「花を“愛でる”ことは自らを豊かにすること」  お花の定期購入サービスmedeluが考える顧客体験の姿

「花を“愛でる”ことは自らを豊かにすること」  お花の定期購入サービスmedeluが考える顧客体験の姿

今回、CX(カスタマーエクスペリエンス)の施策にまつわるインタビューを実施したのはお花の定期購入サービスを提供する株式会社medelu

様々な消費行動が“モノ”から“コト”に変わる中、果たして同社では花を通しどのような体験を提供しているのでしょうか。その奥にはどのような信念があるのでしょうか。

インタビューの中で垣間見えたのは花が人間に与える本質的価値の追求でした。そして業界の中で生まれ育った者であるからこそ見える視点がそこにはありました。

目次

インタビューイーについて

株式会社medelu 代表取締役
公門 誠治様 

株式会社medelu  代表取締役 公門誠司さん

三代に渡り花き業界(観賞用の植物全般の業界)に関わるビジネスを実施する家系に生まれる。幼少の頃から業界の現場を見て育つ。

社会人ではクライアントの人事領域の課題を解決するコンサルティング会社にて経験を積む。その際数多くの経営者と出会い、感化され自らで事業創出をチャレンジしたいとの思いを抱くようになる。その後ベンチャー企業に入社、新規事業立ち上げに参画。

その自身の経験を元に、家業である花き業界に戻り、2017年にお花の定期購入サービス「medelu」を立ち上げ、現在に至る。

お花の定期購入サービス「medelu」について 

お花の定期購入サービス「medelu」について

まず、貴社のサービスの概要を教えてください。

はい。弊社が提供しているのは20代から30代の女性に向けたお花の定期購入サービスです。

medelu(メデル) – お花と一緒の潤いのある暮らし

数多くの経験を持つ花のプロフェッショナルが、生産者や市場から直に花を厳選、目利きをして仕入れを実施します。中間業者の介在がない為、鮮度が高く、日持ちするお花を、安価な価格で提供できます。

インターネットよりご注文いただければ毎週もしくは隔週で家にお花が届きます。価格は二種類あり780円のLiteコース、1980円のBasicコースの二種類です。

お花の定期購入サービス medelu(メデル)の料金

季節折々が感じ取れる様々な花をお客様に毎週提供することで、家に彩りや安らぎ、活力を提供するサービスです。

花を通し業界の復興とユーザーへの活力を

 

なぜ現在のサービスを始められましたか?- medelu(メデル)

なぜ現在のサービスを始められましたか?

新しいユーザーに目を向け日本のお花の業界を復興したい

花き業界(観賞用の植物全般の業界)は末端市場が縮小しています。復興のためにサービスを立ち上げました。

業界において、2007年は1.1兆円だった産業が2016年には8500〜9000億程度となっている状況です。花の産出額自体も1998年には5000億円ほどありましたが2017年には3700億円ほどに減少しています。

そして、下の図のように国内のエンドユーザーの購入比率は50代以上が多くを締めています。このままでは少子高齢化の影響にて、今後30年間で83%が減少する可能性もあります。

 

花き業界の年代別購入者比率

新しいユーザーに目を向けることができなかった既存の花き業界

私は幼い頃から花き業界を見て育ちましたが、日本はマーケティングの概念がほぼありませんでした。

例えばアパレルでは雑誌やECなど様々な年代に複数の接点を持って販売を実施しています。花き業界ではそう言ったマーケティングは実施されていない状況です。当然のことながら、新規のユーザーを開拓できていません。

消費のパイが少なくなると、お花屋さんがきつくなる、お花屋さんがきつくなれば仲卸もきつくなります。

僕らは業界全体を復興させるために20〜30代の新しいユーザーに目を向けなければいけないと感じました。好循環を生み出すにはまずエンドユーザーにアプローチして業界全体にキャッシュを流れ込ませることが、問題解決の糸口となると考えています。

花業界でも顧客との「関係性」に変革を

これまでの業界の売り方としては大量生産、売り切り型のビジネスが一般的でした。例えばクリスマスや母の日など「商戦」の時期に多額の広告を投下し、大量に売るような状況です。

逆を言えば、ユーザーの接点や関係性構築は総じて上手に活用できていませんでした。例えば、お客さんとの接点を上手につないで、メルマガやギフトなどの実施をすれば多額の広告投下をする必要ありません。

これからはただ売るだけでなく、顧客との関係性を重視したリレーション型のビジネスモデルが大事になると思っており、サブスクリプションという形を選びました。

より花を身近にしてユーザーに活力を

 

より花を身近にしてユーザーに活力を-medelu(メデル)

花業界の変革だけでなく、ユーザーにも花があることによって生まれる本質的価値を提供したいと思いました。

後述しますが、花は人間の本能的に幸せや価値観に大きく関わってくる存在です。花があると生活の中にふとした瞬間、安心や忘れがちな優しさなどが生まれます。

「幸せになるきっかけ」を作る為、もっと花を身近な存在にしたいと思いこちらのサービスを立ち上げたという一面もあります。

顧客が花を「愛でれるようになる」までの体験を設計する

それではCX(顧客体験)の向上に関して、現在どのような取り組みを実施されていますか?

 

定義するユーザーのステージ-medelu(メデル)

定義する4つのユーザーステージ

弊社ではユーザーにはステージがあると考え、上のような4つの段階を定義して顧客体験を設計しています。

例えば、花を買う前はどういう花の種類がいいか、買った後はどのような飾り方がいいか、お手入れはどのように実施するのかのユーザーに寄り添った情報提供を行います。

「愛でる」ポイントの定義

そしてこれは実際に花を飾った人間でないとわからないのですが、花が枯れると部屋が思った以上に寂しくなるのです。経験して初めて「そうか、花のおかげで心が安らいでいたんだ」と気付かされます。

これを弊社では「愛でる」ポイントと呼んでいます。(上記赤線)

お客さんはそこをきっかけとして花を「愛でる」ようになると私たちは考えています。ここを超える人が多ければ多い程、ユーザーは人を愛すことに繋がり、人に優しくなれるのではと考えています。

今後も多くのユーザーが花を愛でる経験を積めるように

今後の目指すべき姿-medelu(メデル)

今後どのような取り組みをしていきたいですか?

花を「愛でる」ようになるまでの体験最適化を

実は、上の段階は最初から策定していたわけではなく、お客さんのニーズを把握し今に至ります。施策もユーザーの声から「こうしてほしい」というものを形にしてコンテンツやサービスを提供して今に至ります。

今後は花を「愛でるようになるまで」をゴールとして、いかにして逆算し顧客の体験の最適化や設計を考えるべきフェーズにあります。

ユーザーが花を維持できる多角的な取り組み

ユーザーが悩まず継続していただける施策を考えたいです。

最初の数ヶ月は離脱が多くあります。ほとんどの方はライトユーザーです。本当に好きな人は知識も自らで得てお花屋さんに行ってしまうのですが、多くのユーザーはそうではありません。

実際にユーザーの声を聞くと花の手入れの仕方、生け方などがわからない方も多くいました。

これまでも解決する為、インスタグラムでの発信、ブログコンテンツ、QRコードなど実施してきましたが、引き続きユーザーの悩みを解決するコンテンツを届けられるよう尽力していきます。

また事業的にも「花を届けるだけ」だけでなくそれに付随した包括的なサービスの多角展開も検討しています。

花を「愛でる」ことは自らを豊かにすることである

最後に、公門さんの事業を通じて実現したい想いを、ぜひこの機会にお聞かせください。

はい。現在は景気が低迷し、人との関係が無機質であり、気持ちが塞がれがちになる世の中であると思います。

そんな時だからこそ花を通して人に与えられる価値は大きいと思っています。

人間の欲求と本能的に結びついていた花

元々花は生存欲求や承認欲求などの本能的な結びつきがありました。

花は生存の可否と直に結びついていました。古代、花で暦を読む「花暦」にて、石器時代では食べ物を探し、弥生時代では農耕での苗植えの時期を決めました。

「美しい」「良い匂い」などという感覚が人類に発生したことにも関わりがあります。例えば人間が「ピンク」を初めて触れたのは花であるそうです。色とりどりの花を集めることで、人類の美的感覚の発生と進化に相関があったそうです。

そして、承認欲求にも紐づいていると考えられています。上の美的感覚の進化から、花を身につける、またはプレゼントすることにより、古くからパートナーの心を惹き承認欲求を満たす方法の一つでした。

他にも権力の象徴として大事に扱われたりすることもありました。花は元来から様々な場面で人と共に生きてきた歴史があるのです。

「愛でなくても」欲求が代替できてしまう今だからこそ

しかし、現代では産業の発達でわざわざ花で欲求を満たさなくても、代替手段はいくらでもあります。

つまり、別に生き物を「愛でなくても」気持ちを満たせるのです。

結果、現代において「自分たちがよければいい」というような利己的な考えに繋がる因果もあると思っています。

今このような時であるからこそ、人間の存在のあり方を見つめ直す時期にきているのではないでしょうか。

「愛でる」ということは花を通し、自らを豊かにすることである

花を愛でるその意味は果たして何か?

私は「花を愛でる」ということは、それを通して愛を表現し自らを豊かにすることだと考えています。

花があると生活の中にふとした安らぎが訪れます。「花を愛でる」という経験により当たり前の中に感謝が生まれ、もっと表現豊かに愛情を伝えることができ、自分にも他人にも優しくできると思うのです。

medeluではただ花を提供するだけでなく、価値観そのものもユーザーに提供していきたいと思っています。

 

編集後記

今回インタビューをして強く感じたことは2つありました。

一つは業界自体への恩返しをしたいという意思です。インタビューの中、公門さんの「僕のDNAを形作った先祖への恩返し」という言葉が心に残ります。幼き頃から業界の推移を見てきた方だからこそ感じ、動けるのでしょう。

もう一つは、花を通じ「意味」の提供を大事にしていることです。どうやるか、ではなく何故それをするかの明確な意味がありました。お話をすればするほど哲学的。

共感せざるを得ませんでした。

今後、消費者は“モノ”の購買行動は終わり”コト”を更に求めるようになると様々な場所で呟かれています。その中medeluさんはユーザーに一つの解を与えてくれる会社であることは間違い無いのではなかろうか、と思うインタビューでした。

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