モノオクで誰でも社会的交わりのある世界を。CtoCならではの顧客体験(CX)戦略とは

収納の課題をテクノロジーで解決する、個人間のモノ置きシェアリングサービス「モノオク」。
2018年4月に事業をスタートし、瞬く間に全国へと広まっているサービスです。
今回は、そのCSを担当されている鈴江様にインタビューを行いました。
CtoCならではの顧客との関わり方や顧客体験(CX)向上のためにどのような取り組みをされているのでしょうか。
インタビューイーについて
広報PR兼CS担当:鈴江様
CtoC物置シェアリングサービスモノオクとは
まず、貴社のサービスの概要を教えてください

「モノオク」は、収納・保管に困る荷物を預けたい人と、空いたスペースを物置きとして提供したい人をマッチングする個人間の物置きシェアリングサービスです。
使っていない部屋や押入れ、余った倉庫などを物置きとして利用することで、従来より安価にモノを保管することができます。
登録ユーザー数は、預ける側(ゲスト)とスペースを貸す側(ホスト)のトータルで1万8000人強です。
どのような方が利用されるのですか?
利用シーンは、預ける側(ゲスト)と預かる側(ホスト)で違います。
ゲストの利用目的として多くを占めるのは、引越しの荷物があるとき(引越しの退居日と入居日までにタイムラグが生じた場合など)です。
他には、都会のマンションでスペースが狭く、趣味のものを置くことのできる場所がない場合などです。
個人ではなく企業や組織単位での会員もいます。(小さい事業をしている会社の在庫の保管場所など)
ホストの利用シーンは、新しい家を建てたが、まだ子供が小さくて子供部屋を使っていないときや、子供が進学や就職で巣立って使っていない部屋ができたときなど。
使わないオフィスがある企業もホストとして利用されています。
特に最近はリモートワークが増えてきており、使っていないオフィスの登録が増えています。

競合となるサービスはどのようなものがありますか?
利用目的が競合するところとして、既存のトランクルームや倉庫サービスやCloud系の収納サービスなどが挙げられます。
競合サービスと比較して、モノオクならではの機能や強みと考えている部分は3つあります。
- 既存のトランクルームサービスと比べて格段に安い価格
- 全国各地のスペースを展開(スペースは全国47都道府県)
- モノの大きさや量の条件を問わず預けることができる
保管料金は月額で、初期費用や鍵交換代はなく、荷物を置くスペースの料金とサービス手数料のみで利用できます。
ホストがスペースを登録するにあたり、1畳あたりの料金を設定します。
その後、ゲストの荷物を置くのに何畳必要か、その荷物の大きさや量に合わせて見積もりを発行する仕組みです。
相場は、東京では1畳あたり月額6000~7000円。他の地域だと月額3000円〜で設定できるようになっています。
最も手頃で魅力的なだれでも使えるモノ置きサービスをつくる

なぜ現在の取り組みを始められましたか?
民泊が日本に上陸したぐらいの頃、代表の阿部がいち早く目をつけて自宅を民泊として登録、運営を行っていました。
あるときお客さんから、泊まらないが荷物だけ預けたいという依頼がありました。
そのときに気軽に荷物を預けることのできるサービスがないことに気付き、そのようなニーズがあるのではないかという考えから着想を得て誕生しました。
サービスを開始する前に、地元の掲示板で『気軽に使われていない空きスペースを物置として使いませんか?』という募集をかけました。
一定数の興味を持ってくれる人がいたことで、需要があるということを確信し、サービスを開始しました。
ホストとゲストのスムーズなマッチングを目指して

それでは当メディアの特徴であるCXに関してお伺いします。現在どのようなCXを上げる取り組みをされていますか?
サービスの特徴強化とサポート体制の整備です。
手ごろな価格で預けられる、近い場所でスペースを探せる、荷物の大きさや量に合わせてスペースを選択できるというサービスの特徴を伸ばしていくことが、CX向上につながっていると考えています。
サポートについては、基本的にはCtoCサービスなので、ホストとゲスト同士でのやりとりが基本ですが、何か不具合やトラブルなどが起こった場合にはすぐに対応できるような体制を整えています。
また、マッチングをスムーズにするためのサポートにも力を入れています。
具体的にどのような取り組みをされていますか?
サポートについては、問い合わせのしやすさを重要視しています。
問い合わせ窓口はLINEを使用しています。
LINEにすることで普段PCをあまり触らないご年配の方や学生さん、主婦(主夫)の方からもスマホから気軽にお問い合わせいただけるようになりました。
メールだと敷居が高いため、LINEにすることで相談の障壁を取り除いています。
LINEにしたことで、お荷物保管状況の確認など、こちらからもユーザーに連絡が取りやすくなりました。
また、LINEの通話機能でホスト向けの無料カウンセリングサービスも行なっています。
他にも、都内ではスペースの写真撮影と広さの計測のお手伝いもしています。
サービス利用が終了して解約するケースに関して、継続的にサービスを使っていただけるような工夫や取り組みはされていますか?
リピーターの利用を増やすことよりも、お荷物を預けたいというニーズが発生した時に、すぐに預ける場所を探せることを重視しています。
長期間荷物を預けるゲストを増やすために、長い期間で預けられるという条件を設けられるホストさんを集めたり、保管期間延長の問い合わせをより気軽にできるようなサイトのUX改善をしているところです。
また、ホスト側にも長期的に登録してもいいと思ってもらえるよう定期的にミートアップを開催し、機能の改善やロイヤリティの向上を目指しています。
これまでもホストの方々同士のコミュニティを作ることを目的として、月1回、モノオクスタッフとホストの交流会を開催していました。
ホスト同士のコミュニティへの帰属意識があることで、心理的負担なく気軽に相談や問い合わせができるようになると考えています。
モノオクサービスのホストの一員であるというような帰属意識を持ってもらうことが、サービスを継続的に使ってもらえるような工夫です。
(現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催を一時中止しています。)
コミュニティ強化がサービスの継続的利用に
今後どのような取り組みをしていきたいですか?
ホストがしっかりと継続的に収益を得られるようなバックアップをしていきたいと思っています。
ホストの方からの問い合わせで、自発的にモノオクのチラシを配っていいかどうかといったものが増えてきています。
積極的にスペース運営をしたいと考えられているホストの方が増えてきたので、チラシの制作・配布や、スペースの写真撮影、荷物にホコリがかぶらないようなオリジナルのカバーの作成など、ホストのスペース運営に役立つ取り組みに注力していきたいです。
モノを預けるサービス需要の高まりと全国展開をより強固に
最後に、モノオクがこの事業を通して実現したい想いをお聞かせください。

モノの扱いに関する変遷として、フリマアプリの普及などにより「捨てる」から「売る」という選択肢が定着しました。
次は「預ける」が浸透するよう、このサービスをもっと普及させていきたいです。
新型コロナウイルスによる情勢の変化があった中で、2020年5月から新規事業としてオフィスの撤退・縮小サポート事業を始めました。
テレワークへの移行によってオフィスを退去・縮小移転する際に、使わないオフィス用品の配送・保管・処分をモノオクで請け負うサービスです。
今まで個人のお客様が多かった中で、これからはしっかりと法人のお客様もサポートするような流れを加速させていきたいと思います。
編集後記
CtoCのモノ置きシェアリングサービス「モノオク」のCS担当、鈴江様にお話を伺いました。
サービスの使いやすさや利便性を追求するというUXの向上、一歩踏み込んだユーザーとの関係作りによる関係構築によってCXの向上に取り組まれているのがわかりました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響に対応する新規事業をスタートさせるなど、そのスピード感にも驚きです。
今後もさらなる普及によって全国の収納問題を解決していってくれることでしょう。
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