振込業務自動化サブスクリプションサービス「Toriders(トリダース)」を支える顧客体験(CX)

バラバラなフォーマットの請求書をAIが解析、一瞬で振込情報を取り出しまとめて、支払い業務を楽にする振込業務自動化サブスクリプションサービス「Toriders(トリダース)」。
自分が使いたいサービスがなかったから自分たちで作ってしまおうと、2019年11月にリリースされたサービスです。
そんな行動力と技術力を持ち合わせた、株式会社mofmofの代表、原田様にインタビューを行いました。
次々と新しいサービスをリリースされる原動力や事業立ち上げ時のCXへの取り組み、継続率改善への愚直な取り組みなどについてお伺いしました。
インタビューイーについて

株式会社mofmof エンジニア兼代表取締役:原田 敦様
「つくって人を幸せにする」ことがミッション。
フリーランスエンジニアを経て、新たなことに挑戦したいという想いから事業を立ち上げる。
株式会社mofmof 広報・採用担当:高梨 杏奈様
本来やるべき仕事に集中できる環境を

まず、貴社のサービスの概要を教えてください。
Toriders(トリダース)は、バラバラなフォーマットの請求書をAIが解析し、一瞬で振込情報を取り出しまとめることで支払い業務を楽にする、振込業務自動化サービスです。
トライアル無料登録するだけでアカウントを発行できます。
面倒な手続きなしで、今すぐに請求書の自動解析を試すことが可能です。
これまで数時間〜数日かかっていた支払い業務(振込業務)をたった10分に短縮することができるため、振込業務の工数を削減し、経理業務の業務改善のサポートにもつながります。
サブスクリプションサービスになっており、無料トライアル後は月額5000円から利用が可能です。
請求書の枚数に合わせてプランを複数用意しています。
そのほかにも「開発チームレンタル」「My-ope office」「いきなりMVP」「シェアリングエコノミースターターパッケージ」などのサービスも提供しています。
トリダース独自の特長はありますか?

請求書から手打ちで入力していた分の工数を大幅に削減し、振込業務に伴う工数の約50%を減らすことに成功しました。
紙媒体の請求書でもスキャンして取り込むことで、自動的にテキスト化、解析することができ、ヒューマンエラーを防止できます。
また、従来型サービスのように、請求書のフォーマット定義設定をする必要はありません。
既にご利用の会計システムと連携して使用することも可能です。
面倒な営業訪問や契約手続きなど不要で、すぐに使い始めて体験することができるため、他社と比べて圧倒的な安さとスピードで始められます(初期費用不要)。
このように、業務の自動化・改善ができるのはもちろん、余計な準備も必要ないため、本来やるべき仕事に集中できます。
「技術が目的、ビジネスは手段」あなたはなんのために働きますか?

会社を立ち上げたきっかけを教えてください
元々フリーランスでエンジニアをしていたのですが、もっといろいろな分野に挑戦してみたい、事業立ち上げにもチャレンジしてみたいと思い、会社を設立しました。
とにかくものを作ることが好きで、自分が作ったものを誰かにつかってもらい喜んでもらえるとうれしいよねという想いでやっています。
なので、究極的には自分のために働いています。
会社としても「もふもふな価値観」の一つに「会社のためではなく自分のために働くこと」を置いています。
生活をする 上で会社で働くことは必要不可欠ですが、mofmofでは各自の目的をもって「自分のために働いて欲しい」と願っています。
実際に参画するメンバーの多くは技術に対して興味関心が深く、ただ業務に取り組むだけではなく自身のスキルアップにむけたキャッチアップや個人開発にも積極的です。
そんな技術好きなメンバーばかりのmofmofには「技術が目的、ビジネスは手段」という文化があり、技術を中心に事業を展開しています。
事業を立ち上げる際、まずは「使いたい技術」を選択し、その技術を使って実現できそうなプロダクト候補を検討していくテクノロジーアウトのアプローチで事業を作っています。
なぜ現在の取り組みを始められましたか?
Toridersの開発のきっかけは原田自身の課題からでした。
弊社は20数名の小規模な会社で、メンバーのほとんどはエンジニアで経理部門などもありません。
そのため、振込作業は原田自身が担当しており、毎月数十件の請求書を受け取っています。
振込作業を一人で担当していると、2~3か月に一度のペースで振込漏れや重複振り込みが発生するなど、ミスが発生しやすくなっていました。
振込業務は、単純労働であるにも関わらずミスが信用問題に繋がりかねないセンシティブなものなので、「出来るだけ時間をかけずに正確にこなしたい」と思い、この領域のサービスを探し始めました。
しかし、該当するものは見つけられなかったため、自社で作ってしまおうと考えスタートさせました。
比較的小規模な企業や事業を立ち上げたばかりの企業だと、弊社と同様に専門の経理部門を持っていないケースがまだまだ多く、非生産的だけど手を抜けない振込業務にウンザリしている企業も多くいるのではないでしょうか?
また、一般的な経理担当者にとっても非生産的な振込作業以外に力を入れたい重要な業務が多くあると思います。
このような方々が本来注力すべきことに全力を出せるように、圧倒的に振込業務を楽にするにはどうしたら良いだろうか?という観点からこのサービスが生まれました。
想いの詰まった製品を軌道に乗せるまでの道のり

それでは当メディアの特徴であるCXに関してお伺いします。現在どのようなCXを上げる取り組みをされていますか?
請求書を自動解析するアプローチをとっているサービスは今では何社かありますが、その多くは事前設定を必要としているものが多く、導入するまでに多くの手続きが必要になります。
Toridersでは、営業訪問や面倒な手続きを全てなくして、「まずは動かして試してみる」ということを重要視しています。
手間を減らすために多くの手間を費やさなければならないという事態をできるだけ避けたいからです。
具体的に取り組んでいることはありますか?
今はCXを改善したいけどどこからやろうかというフェーズです。
離脱ポイントは見ていますが、何が原因で継続率が悪いのかがはっきりわかっていません。
そのため、ユーザーインタビューやアンケートで原因を探っています。
アンケートを流して、サービスに必要なサポートやNPSで使うような内容を入れて回答していただいています。
現在の利用者だけでなく、離脱者インタビューも行っており、使わなくなった理由もヒアリングしています。
事業立ち上げフェーズではそれが一番効果的なのではないかと考えているので、とにかくそこをやるという感じです。
また、事業を興した経験のある方にどこから改善するべきかということを話し合ったりもしています。
CXに取り組むうえで課題に感じているところはありますか?
サービス自体が、どう嬉しいかを伝えにくいジャンルだなと思っています。
嬉しいと感じられるところまでしっかりとサポートしないとうまく使えないうちに終わってしまうのかなと考えています。
あとは人員ですね。非常に少人数で運営しているので、思い切った施策が施しにくいところがあります。
ユーザーは自分の欲しいものを言葉にできない

今後どのような取り組みをしていきたいですか?
とりあえず試して動かせるというところまでスムーズに行ったとして、本格的な導入のためには社内的な事業や他のシステムとの兼ね合いなど多くのハードルが存在します。
今後はさらに導入をスムーズにできるように、伴走していけるようなカスタマーサクセス体制の充実を検討しています。
便利だと感じてもらえるまでの距離が長いので、そこまでしっかりとサポートすることが重要だと考えているからです。
今後の取り組みをするうえで、チームとして大事にしたいことはありますか?
さまざまなサービスに共通して言えることではありますが、ユーザーからのアンケートやインタビューをもとにフィードバックを得ることは続けたいです。
事業が大きくなるとインタビューを行う習慣がだんだん薄くなってくると思うんですが、そうすると潜在的な課題が発見できなくなるのではないかと思っています。
まずは、現状ではどこに課題があるのか仮説を立て、アンケートやインタビューを行い、ユーザーが本当に求めているものを見つけてサービスを作ること。
お客さんは欲しいものを言葉にできないことが多いため、インタビューの中からそれを見つけてお客さんに提案していくことがサービスの価値を上げるために大切だと思っています。
編集後記
支払い業務を楽にする振込業務自動化サービス「Toriders」を展開する、株式会社mofmofの代表、原田様にお話を伺いました。
原田様をはじめ、社内の1/3は個人開発で自ら「もの」を作り出しているほど技術が好きなエンジニアの集まりという、技術好きが集まっていることが次々と新しいサービスをリリースする原動力のようです。
ユーザーインタビューの内容をサービスに反映するだけでなく、その中から潜在的なニーズを導き出して提案をする姿勢が、サービスをより魅力的なものにする秘訣。
お客様は自分の欲しいものを言葉にできないということは、常に頭の中に置いておきたいと感じました。
これからも次々とサービスを生み出し、多くの方に喜びを提供されていくことが楽しみです。
原田様、高梨様、お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。
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