顧客ファーストな施策を行い、LTV(顧客生涯価値)を伸ばすことがポイントです。
3.顧客満足度を向上させる・ロイヤルカスタマーを育成する
商品・サービスを数回利用した顧客は「企業のファン」、つまりロイヤルカスタマーとなってもらえるように、顧客満足度を向上させていきましょう。
ロイヤルカスタマーの基準を設け、徐々にステップしながら育成することがポイントです。
例えばロイヤルカスタマーを「1年間の継続利用」「2人以上の紹介」と規定したとしましょう。
その場合「1年間の継続利用で10%オフ」「お友達の紹介で特別なプレゼント」といった施策が考えられます。
CRMのためのリテンションマーケティングを実践しよう

リテンションマーケティングを行うことで、少ないコストで売上を向上させ、売上の基盤を作ることが可能です。
本記事で紹介した内容を元に、まずは自社の顧客について知り、商品力をつけ、ロイヤルカスタマーを育成していきましょう。
-
前の記事
CRMとは?データを活用してカスタマーサクセスを効率的に推進する方法 2020.03.30
-
次の記事
SaaSビジネスの最適なアンケートの取り方とは?おすすめのツールと注意点 2020.03.30