小中高校生の家庭学習を応援する「まなぶてらす」が取り組むCX(顧客体験)

息子に通わせたいそろばん教室やプログラミング教室が近所には見つからない。そんな悩みから生まれたオンライン家庭教師サービスが「まなぶてらす」です。
勉強と習い事をワンストップ提供している「まなぶてらす」では、どのようにCXを向上させる仕組みを作っているのでしょうか。
今回は、株式会社ドリームエデュケーション代表取締役の坂本七郎さんに、「まなぶてらす」のサービス概要やCXに対する取り組みについてお伺いしました。
インタビューイーについて

株式会社ドリームエデュケーション代表取締役 坂本七郎さん。
1977年、群馬県太田市生まれ。
塾講師や家庭教師を行ってきた経験を基に、2007年11月、受験対策のノウハウのアドバイスやコンサルティング、その内容に基づいた書籍の執筆などを行う株式会社ドリームエデュケーションを設立。
そのなかで塾講師や家庭教師など5,000人以上の学習指導経験から、家庭学習こそが学力アップのカギであることを確信。2016年にオンライン家庭教師サービス「まなぶてらす」を立ち上げる。
日本中の子供たちだけでなく、海外駐在員の子供たちも学ぶオンライン家庭教師サービス
まず、貴社のサービスの概要を教えてください。

「まなぶてらす」は、小学生から高校生までの勉強と習い事をワンストップで学べるオンライン家庭教師サービスです。
1コマ50分の授業をSkypeやZoomを利用してマンツーマン指導を行っています。
会員数は数千人規模ですが、コロナ禍による休校期間などもあり、2020年4月以降は伸び率も高くなってきています。
また、会員の在住エリアは首都圏がもっとも多くなっていますが、オンラインという特性から全国に会員が散らばっているほか、海外に駐在されている日本人の子供たちや帰国子女たちにも利用していただいています。
良い先生がいる「そろばん教室」が近所にないならオンラインで作ってしまおう
なぜ現在の取り組みを始められましたか?
「まなぶてらす」を立ち上げた2016年当時は地方に住んでいたのですが、私の息子にそろばんとプログラミングを習わせたいと思ったのです。
しかし近所には良いそろばん教室が見つかりませんでした。プログラミング教室に至っては、その当時、まだ近所にありませんでした。
「そろばんやプログラミングを学ばせたい」けれども環境的に学ばせられないというジレンマを持つようになって、「オンラインなら学ぶことができないか」と調べ始めたのです。
しかし当時は、オンラインでそろばんを学べるところがありませんでした。
このような経験からオンラインで学べる場を自分でつくれば、良い先生も全国から集まるだろうと考えたことが「まなぶてらす」立ち上げのきっかけです。
私はもともとHPの修正程度であれば自分自身で行っていたということもあり、ある程度の基礎的なコーディング知識はありました。
また、リスティング広告やメールマガジンの配信といったWebマーケティング活動も行っており、どういう施策を打てば人は反応するのかということも、ある程度は学んできました。
また、配信していたメールマガジンの読者は、「まなぶてらす」を立ち上げる前でも既に1万人以上に上っていました。
基本は子供たちの保護者をターゲットにしたメルマガですが、教育関係の読者も一定数存在しています。
そこで「まなぶてらす」の先生を、まずそのメールマガジン上で募集しました。そこで先生を10名程度集められたことから「まなぶてらす」を本格的にスタートしたわけです。
株式会社ドリームエデュケーションを設立した2007年11月からコツコツと積み上げてきたことが「まなぶてらす」につながっていったのだと思います。
他の家庭教師サービスと「まなぶてらす」の違いは?

「まなぶてらす」の特長は、勉強だけでなく、習い事のレッスンを受けられることです。
一般的な勉強や小中高生の受験のレッスンが受けられるのはもちろん、そろばんやプログラミング、英会話、理科実験、アート、将棋、楽器(ピアノやバイオリンなど)といった習い事のレッスンを受けられるようになっています。
それ以上に大きな差別化要因と考えているのは、会員である保護者や子供が好きな先生を選べることです。
一般的な家庭教師サービスは、子供に家庭教師を付けたいという依頼があったら運営事務局が先生を選んであてがっています。その子供の家に通える先生の中から指導可能な先生を選び、紹介するというわけです。
そのため、良い先生が来てくれるかどうかは運次第。さらに地方で家庭教師を依頼すると、先生が紹介されるまで3か月や半年も待たされるエリアもあると聞いていました。
このような状況をたくさん聞いてきたので、たくさんの先生の中から「選べる」ということは大きなメリットだと感じています。
現在は弊社以外のオンライン家庭教師サービスもたくさんありますが、オンラインでも先生はあてがわれるかたちがほとんど。多くの場合、オフラインの家庭教師サービスをオンラインに切り替えただけの仕様になっています。
その点で言いますと、「まなぶてらす」は会員が自分で先生を選べるという楽しさと便利さがあります。
また、「まなぶてらす」では月謝制ではなく、「1コマあたり●●●●円」という料金体系をとっています。
事前にポイントを購入していただき、先生を予約しレッスンを受けるというかたちというわけです。
そのため、次のレッスンを止めたいと思ったら、次の予約をしなければいいわけです。
例えば、1回受講して「やっぱり、この先生は合わないな」と感じたらそこで止めて、他の先生を受講してみるという方法を取ることができます。
その際、初回レッスン料無料にしている先生もたくさん在籍していますので、会員側としても気兼ねなくお試し受講をすることができます。
地元では見つからないロールモデルのような先生と出会える自由度の高さ
それでは当メディアの特徴であるCXに関してお伺いします。現在どのようなCXを上げる取り組みをされていますか?

「まなぶてらす」ではCXを上げるために、大きく2つの取り組みを行っています。
1つは自由度の高さです。レッスンの時間帯を選べる、教材を選べるというのはもちろん、先ほど言いましたように「先生を自由に選べる」という大きな自由度を持っています。
先生を自由に選べることにより、子供たちは、自分の興味関心に合わせた先生を選ぶことができます。
例えば、「猫が好きなら猫好きの先生を選ぶ」「自分の志望校出身の先生を選ぶ」「将来なりたい夢を実現している先生を選ぶ」など、自分の興味関心に合わせた先生を選ぶことができます。
そのために「まなぶてらす」に登録している先生の大半は社会人です。
もちろん現役塾講師などのプロ講師を選ぶこともできますが、海外在住の留学生、大手企業やビジネスの一線で活躍してきた先生、現役公認会計士、プログラマー、アニメーター、薬剤師、元国家公務員、プロダンサー、サッカー選手、アーティスト、医師、南極地域観測隊に参加経験の先生、マンガ原作者など、さまざまな分野で活躍している(してきた)先生を選ぶことができます。
こうした先生と話をすることで勉強の「やる気」にもつながりますし、先生から具体的な仕事内容を聞くことで将来の夢を膨らませることもできます。
「まなぶてらす」なら、地元では見つからないロールモデルのような先生とも出会うことができるわけです。
2つめは会員サービスの充実です。先生選びに迷ったら、「ガイダンス」を利用することもできます。
ここで希望の曜日や時間帯、科目などを伝えると、おすすめの先生を紹介してもらえます。インターネット接続の確認やレッスンに関する個人的な相談などもガイダンスで受け付けています。
また、オンライン上の自習室である「ネットで自習室」も会員向けに開放されており、サポート役の先生も常駐しています。
自習中にわからないことに出会ったら先生に質問ができる「質問レッスン」を利用することもできます。
これらのサービスはすべて、会員に対して無料で提供しています。
「オンラインの直接指導を受けるなら『まなぶてらす』」と呼ばれるように
今後どのような取り組みをしていきたいですか?
現在、「まなぶてらす」サイト上での表示は勉強と習い事が一緒くたになっており若干見づらくなっています。
そこで、表示をもっと細分化し、『楽天市場』のように「プログラミング」「そろばん」「小学受験」「中学受験」「高校受験」といったようなメニュー化を行い、それぞれのレッスンを受けたい人により伝わるような見え方に変えていきたいと考えています。
そして今後は会員数を増やし先生の数も充実させていくことで、「オンラインの直接指導を受けるなら『まなぶてらす』」と呼ばれるまで認知度を上げることができたらいいですね。
オンラインで学ぶ可能性をさらに広げていきたい
それでは最後に、坂本様が「まなぶてらす」事業を通じて実現したい想いを、お聞かせください。
オンラインで学ぶ可能性をさらに広げていきたいと考えています。
2020年7月8日から弊社独自の「オンラインそろばん検定」をスタートしました。
このように、今までオフラインでしかできなかったことをオンラインでできる仕組みを整えていきたいと考えています。
また、会員である子供にピッタリな先生とレッスンができるよう、自分の興味関心に合わせた先生を選べるだけでなく、相性の善し悪しを計測できるような仕組みも入れていきたいと考えています。
編集後記
休校期間が続き、そのメリットを際立たせることができたオンライン家庭教師サービス。
そのなかでも「先生を自由に選べる」という自由度の高さから注目を浴びるようになったのが「まなぶてらす」です。
そのマンツーマン指導の独自性から、「オンラインの直接指導を受けるなら『まなぶてらす』」と呼ばれるようになるのもそう遠くはないと感じさせてくれました。
坂本様、お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。
-
前の記事
サブスクリプションで始めるアートのある暮らし。絵画レンタルサービス「Casie」のCX(顧客体験) 2020.10.10
-
次の記事
森永製菓「おかしプリント」が取り組むCX(顧客体験)戦略。顧客とともにカスタマーサクセスを生み出す 2020.10.10