株式会社ペライチが作る「繋がりの輪」 サポーターとの関係から生まれる良質な顧客体験

今回のインタビューは、簡単にホームページを作れるサービスで有名な株式会社ペライチ。
そのペライチがユーザー体験を向上させる要の一つとして「47都道府県サポーター制度」というサービスがあることを知りました。
その制度はなぜ生まれたか、どのような制度なのか、そしてエンドユーザーにどのようなCXとカスタマーサクセスを実現しているのでしょうか? インタビューして解ったのは、サポーターとの素敵な繋がりから生まれる好循環でした。
インタビューイーについて
株式会社ペライチ 取締役会長
山下 翔一さん

広告会社にてのキャリアを積んだ後、2014年4月株式会社ホットスタートアップを創業。株式会社ペライチに法人名を変更、現在に至る。
自身のこれまでの経験から日本全体の発展に貢献すべく法人を運営する。ペライチの運営に留まらず、40以上の企業・団体・プロジェクトにおいて役員や顧問なども精力的に務める。
(経産省と連携したプロジェクト「応援村」の実行委員広報部長、「情報経営イノベーション専門職大学」の教授など)
有限会社クライス企画 代表取締役
ペライチ 47都道府県 東京代表サポーター
添田 健さん

15年間IT業界とコンサル業界にてのキャリアを持つ。
本業はセラピストの独立開業のコンサルティングを実施、クライアント自らが自立した情報の発信ができるようにサポートを行っている。
その中ペライチというツールと代表の山下さんと出会いペライチと関係を深めていく。
現在はペライチとタッグを組み、47都道府県 東京代表のサポーターとして活躍している。
株式会社ペライチ サポーター本部・セミナー事務局
直江 つかささん

2018年6月にペライチに入社。
「セミナー事務局」として、公式に開催するセミナーの企画から運営まで全てを担う。
一方で「サポーター本部」としてもサポーターへのご案内や制度構築、CSやイベントなど、サポートや様々な機会を提供している。
新卒で入った鉄道会社で接客・社員育成のキャリアを積んだ後、食品の輸入小売り会社や映像制作会社など様々な業界での幅広いキャリアを持つ。
ペライチのサービスとパートナー制度について
今回はお時間をいただきありがとうございます。初めにペライチはどのようなサービスかを教えてください。

ー山下
はい。ペライチはWEBに詳しくなく、インターネットが得意でない方でも簡単にに使えるランディングページ作成サービスです。
例えばWIXやワードプレスであると、複数ページを作成する前提のサービスとなるのですが、その作成にあたりホームページ画面上のテキストライティング、画像の保存などもハードルに感じる方も少なくありません。
そういった方でも迷わずに「メモ感覚」でホームページが作成ができることが大きな特徴です。
様々なスモールビジネスの方々がペライチをご使用頂いており、現在22万人(*)の方にサービスをご使用いただいています。(*2020年4月現在)
例えば、コンサルティングの方や整体師、料理屋さん、農園などの多種多様の方にご使用いただいています。
今回「パートナー制度」という独自の制度についてお伺いしたく。その概要を教えてください。

ー山下
はい。ペライチでは「47都道府県サポーター制度」といいサポーターを認定する制度を設けています。
該当の地域ごとにペライチの運用をサポートするパートナーを公認して、ユーザーのフォローアップをいただいています。
ぺライチをつかっていただければ解決できることは多いのですが、インターネットやホームページへの苦手意識があり、着手そのものに不安を抱えてしまう人も多くいます。
「作るだけ」でなく、寄り添ってくれる「人」の力が必要だと考えこの制度を作りました。
ユーザーをサポートする「47都道府県パートナー制度」を立ち上げた背景

47都道府県サポーター制度を立ち上げたきっかけはなんですか?どのような背景がありましたか?
ー直江
まず課題として、ペライチは営業などが顧客につくようなサービスではないので、顧客の実情やフィードバックがダイレクトに得づらい状況にありました。
しかしとある時、ペライチのユーザー数が少ない特定の地域で、ユーザー数が一気に伸びるといった事柄が発生しました。
調べてみると「ペライチという素晴らしいツールがあるよ」と紹介して頂いた方の影響で、その地域にてユーザー数が一気に伸びたことが分かったのです。そしてその方がユーザーとコミュニケーションを取りレクチャーをすることで、満足度の高いホームページでの運用をその地域では実現していました。
それをきっかけに、地域のサポーター制度が始まりました。
サポーターさんを通して、ユーザーのフォローアップができるようになったと共に、リアルタイムなフィードバックも収集できるようになりました。
先ほどの地域で導入をアシストいただいた方は、勿論の事ながら現在もサポーターの一人としてご活躍いただいております。
「世の中を良くしたい」という信念とサポーター制度の合致
添田さんと山下さんの出会いのきっかけはなんですか?
ー添田
私がWEB制作における講座のサポートをしたときに「簡単にランディングページを作れるツールがあるよ」と紹介されたのが、山下さんとの出会いのきっかけでした。
今までワードプレスやWiXなどを使っていたのですが、そこから偶然ペライチの機能性の良さを知り、使い始めました。
しかしペライチのツールとしての「機能性」の面だけでなくて、「山下さんのファン」という一面も大きいです。
山下さんの熱量に負けて、ではなかった。
(一同笑い)
ー添田
ポジティブで熱い山下さんの想いに、皆引き込まれていくんです。3分話せば皆引き込まれますよ。
ー直江
ええ、必ずどこかの地方に行ったら、ファンを作って帰ってきますね(笑)
偶然のきっかけから山下さんの熱い想いに引き込まれる
ー山下
余談ですが、私は「世の中を良くしたい」という想いがあります。
私は佐賀にて生まれました。実家は印刷業を営んでいましたが、その産業も地方の経済も、衰退していくのを目の前で見てきました。このような状況は自分の故郷だけでなく日本全体で起きている。そこをなんとかしたい、という思いが強いです。
私は1年の中で東京にいるのごくわずかです。日本の北から南まで飛び回って様々な問題を見ています。
私はペライチはあくまでツールとし世の中をどう良くするか、どう日本を元気にするかいうことが目的として動いています。
ー添田
その思いを引き継いでいるのか、社員さんも素敵な方が多いです。実際、ペライチの会社に行ってみると雰囲気がとてもいい。壁がなく話してくれるんですね。
私はペライチという会社自体のファンなんです。だからどんどんユーザーを紹介しているんですね。
「エンドユーザー」にペライチが与える良質な体験
エンドユーザーにペライチを紹介した場合、他ツールとの違いはどこにありますか?
ー添田
はい。私たちのサポーターの観点から見て、ペライチの紹介すると「楽しんでつかってくれること」が他ツールとの大きな違いですね。
例えば、どうやったら作れるの?ではなく「楽しいね」っていうところからユーザーの体験が始まります。楽しいから「これもできるかな」「あれもやりたいな」とユーザーが能動的に動いてくれます。
それを実現する為にサポートをするといった内容になることが多いです。
例えば私はワードプレスでのサポートもしますが「これができない」「あれができない」という制約から利用の体験が始まります。対してペライチはそれがありません。
体験の質が別物なんですね。
「サポーター」に与えるペライチの体験設計
なるほど。対してペライチさんはパートナーの方々へどのような取り組みをしていますか?
ー直江
はい。その後、私達はサポーター本部を立ちあげ、関係構築やエンドユーザーのサポートをしやすいようにする取り組みをしました。
正式には「47都道府県サポーター制度」といい、現在それぞれの地域に合計で200名のサポーターがいらっしゃいます。
実際にリアルで会えないことも多いので様々な接点を考案、提供しています。
1:オンラインの情報共有の取り組み
まずオンラインではFacebookのコミュニティーを作りました。共有スレッドを作り皆様とやり取りしています。

動画コンテンツ配信なども実施、サポーターの方々へ様々なナレッジの共有場所になっています。
双方向でのコミュニケーションが発生しますので、温度感を直に知れたり、ツールの改善など機能リクエストをいただけるメリットがあります。

(新機能リリースにて喜ぶサポーターとのやりとり)
2:リアルイベント(Face to Face)の取り組み
そして共有チャットだけでなく、リアルで会う機会も提供しています。月一は全国のどこかの地方にて、飲み会やサポーターサミットなどのイベントを実施しています。

参考: https://peraichi.com/landing_pages/view/supporter-summit
ZOOMも積極的に活用し、WEBの飲み会なども企画して、仲を深めるようにしています。
それ以外にも「ペライチニュース」と釘打ち、サポーターさんへお知らせしたい情報と共にお話しできる機会を設けました。

実際会えなくても顔が見え、コミュニケーションできる機会を多数提供していることがポイントです。
3:サポーターの役に立つコンテンツの拡充
これから更にサポーターの方々へのコンテンツを拡充していきます。例えばナレッジ共有サイトなどの作成です。
そして、サポーターとエンドユーザーをつなぐ場として「ペラナビ」というサイトがあるのですが、そちらの推進も図っています。

サポーター制度を実施後に変わった顧客体験
サポーター制度を実施することにより、ペライチのエンドユーザーの体験はどう変化しましたか?
ー山下
サービス運営側として、私の目的は創業当初から何一つ変わっていませんが、そのゴールに一歩近づいたような感覚は感じることができました。
ー添田
1:信念の浸透とユーザーへの更なる寄り添いが生まれる
私達サポーター目線で言えば、ユーザーへの寄り添いが更に生まれました。
ペライチ自身が、サポーターに対して「ユーザーにこのツール(ペライチ)を押し付けないで、課題を解決する一つ手段として考えて」と常々発信しています。
サポーターにはWEB制作の人だけでなく、カメラマン、Youtube、SEOなど様々な専門家がいます。その全体に「ペライチを押し付けず、ユーザーの問題を解決することを第一として欲しい」との考えがしっかりと浸透しています。
2:サポーター同士での連携の発生
47都道府県サポーター制度が生まれたことで、地方サポーター同士での連携なども生まれました。
リアルでやってた教室のオンライン化、Zoomの立ち上げ方などのセミナーを、福岡、東京、札幌、静岡など複数の地域を跨ぎ実施しています。
そのきっかけは前途の若山さんがおっしゃったサポーターサミットでした。
サミットではそれに付随して「前夜祭」や「打ち上げ」で飲みがあるのですが、結構参加する方もいらっしゃいます。そこで様々なコミュニケーションが発生します。
素晴らしいコミニュティですね。ペライチさんの社員とサポーターさんはとても仲良しに見えます。
ー添田
ええ、本当に素晴らしいと思います。まず大前提としては、アプリとしての機能性が素晴らしいです。何回もお伝えしてしまいますが。
そしてそれに関わる社員さんとの距離がとても近いです。
発生する良質なコミュニケーションと機能改善
実際にサポーターサミットで欲しい機能を実装したエンジニアさんが、サポーターさんから直に賞賛されるようなことも発生しています。
エンジニアさんは喜んで更に開発してくれると、いったことも過去にありました。
サポーターはエンジニアの人に直に声をかけれるし、エンジニアがサポーターに意見を直に聞けるようなフラットな関係性があります。
今後のペライチが目指す姿

今後はサービスをどのようにしていきたいですか?
ー山下
引き続きペライチはコンセプト自体変わらず継続していきます。機能面ではこれから拡充や差別化を図っていきます。
1:ユーザーが助かるずっと使い続けられる仕組みの提供
ユーザーはペライチだけを使用していれば要望が叶うような体制を追求していきたいです。
例えばこれから問い合わせに機能においては「カレンダーからの予約システム」、マーケティング領域では「ブログ機能」などを実装しようと思っています。
ユーザーが助かる仕組み、機能を追加提供していく予定です。
2:「今日作るなら」「トライするなら」ペライチというブランディング確立
ユーザーが「一番最初の選択肢」として選べるホームページ作成サービスの代名詞として立ち位置を確立したいです。
「誰でも今日中にホームページが作れる」「トライするならペライチ」と自信を持って言い切れることが以降、大事だと思っています。
そして、私が「この日本を、世の中を良くしたい」という元々のゴールはこれからも変わりません。そこに近づけるようにこれからもサービスを構築していきたいと思います。
編集後記
今回サポーター制度という「交流の場」があることで、ペライチさんの中でPDCAが回る好循環を知ることができました。
実はプラットフォーム企業においてユーザー会は実施している企業は数あれど、実際の改善に生かすことができない企業は多くあります。
その中改善を実際に成しとげている要素として「サポーターとコアメンバーの距離の近さ」があるのは間違い無いでしょう。
自信を持って「ペライチのファン」と発する添田さんはじめサポーターの皆様、皆を惹きつける山下さん、その場を作り上げる若山さん。
誰かが欠けていたらこの好循環は今、生まれていないのでしょう。
ペライチを通して始まった素敵な皆の輪、素敵な体験がこれからも広まり続けてほしいと願っています。
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