1年で550社が導入。組織診断SaaSラフールサーベイを支えるCX(顧客体験)戦略

2019年4月にローンチをして12ヶ月で550社に導入されている組織診断SaaS「ラフールサーベイ」。
ただのストレスチェックではない、組織課題の解決を行うきっかけとなるサービスです。
同サービスのカスタマーサクセスを担当する松橋様と眞木様にインタビューを行いました。
驚異的な勢いで導入が進むサービスを支えるCXへの取り組みとはどのようなものなのでしょうか。
インタビューイーについて

松橋 洋輔様 眞木 麻美様
株式会社ラフール 事業部 カスタマーサクセスチーム
現状把握から課題特定までをワンストップで提供

まず、貴社のサービスの概要を教えてください。
当社が提供する「ラフールサーベイ」は、アンケート結果から従業員の心身の健康状態やエンゲージメントを把握し、組織全体を可視化するのに最適なツールです。
企業の健康経営が注目されつつあり、社員の「心理的安全性」と「エンゲージメント」の関係性が重要視されています。
しかし、現在約8割の企業が厚労省推奨の57項目で行われるストレスチェックを取り入れていますが、ストレスの多い少ないを把握できるだけで要因の特定はできていません。
「ラフールサーベイ」では、通常のストレスチェックだけでは見えづらい心の状態とその要因が可視化されることで、社員が安心して働ける職場環境が作れ、人材の定着と組織改善に繋げられます。
貴社のサービスの特長はどんなところでしょうか?

創業当初からメンタルヘルスに特化しており、約3000社18万人以上のメンタルヘルスデータを蓄積していました。
そのデータを基に立正大学の心理学部や、AIの第一人者松原仁さんとタッグを組みサービス設計をしています。
このように⼤学や臨床⼼理⼠の知⾒を取り⼊れた独⾃の調査項⽬を従来のストレスチェックに加えた多⾓的な分析ができる点が最大の特長です。
そのため、組織エンゲージメントやハラスメントリスク、離職リスクなども含めた包括的な診断が可能です。
サービスの導入でどのような効果が見込まれますか?

可視化できることで、分析や優先順位付けなど、社内での動きにつなげることができたというお声はいただいています。
サーベイの結果でわかることは、職場での人間関係や個々人のメンタルの状態がどうなっているのかなどです。
結果に対して企業が何かをして初めて成果につながります。
成果につながったかが検証しづらいですが、出た結果がお客様の動き出すきっかけになると感じてもらうことが大事かなと考えています。
ストレスチェックの先へ
なぜ現在の取り組みを始められましたか?

ヘルスケアに取り組むことになったのは、代表の経験がきっかけです。
代表はもともと情報セキュリティのコンサル会社で役員をやっていました。
企業の情報漏洩がなかなか止まらないという現状がある中で、情報漏洩していたのはメンタルヘルスに不調を抱えている方だっということが多くありました。
そこに気づき、10年前にメンタルヘルスに特化した事業を展開しました。
これまではストレスチェックツールを提供しておりましたが、義務化だから実施をするという企業が大半でした。
ただし、ストレスチェックを実施しても分析・検証には至りません。
そんなストレスチェックの形骸化を解決するため、より本質的な活用を目的としたプロダクトを目指し、「ラフールサーベイ」をローンチいたしました。
しかしながら、導入いただいたお客様への本質的な活用方法を伝えきれていないが故に、「アンケートしただけ」「ストレスチェック義務は果たして終了」「分析して終わり」という状況になってしまうケースも発生しました。
そのため、もともとの開発背景にあるような「ラフールサーベイ」の本質的活用法と価値をカスタマーサクセスとしてお伝えすることが、ご利用いただくみなさまへ必要であると感じています。
本質的な活用を促進する

それでは当メディアの特徴であるCXに関してお伺いします。現在どのようなCXを上げる取り組みをされていますか?
CXを向上させるために、サーベイを実施する前段階を重視しています。
興味だけで導入したのでは、場当たり的な診断になってしまいます。
すると具体的なアクションが出てきません。
なぜ「ラフールサーベイ」を導入するのか、何を実現したいのかなど、オンボーディング時点でのすり合わせの話し合いをきちんと行うことが、CX向上のためには重要だと考えています。
課題感が曖昧だと結果が出たときにそれをどう読み解くかという部分もうまくいかなくなってしまい、結果としてその後の活用に活かされなくなってしまいます。
具体的に取り組まれていることはありますか?

無料お試し期間、オンボーディング時のコミュニケーション、サーベイ後のコミュニケーションの3つが大きなポイントです。
無料お試し期間を設けるなどして、導入前の顧客が自社課題に対してどのように活用できるか、イメージがつく状態にしています。
お試しの内容としては、3か月などの期間内で、何度でも受けていただけるようになっています。
ただ現実的には、期間中に1、2回の利用となります。
お試しで重要なのは、企業内での運用のイメージが湧くかどうか、実施した項目がどう分析されているか、企業が感覚的に持っている課題とマッチしているかどうかを判断してもらい、今後活用していけるかどうかを判断してもらうことです。
お客様へのオンボーディング時のコミュニケーションでは、セミナーを開催して運用のポイントなどをお伝えするようにしています。
また、導入目的や課題感把握、スケジュール握りなど、オンボーディングがスムーズに進むような整理を行っています。
サーベイ回答後には、分析画面の読み解きや課題感への兆し確認などのコミュニケーションを取るようにしています。
お客様と対話しながら結果を読み解く時間を設けることで、課題感とのすり合わせや今後の取り組みへつなげられるようにという意図です。
サービス導入前の見込み段階では何か取り組みをされていますか?

人が大事というのはわかっているが、そこが一番大事ということを本当の意味でわかっていない、わかっているけど後回しにしてしまう経営者さまがある程度いらっしゃいます。
日本は人こそ資産ということが当事者の感覚として持ちきれない経営者さまが海外と比べて多いかなと感じます。
そのような方へ向けて、社員の健康がどうして会社の業績に繋がるかを理解していただくための記事を提供したり、セミナーを開催しています。
お客様になりうる方の温度感によって、どういうコミュニケーションを取ればより理解いただけるかを考えながらマーケティングに落とし込んでいるところです。
世の中のメンタルヘルス問題を解決したい
今後どのような取り組みをしていきたいですか?

これからはお客様ともっと接点を増やしていかないといけないと思っています。
「ラフールサーベイ」は、まだまだローンチしたばかりの新しいサービスです。
多くのお客様の声を聞き、コミュニケーションやサポートにとどまらず、プロダクトの進化やCX向上につなげていきたいです。
「ラフールサーベイ」の目標は、結果を基に人事担当者や経営者が経営判断をできる状態を作ることです。
サーベイの実施を通して、部署によって必要な研修や人員配置の変更などが行われ、無駄なストレスをためずに働ける環境を作っていただきたいと考えています。
現状は社員の本音を拾い可視化するという要素が強く出ていますが、最終的には拾った声を経営に伝え、経営はその定量的データをもとに人にまつわる意思決定をしていくような世界観を作りたいです。
事業の展開として考えられていることはありますか?
世の中のメンタルヘルスを広くサポートしてきたいと思っています。
そのため、従業員ひとりひとりのメンタルセルフケアはもちろん、個人の方向けのメンタルヘルスケアや予防につながる対策サービスもだしていきたいです。
まだまだtoBで力を入れて頑張っていく段階ですが、世の中のメンタルヘルスをサポートするには、toCにも広げていく必要があると思っています。
編集後記
心理的安全性とエンゲージメントを可視化するツール「ラフールサーベイ」を運営する株式会社ラフールの松橋様と眞木様にお話を伺いました。
近年注目されているメンタルヘルスの領域で、本質的な課題解決に取り組まれていることがよくわかりました。
ラフールでは、そもそものミスマッチを防ぐこととコミュニケーションを重視して活用を促進することでCXの向上を図られているようです。
メンタルヘルス領域でのさらなるサービスの広がりが楽しみです。
松橋様、眞木様、お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。
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