観葉植物のレンタルサービス「GOOD GREEN」 CX(顧客体験)向上の手法とは

株式会社グッドグリーンは、観葉植物レンタルサービス「GOOD GREEN」を運営している企業です。
オフィス、施設、店舗など人が集まる場に対し、デザインレベル、品質レベル共に高い観葉植物を届けています。
グッドグリーンでは、どのようにCX(顧客体験)向上の手法を取っているのでしょうか。
インタビュイーのご説明
株式会社グッドグリーン 代表取締役 西澤正文さん
1983年千葉県生まれ。
慶應義塾大学総合政策学部在籍時に公認会計士試験に合格。
2006年に新日本監査法人監査法人国際部に入所して業務を行う傍ら、知人のアパレル企業を手伝う中でベンチャー企業ならではの楽しみを知る。
米系投資銀行のJPモルガン証券の株式調査部、デロイトトーマツコンサルティングのCFOサービス部、ECベンチャーを経て、2016年に株式会社グッドグリーンを設立。
「居心地と働き心地を改善して、そこにいる人々の快適さと効率を向上させること」を目指して社内外の取り組みを行っている。
ただレンタルするだけじゃない。空間デザインを意識したグリーンの提案。
まず、貴社のサービスの概要や特徴について教えてください。
株式会社グッドグリーンで提供している「GOOD GREEN」は、法人向け観葉植物レンタルサービスです。
植物の管理や処分を任せることによる手軽さ、コストパフォーマンスを重視した価格設定など、一般的なレンタルサービスに求められる要素を追求するのはもちろん、何よりも「気持ちよく過ごせるスペースづくり」を第一に考えています。
私たちが観葉植物をお届けするのは、オフィス、クリニック、商業施設、美容院、ホテル、展示場などさまざまですが、全て「人が過ごす場所」という点で共通しているんですよね。
必ずしもグリーンを置かなくてもいい場所だけど、意図的にグリーンを置くことで、居心地がよくなったり、自然とリラックスできたり、どこかほっとできたりする。
そんな効果を期待しながら、鉢や土やもちろん、空間全体のデザインを意識しながらご提案しております。

古い慣習の残る業界で、徹底的に差別化を図った。
なぜ現在の取り組みを始められたのでしょうか。
いくつかありますが、まずは「BtoBビジネスであること」「モノではなくサービスを売ること」に的を絞りました。
私は何かモノを作ったりサービスプラットフォームを作ったりするのが得意なわけでもなかったし、専門領域となるような業界に精通した人間でもなかったんです。
なので、ビジネスをする上で市場をどう選んでいくか、オペレーションエクセレンスをどう確立していくかが重要になると思ったんですよね。
そんな時オフィスを見渡して目に入ってきたのが、グリーンでした。
SaaS市場やベンチャー企業は新しい世代の人が中心になっているだけあり、顧客志向に敏感で、常にマーケティングや研究を怠らない。
一方で、昔ながらの人がやっている市場って、今や当然と言われているようなことをやっていなかったり、平均リテラシーを知らないままだったりすると気づいたんです。

参考:https://goodgreen.jp/facility/office/
グリーンレンタルも同様に、割と古い慣習の残る業界でした。
他者と差別化しやすく、収益構造がはっきりしていて、ロジカルなビジネス展開がしやすいだろうと予測し、ありがたいことに収益も右肩上がりで成長しています。
またそもそも私が仕事をしている根本的な理由は、好奇心を満たせて充実感を得ることができるためだと考えています。
自分で仮説を立てて、それを実証していく過程が何よりも面白いと思います。
その過程がお客様の喜びにも繋がるならば、こんなに良いことはないと思います。
グリーンメンテナンスで生まれた“御用聞き”が、柔軟な対応に繋がった。
それでは、当メディアの特徴であるCXについてお伺いします。現在CXを上げるためにどのような取り組みをされていますか?
まずお客様に信頼していただくために、コミュニケーションの速さと質には拘っています。
よってお客様に対応する上で一番大切なことは、対応させていただくメンバー一人一人のお客様を思いやる気持ちだと考えています。
お客様とのコミュニケーションをしっかりと行ってくれる人だけを採用しています。
お陰様で「GOOD GREEN」は多くの方に使用いただいておりますが、会員数が増えても、お客様の元を訪問する大切さは忘れません。
「GOOD GREEN」では3ヶ月に1回、植物のメンテナンスをするために定期的にお客様の元を訪問しています。

参考:https://goodgreen.jp/facility/office/
ただ行ってメンテナンスして帰るだけの業者が多い中で、しっかり時間を取って植物の状態やメンテナンス内容を丁寧に説明していくと、ちょっとしたお悩みをいただく機会が増えました。
「贈答用の胡蝶蘭はどんなものが適している?」「家に植物を置きたいがどんなものがいい?」など、さまざまなことをご質問いただくようになったんです。
そこからビジネスチャンスを拾っていく、いわば“御用聞き“のような仕事になりますが、それもお客様との関係性を築いてきたからこその仕事だと思っています。
また、生産者と直接会う機会も大切にしています。
社員にも常々言っておりますが、一番グリーンのことを知っているのは生産者の方々なんですよね。
情報を得るためにも、信頼を得るためにも、生産者とのコネクトを強くしていくのは非常に重要です。
お客様のことを思って柔軟に対応する姿勢こそ、「こんなこともやってくれるんだ」「そこまで考えてくれるんだ」というCX(顧客体験)に繋がり、評価に繋がっているのかなと感じます。
オフィスの居心地をよくするための全てをワンストップで担いたい。
今後どのような取り組みをしていきたいですか?
まずは、縦軸と横軸の両方でサービスを広げていこうかと考えています。
縦軸というのは、非効率性の残るグリーンレンタル業界において、一流意識の強い上位層にターゲットを絞ったサービス展開です。
横軸は、これまで通り「BtoBビジネスであること」「モノではなくサービスを売ること」というビジネスモデルにおいて、グリーンレンタルに限定せず幅を広げていくこと、ですね。
オフィスや店舗で人が快適に過ごせるためには、グリーンに限らず他にも色んな手段があるはずなんです。
今はグリーンレンタルが事業の主軸ですし、「観葉植物を借りるならグッドグリーン」と名前を思い出していただけるような知名度を確立していきたいのが第一ではありますが、居心地の良さを追求するための全ての要素に対して、ワンストップでサービス提供できる企業になりたいという想いがあります。
ゆくゆくは、オフィスに関わるサービスを一手に担う総合デパートとして成長していきたいですね。
「グッドグリーンだから願いしたい」と言われるようなサービスに。
それでは最後に、西澤様が事業を通じて実現したい想いについてお聞かせください。
やっぱり、「また使いたい」と思っていただけるようなサービスを提供していきたいです。

参考:https://www.wantedly.com/projects/211249?auto_login_flag=true#_=_
どんなサービスでもそうですが、名指しで仕事をもらえるというのは非常に光栄で、嬉しいことですよね。
「グッドグリーンさんだからこそお願いしたい」とか、「グッドグリーンさんいいよ」と紹介してもらえたりしたら、サービスマンの冥利に尽きます。
お客様の転職や引っ越し、オフィスの移転などがあっても、変わらずお付き合いしていただけるような、そんな会社にしていきたいです。
編集後記
ご自身の経験と、冷静で的確なロジカルシンキングにより、明確なビジネスモデルを確立しているのが印象的でした。
普段何気なく過ごしているオフィスや店舗も、よく見渡してみると緻密な空間デザインが施されていることに気が付きます。
空間のよさは、そこで過ごす人たちにとっての「居心地」や「働き心地」の向上に繋がっていくでしょう。
西澤様、お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。
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