「100万人に好かれるより100人に愛されるプロダクトを」OYA’sが思うCX向上のヒント

2020年7月に国内向けの体験プラットフォーム「WalCal(ウォーカル)」をリリースした株式会社OYA’s。
代表の小澤明矢さんにインタビューを行いました。
すべての根底にあったのは徹底した顧客目線の取り組み。
CX向上のための顧客への向き合い方や徹底した顧客目線を貫く理由に迫りました。
インタビューイーについて

株式会社OYA’s代表:小澤 明矢(ozawa akiya)さん
日常にちょっとした学びと楽しみを
まず、貴社のサービスの概要を教えてください。

WalCalは、体験や遊び、学びが楽しめるアプリです。
たい焼き作りやオリジナルグラス作り体験、ジャンケンアプリ制作体験など、さまざまな体験が掲載されています。
利用者の方はアプリ上で体験を選んでホストとのメッセージのやり取り、支払いまですべて完結させることができルようになっており、簡単かつ安心して体験が楽しめます。
体験はマップ上から探すことができ、旅行中に体験を組み込んでスケジュールを立てやすいように配慮。
チャットのやりとりで、体験の利用者とホストの間でスケジュールを合わせられます。
ホストから体験提供価格の10%を手数料としていただく以外は、掲載料などはすべて無料です。
現在、アプリのダウンロード数は約1800DLです(2020年7月時点)。
男女比はかなり前のデータですが、男性7割、女性3割と男性の割合が高くなっています。
ガイドブックには載らないユニークな体験を
なぜ現在の取り組みを始められましたか?

ミートアップでオーストラリア人の旅行者と話をさせてもらったときに、旅行中に感じている課題があるという話を聞いたことがきっかけです。
訪日外国人の中には、ガイドブックには載っていない地元の人との交流や日本ならではのユニークな体験を求める声があるが、旅行者は時間が限られる中でリアルタイムに体験を探したり、予約するのが難しかったという課題があり、それを解決したくサービスを始めました。
そのため、元々は訪日外国人向けのサービスとしてスタートしました。
正式リリースは2019年10月中旬です。
営業活動を行い、ホストとして体験を提供してくれるところが30ほど集まっていましたが、新型コロナウィルスの影響でターゲットであった訪日外国人旅行者が激減。
開発から約2年をかけて制作したサービスは2020年4月上旬に一時休止せざるを得なくなりました。
しかし、休止前の営業活動を行っているときに、コロナ渦でお客様が減る中でまずは国内のゲストにサービスを提供したいという声がホストの方からありました。
そこで、まずは国内の需要を回復させる考えに至り、WalCalを2020年7月に国内向けの体験プラットフォームとしてリニューアルしたところです。
訪日外国人向けのサービスを作ろうと思ったのは、今までされていた仕事が関係しているのでしょうか
一度も就職することなく起業したので、これまでの仕事などは関係ありません。
スティーブジョブスやイーロンマスクのスピーチを聞いていると、チャレンジするなら若いうちにした方がいい言っていたので、若いうちにチャレンジしようと思って会社を作りました。
アメリカの大学にいたのですが、そのときロサンゼルスにいた友達の影響も大きいです。
ロサンゼルスは第二のシリコンバレーのようになっていて、そんな環境の中で自分もサービスを作ることが好きになりました。
ただひたすらにユーザーと対話し続ける
それでは当メディアの特徴であるCXに関してお伺いします。現在どのようなCXを上げる取り組みをされていますか?
弊社サービスはマーケットプレイスなので、ゲストとホスト双方のCX向上に取り組んでいます。
ゲストに対してはアプリのUX改善です。
ゲストの方が簡単に体験を楽しめるよう、体験探しから数回のタップで体験が購入できるような仕様にしてあります。
また体験のご購入前にホストにチャットで気軽にメッセージ出来るような仕組みになっており、安心して体験の購入ができるようにしています。

ホストに対して行っているのは、アプリを使い続けてもらえるようなサポートです。
ホストの方とは実際にお会いして、アプリがどう動くのか、体験の掲載をどのようにするかなどをご教授させて頂いております。
また、ホストからの疑問や質問をいただいた場合には、即日対応を基本としてスピーディに対応することを心がけています。
取り組みをするうえで大切にしていることはありますか?
ユーザーの生の声を吸い上げることです。
ホストの方からは常にフィードバックをもらっています。
例えば、今はアプリを開くと体験のイメージしか載っていません。
これだけでは体験のイメージが利用者に伝わりにくいため、ここに動画を組み込みたい、詳細を入れたいとホストの方から言われました。
このようなフィードバックをもらったうえで、開発で直してまたホストさんにフィードバックをいただくという流れでニーズを反映しています。
ゲストの方も当初は外国人を想定したサービスだったので、訪日外国人の旅行者から意見をもらっていました。
現在は自分でもジャンケンアプリの制作体験を提供していて、体験を購入された方からの声を拾えるようにしています。
ユーザーからの「わからない、使いづらい」という声を拾って、長期的に使ってもらえるサービスにしていかなければいけないと考えています。
このような声を放置していては長期的に使えるサービスになりません。
日本全国、そして世界へ
今後どのような取り組みをしていきたいですか?

今後は2つの点に重きを置いてCX向上の取り組みを考えています。
ひとつは安心して体験を楽しんでもらえるように、新型コロナウイルスへの対策を徹底することです。
実際に掲載しているたい焼き作りやオリジナルグラス作り体験は、どうしてもホストとゲストが対面になってしまいます。
ホストの方にもご協力いただき、コロナが終息するまではマスクの着用義務、消毒、3密にならない環境作りをしていただき、ゲストの方に安心して体験を楽しんでいただきたいと考えています。
もうひとつは、定期的なユーザーフィードバックやユーザー行動からのサービス改善です。
ホストの方の中には既に他社の体験プラットフォームサービスを利用している方がいますが、そのサービスへの不満や欲しい機能がないという声を頂きます。
ホストの方に実際にお話を聞き、その生の声から率直なサービスの意見をいただくことで、サービス改善や今後のCX向上を目指していきます。
事業規模をどこまで拡大していきたいとお考えですか?
いつかは世界展開をしていきたいです。
元々、訪日外国人向けのサービスとして開発していたため、英語圏の国はすべて対応予定でした。
実際、シンガポールなどでも登録している方がいらっしゃいます。
海外展開をして国内にも展開という予定が逆になった感じです。
国内においても、徐々にエリアを拡大していきたいと考えています。現在は東京を中心に広がっている段階です。
以前は地方でも話をしていて、福島県のある地域でホストの獲得を目指して動いていました。
こんにゃくが有名な地域だったので、こんにゃく作りを体験して食べるという体験を検討していたのですが、地方はテクノロジーの浸透が遅いことがネックになりました。
インターネットやアプリというのは、ホストになる方からするとハードルが高いと。そのため、今は地方での動きはストップしています。
ただ、そのような地域でも地方創生の動きはあるため、その動きに絡めてできることを考えて動いていきたいです。
100万人に好かれるより100人に愛されるプロダクトを
それでは最後に、小澤様の事業を通じて実現したい想いをお聞かせください。
アメリカ屈指のアクセラレーター「Y Combinator」の教えに「100万人に好かれるより100人に愛されるプロダクトを作りなさい」というものがあります。
これを体現するためにも、ますはユーザーに渡して、フィードバックをもらいつつ、少人数のユーザー満足を達成していきたいです。
いきなり会社を大きくしようとしてもユーザーフィードバックが受け取れません。
ホストの対応もできなくなります。
コロナウイルスで大変な状況ですが、今はしっかりと耐えて、弊社のビジョン「より良い生活を生み出す源となる」を実現していきたいです。
編集後記
体験プラットフォームWalCalを展開する株式会社OYA’sの代表、小澤様にお話を伺いました。
自らの足を運んでホストの意見を拾い上げてプロダクトに反映させ、自分で体験を提供してゲストの声を拾い上げるなど、地道な活動で熱量の高いコアなファン獲得をされているのが印象的でした。
国内の体験マーケットプレイスとしてリニューアルしたばかりで、これから展開がとても楽しみです。
小澤様、お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。
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