カスタマーサクセス責任者が語る「タップル誕生」のCX戦略とは?

株式会社マッチングエージェントが運営する「タップル誕生」は、会員数500万人以上、成立したマッチング総数は2億組以上と、国内最大級のマッチングプラットフォームです。
近年では、よりマッチングの精度が高まるように、AIを導入するなど機能改善にも力を入れられている中、サブスクリプションサービスとして、CX(顧客体験)向上に関してどのような視点で取り組まれているのか、カスタマーサクセス部門の責任者にお話をお伺いしました。
インタビュイーのご説明
株式会社マッチングエージェント カスタマーサクセス責任者 大野均様
2010年にサイバーエージェントに中途入社以降、継続してCS関連の業務に従事。
2018年に株式会社マッチングエージェントにジョインし、現在はCS責任者を務める。
まず、貴社のサービス概要について教えてください。
「タップル誕生」は、映画・スポーツ・グルメなど、好きなことや趣味の共通点をきっかけに出会いを作るマッチングアプリです。
フリック形式でお互いが好印象を持てばマッチが成立し、メッセージのやりとりに移行するシステムです。
現在は1日あたり5,500人のペースで新規登録ユーザーが増加しており、会員数は500万人、累計マッチング数は2億組を突破しました。
国内のマッチングアプリの中でも最大級の規模を持つプラットフォームとなっています。

参考:【公式サイト】すぐに恋人を探せる恋活・婚活マッチングアプリ「タップル」
【Appstore】タップル-マッチングアプリで恋活/婚活
サービスの最大の特徴としては、やはり趣味や好きなことをきっかけにしているということで、より自然にフィーリングがあう方との出会いが発生しやすいという点ですね。
結婚相手を探すというよりも、恋人を探す若年層の方より多くご利用いただいています。
近年では、より最適な相手とのマッチングが起きる確率が高まるように、AIを活用しています。
AI導入を決断されたとのことですが、どんな背景があったのでしょうか?
「タップル誕生」はサービス開始当初より、趣味の共通点から出会いを作るというコンセプトを変わらず持っており、従来は趣味を30個程度のカテゴリーの中から選択するという形式でした。
しかし、例えば同じ「音楽」という趣味があってもその中に色々なジャンルがあるように、12個のカテゴリーで振り分けるだけでは微妙なニュアンスまでを特定することが難しかったんです。
そこで、ユーザーの皆様が、どんな相手に対して好印象を持っているのか、またどのようにフリックを行っているのかということをAIに機械学習させ、より好みに合わせた相手を表示できるようにしました。

マッチングからメッセージ段階、実際に顔を合わせる段階とステップアップしていく際に、「なんか違うな」という印象のズレが少なくなることで、よりカスタマーエクスペリエンスが向上していくのではないかと考えています。
CX向上に関して、他に取り組まれていることはありますか?
直近のところでいうと、コロナウィルスの影響が様々な部分に出てきていますが、やはり恋愛においても、お付き合いや出会いの方法に関してのニーズが変化してきております。
そこで「オンラインデート」のサービス展開を始めました。
直接会って食事をしたりデートをしたりしたくても、コロナウィルスの影響でなかなかできないというお客様にも、ご利用いただければと思っております。

参考:https://tapple.me/lab/information/urn:uuid:118a86da-cf59-4a32-b6a0-4273f8826122/
また前述した通り、コロナウィルスによる外出自粛がひとつのきっかけになりましたが、もともと女性ユーザーを中心に、「直接会う前にもっと相手の人となりを知りたい」という要望は少なからずありました。
マッチングアプリはプロフィールやメッセージ内容が重視されがちなあまり、実際会ったときのギャップはどうしても起こりやすいものですが、こういったオンラインデートを利用することで、満足度も向上するのではないかと期待しています。
また当サービスではより安全にご利用いただけるように、録画・録音を防止する機能を搭載しており、女性ユーザーの方からも好評をいただいています。
こういったユーザーの方からの声やご意見については普段から大切にするために、CREというエンジニア組織に迅速な連携が行われています。
アプリ上のフォームからのご意見が、当社のエンジニア部署のSlackチャンネルに直接流れるようになっていて、タイムリーに対応することを心掛けています。
例えば、サブスクリプションサービスに慣れていないユーザーさんから、アプリを削除した段階で自動的に解約もされると勘違いしていた、という声をいただいたことがあります。
そんな声を受けて直ちにアプリ削除前に注意喚起文が表示されるようにしたところ、月あたりのクレーム数が100件ほど減少しました。
お客様からの声に対してはスピード感を持って対応することが大切だと考えているので、引き続きタイムリーな対応ができる開発体制は維持していきたいですね。
今後について、どんなことに取り組まれる計画を立てられていますか?
まずは引き続き、ユーザーの皆様からのお問い合わせに対してのアクションの質を高めていきたいと考えています。
決済に関するものや、相手からの返信がこない、といったお問い合わせを多くいただいていますが、一つ一つ真摯に対応させていただいていますし、どんなに類似した内容の件数が少なくても「おっしゃる通りだな」と感じることはたくさんあります。
そういった声や退会時のご意見をしっかりと抽出し、CSチームでVOCレポートとして可視化し、社内に連携しております。
その上で、CREのような、お客様の声を通して、よりユーザーの皆様にご満足いただける開発の取り組みは継続していきたいと思っています。
あとは全くの検討段階ではあるのですが、ユーザーの皆様の満足度を高める工夫の一つとして、コラムやツイッターなどでTipsの発信を積極的にしていきたいです。
既にサービスサイトの方で展開はしていますが、より一層多くの方々にご満足いただけるように工夫をしたいと思います。
最後に、どのような思いでCSに取り組んでいるかお聞かせください。

当サービスは2014年に創業者の合田が立ち上げたサービスで、当時からある「出会いで世界を変える」という熱いを思いを持って提供してきました。
恋愛や、もっと言えば結婚という人生においても非常に大きな意味を持つイベントに関わるアプリだということを忘れず、日々カスタマーサクセスチームは熱い思いを持って取り組んでいます。
マッチングアプリは法制度やサービスの面からもいわゆる「出会い系」とは全く異なりますし、この何年かでネガティブなイメージを大分払拭できてきたように思いますが、よりポジティブになるようにしていきたいです。
そしてオンラインでの出会いが、全ての方々にとって当たり前の世の中になれば嬉しいです。
「タップル誕生」をご利用いただくことで、人生をより豊かに過ごされる方が増えることを願っています。
編集後記
国内最大級のマッチングアプリ「タップル誕生」のカスタマーサクセス責任者である、大野様にお話しを伺いました。
「タップル誕生」単体の評判だけでなく、マッチングアプリ業界全体を盛り上げていきたいという熱い思いが伝わってきました。
恋愛というユーザーの方々の考えが多様なテーマであり、CX向上は非常にやりがいのある仕事である反面、少しの対応の遅れなどで取り返しが付かなくなる難しさを持っているのかもしれません。
コロナで外に出かける機会が減る中でも、オンラインデートなど様々な機能でカバーする同社の柔軟な工夫を引き続き注目していきたいです。
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