注目のサブスクリプションサービス「定額カルモくん」。顧客満足度98.77%を獲得したCX(顧客体験)

月額定額料金で国産の新車や良質な中古車を利用することができるサブスクリプションサービス「おトクにマイカー 定額カルモくん」。
2018年1月のサービス開始からわずか2年半の比較的新しいサービスながら、地方在住ユーザーを中心に高い人気を博しています。
短期間で事業成長を成し遂げることができた秘訣とCX(顧客体験)戦略、今後の展開についてお話を伺いました。
インタビューイーについて

ナイル株式会社 執行役員 モビリティサービス事業部 事業CTO 梅本雄二氏
SIerとして様々なシステム開発の下流から上流まで携わった後、大手共通ポイント運営会社など事業会社の開発責任者を歴任。
2018年よりナイルにジョインし、執行役員としてモビリティサービス事業部CTOと、全社的なDXなどICT推進を兼務。
まずは「定額カルモくん」のサービス概要について教えてください。
「おトクにマイカー 定額カルモくん」は、月額定額制のカーリースサービスです。
頭金や初期費用、ボーナス払いなど一切なく、完全定額料金でご提供しております。
カーリースというと、ガソリンスタンドさんや整備工場さんとの兼用など形態は様々ですが、どんな形であれ何かしらのリアル店舗が存在しているケースをイメージされることが多いですよね。
しかし「定額カルモくん」は実店舗をもっておらず、オンラインやお電話などで契約を行い、納車もお近くのディーラーからご自宅にお届けしておりますので、お客様にはご自宅から一歩も出ることなくマイカーを手にしていただいております。
国内カーリース業界で初となる契約期間最長11年というプランも実装し、類似サービスと比較しても格安の料金でご利用いただける点が最大の特徴です。

参考:https://carmo-kun.jp/docs/about/
万一の事故や故障などへの備えとしては各種メンテプランをご用意しており、最上位のプランであれば最長の11年間、ずっとメーカー保証と同程度の保証を受けることも可能です。
また、実店舗を持たない代わりに、ユーザー様とはサポートの連絡や各種コミュニケーションを迅速に取れる体制を整えています。
近々、お客様専用のアプリをリリース予定でして、そうなれば、よりタイムリーに接点を持つことができるのでお互いにとって非常に大きなメリットだと感じています。
短期間で急成長を成し遂げられた要因は何でしょうか?
実店舗を持たずに国産車をリースするスタイルにより、リーズナブルにご利用いただけるようにしたことで、地方に住まれている方の手軽に車に乗りたいというニーズにうまく対応できたことではないでしょうか。
現在のユーザー様の傾向としては、地方に住まれている方が中心で、年齢層は40~50代で、ごく一般的なご家庭の方からの申し込みがかなり多いです。
大都市に住んでいる方はそもそも車を必要としておらず、公共交通機関を利用することが多いです。
確かに首都圏に住まわれている方でも、「高級外車を短期間で安く乗り換えたい」というニーズもあり、それに応えるサブスクリプションサービスを展開されている企業さんもあります。
しかし、そういったニーズを当社は狙わず、現在のユーザー様が抱えていたニーズにフォーカスできたことが短期間で一定の成果を出せた要因だと考えています。

あとは、車を利用される方の価値観が変わってきたこともあり、それに伴って国内のカーリース市場全体が伸びているということも大きいです。
昔は車だけでなく、家やCDなどを「所有すること」に価値を感じている方が多かったのですが、ここ数年のサブスクリプションサービスの普及とともにどんどん「利用すること」にシフトしてきています。
特に「サブスク×自動車」はMaaS(Mobility as a Service=サービスとしての移動)が注目されている通り、自動運転技術の確立や、EV車の増加などと相まって今後も発展していく分野だと考えています。
CXの向上に関して工夫されていることや力を入れていることはありますか?
当社は元々デジタルマーケティング関連の事業が中心だったので、BtoBでのやりとりがほぼ全てで、toCのビジネスが初めてだったことに加え、サブスクリプションモデルの事業も初めての経験でした。
そのため、立ち上げ当初は手探りで試行錯誤を繰り返している状況が続きました。
特に、サブスクリプションという仕組みやカーリースのサービスを一言で伝えるのは難しく、サービスの内容をどう説明して、メリットや利点をどう理解していただくかという点に一番苦慮したと思います。
具体的に意識して取り組んだことといえば、まずは自社メディア・サイトの内容を拡充したことです。
わかりやすく、イメージで伝えられるようなコンテンツを増やして参りました。

参考:https://carmo-kun.jp/manga/
また、セールス部隊によるサービス概要の説明の質をあげたことに加え、トラブルになりやすい契約の確認なども徹底してブラッシュアップしました。
中には厳しいご意見を頂く事もありましたが、ユーザー様のお声を真摯に受け止め、対応・分析を行い、現在では、顧客満足度を98.77%と高いレベルで維持できています。
アフターフォローを強化したり、メンテナンスプランを検討したりといった様々な取り組みをしてきましたが、結果的にCX向上が達成できているということは、この2年間の最大の成果と言えるかもしれません。

今後どのような取り組みをしていきたいですか?
先ほどお話ししたことと被ってしまいますが、これまでは地方在住の方に向けたサービスを中心に展開してまいりましたが、全く大都市の方々をターゲットにしていないのかと言われるとそうではありません。
セグメントは細くすればするほど可能性はあると考えているので、その中でも一定の市場規模があり、当社のサービスで有用なカーライフが提供できそうであれば積極的に狙っていきたいと思います。
またMaaSが動きを見せることで、電動キックボードやセグウェイのような従来とは全く異なる交通スタイルが今後出てくる可能性は十分にあると思います。
車だけでなく、乗り物が変わっても何かしらの横展開をしていくのは面白そうですね。

また、今後は当社とユーザー様を結び付けるアプリの開発により、アプリを起点にした新しいサービスを作っていきたいと思っています。
ドライブレコーダーなどとリンクさせられれば自動車保険の会社さんともコラボが可能でしょうし、フードデリバリーや買い物代行など最近流行りつつある副業ともシナジーがありそうです。
当社のサービスが元となり、プラットフォームを生み出せれば、皆様のカーライフをより楽しく、豊かにするという目標に近づけるのではないかと思います。
編集後記
年間で数百万人単位で自動車関連商品の審査に落ちている人がいるという事実を知り、非常に驚きました。
若者のクルマ離れというフレーズはよく聞きますが、確かに嗜好が変わったこともありますがマイカーの保有を断念せざるを得ない状況の方も少なくないのかもしれません。
特に地方においては車が生活において必須であることに加え、高齢者の移動、空席の活用などなど隠れたニーズ・商機はまだまだ残されているでしょう。
人々の生活を豊かにするリースサービスに、今後も注目していきたいです。
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