英会話のサブスクリプションサービスBizmatesが取り組む徹底した顧客目線のCXとは

法人契約500社を超える広がりをみせる、ビジネス英会話のサブスクリプションサービス「Bizmates」。
そのCSグループでディレクターをされている上北祐一郎さんにインタビューを行いました。
インタビューの過程でみえてきたのは、「エフォートレスにサービスを届ける」というCXと、徹底した顧客目線の取り組みでした。
高い継続率を維持する「Bizmates」が目指す顧客体験はどのようなものなのでしょうか。
インタビューイーについて

ビズメイツ株式会社 ランゲージソリューション事業部 CSグループ ディレクター:上北 祐一郎様
お客さんのビジネスパートナーを提供
まず、貴社のサービスの概要を教えてください。

Bizmatesは「Simple(簡潔)」「Polite(丁寧)」「Effective(効果的)」をコンセプトに開発されたオリジナル教材を活用し、ビジネススキル修得を目的とした、ビジネス特化型のオンライン英会話サービスです。
ビジネス経験を有するハイレベルな講師陣、オンライン英会話に最適化された独自メソッド、日本人ビジネスパーソンのために開発されたオリジナル教材による高品質なレッスンを通して、「ビジネスで成果をあげるための英会話コミュニケーションスキル」を身につけられます。
また、昨年2019年5月からは、外国人向けのオンライン日本語修得サービス「Zipan」も開始しました。外国人を従業員に抱える企業様を中心にご好評をいただいています。
このサービスのいちばんの特徴はなんですか?

ビジネスパーソン向けにカリキュラムやテキストを特化していることです。
特に会員様から評価が高いのがトレーナーです。
ただ英語ができるだけではダメで、ビジネス経験がある人をトレーナーとして採用しており、採用率は1%未満とかなり厳しい基準で選んでいます。
というのも、トレーナーはただ英語を教えるだけでなく、お客さんのビジネスパートナーだからです。
プレゼンや電話など、ビジネスシーンで必要なものはカリキュラムにしてありますが、他にもお客さんの業種ゆえの悩みや課題も相談に乗ってもらったという声があります。
お客さんはトレーナーを選ぶときに業種などから選べるようになっており、英会話に限らない相談に対応できる人材が揃っています。
会員にはどのような方が多いですか?
まずは、無料体験レッスンを受講いただき、そのなかでレベルチェックと学習方法のアドバイスを行います。
その結果としては英語レベルが初心者にカテゴライズされる人が多いです。
グローバル化の影響で上司が外国人の方や英語をやらなければならない環境になった人が増えています。
ブルーオーシャンがあった
なぜ現在の取り組みを始められましたか?

参考:https://www.bizmates.co.jp/
CEOの鈴木とCQOの伊藤で2012年7月に立ち上げた会社です。
創業前は二人ともベルリッツに勤務していました(※ベルリッツはビジネス英会話に強い英会話教室を運営する企業です)。
友人からお勧めの英会話スクールを聞かれた際にはベルリッツを勧めるけれど、どうしても価格がネックになることがあったそうです。
また、当時は低価格を訴求するオンライン英会話が台頭してきており、その中間である低価格でも高品質なビジネスパーソン向けの英会話サービスがあれば支持されると考え、立ち上げました。
質の高いレッスンをエフォートレスに届ける
それでは当メディアの特徴であるCXに関してお伺いします。現在どのようなCXを上げる取り組みをされていますか?

サービスとしてはトレーナーと日々英語を学ぶというシンプルなものです。
ただ、それだけでは色気がない、味気ないサービスになります。
顧客体験で限られた時間を濃密にしてもらい、最大価値とお客さんの感じている価値のギャップを埋めるのがCXであり、最大価値をあげて顧客への見返りを増やすのもCXです。
この2つの意味でCXは重要だと考えています。
CX向上のためにさまざまな取り組みをしていますが、すべてのもとになっているのはお客様の声です。
日々、お問い合わせいただくなかでの顕在的・潜在的な声の収集はもちろん、アンケートやNPSも大きく活用しています。
具体的にどのような取り組みをされていますか?

お客様の声の収集については、スタッフに対して設定しているKPI値で量と質を担保しています。
KPIを達成するためには、顕在化している声だけでなく、潜在的な声を収集する必要があります。
そのためには、そもそもスタッフが潜在的、顕在的な声があるということを認識しておいてもらう必要があります。
例えば、「コンビニ払いできますか?」という問い合わせがあった場合、答えとしては「ご用意していない」で終わりなんですが、潜在的にはコンビニ払いでお支払いをされたいというニーズがあるということです。
このような声を速やかに分析し、対応策を考え、サービスに反映をすることにより、お客様に先回りして改善に繋げるようにしています。
ただ、潜在的な声を拾うのも限界があります。そこで重要なのがNPSです。
実際にお客様がどう感じているのか、改善している状況に対してどのように評価されているのか、NPSでは一般的な2つの質問を用意しています。
弊社のお客様でも、推奨者と批判者では、大きくLTVが違っているのはもちろんですが、サービスをご利用いただくからには、認知→満足→好意→推奨といった意識遷移の最上位にあるところの推奨度をはかり、できるだけ推奨に近づくようにすることが大切です。
そのために、お客様には合理的な満足だけでなく感情的にも満足して利用いただけることを目指しています。
NPSの中でも大きな要因として現れているのが、トレーナーの質と上達実感です。
2019年のサービスアンケートでは、90%の方が上達を実感したと答えてくださっています。
上達を実感された方は、総じてNPSスコアが高く、またLTVも高いため、忙しくなって受講をやめたとしても余裕ができたらまた再開される方が多く、いかに上達を実感していただくかは改善の大きなポイントです。
休会が多いのは入会されて1〜2ヶ月の間で、この期間に上達を実感していただくということは重視しています。
例えば、継続していただければ確実に効果は出るので、躓きやすいところでモチベーションをアップさせるような動画を用意しています。
これを導入してからはお客様からも好評で休会率も低下し、悩みをなくすツールとして有用だと感じています。
また、NPSとあわせてサービスに関するアンケートも実施しています。
結果に対しては、NPSとの相関が高く満足いただけていないもの、お客様の上達実感に繋がるものから優先的に各部署、全社で対応をしています。
チームとして心掛けていることはありますか?
弊社は、ビジネスパーソンに最適な英会話サービスをオンラインで提供しています。
ゆえに、お客様のITリテラシーは総じて高い方が多く、お忙しい方が多いです。
そのような環境下のもと、エフォートレスにサービスを受けられるというCXを最優先で提供しています。
CS向上においては、何を提供するかと同じくらい、何を提供しないかの取捨選択も重要です。
例えばサポートであれば、電話や有人チャットでのサポートは提供していません。
その代わりにFAQやチャットボット、Web接客ツール等で、お客様が知りたい情報にすぐに辿り着ける環境を用意し、お問い合わせ自体をする必要がない環境を作っています。

このようにエフォートレスにサービスを利用できるという顧客体験を提供しています。
実際、エフォートレスであることがロイヤリティとも相関があるというデータが出ています。
不要なことをしたいため、リソースを他で使えるようになり改善のスピードを上げることにもつながります。
英語はライフスタイル

今後どのような取り組みをしていきたいですか?
質の高いトレーナーやカリキュラムによる高品質なレッスンという商品・サービスに、CXという価値を付加し続け、毎月払う金額に対してお客様の受取価値をどんどん大きくしていきたいと考えています。
そのためには、お客様の声を聴き続け、サービスを改善し続けるということを愚直に行っていきたいです。
CQOの伊藤が標榜するものに、「Don’t study English,live English(英語は勉強するものでなく、ライフスタイルである)」というものがあります。
これを当たり前にお客様に実現していただくためにも、それに見合うCXを提供し、ビジネスパーソンが英語を学ぶプラットフォームにしていく必要があります。
ビジネスパーソンが英語を身につけるならBizmatesをというサービスにするのが最終ゴールです。
編集後記
ビジネスシーンに特化したオンライン英会話のサブスクリプションサービスを提供する「Bizmates」の上北様にお話を伺いました。
問い合わせ内容やNPSの結果をもとに、お客様の声に耳を傾け続けて機能的価値と情緒的価値を満たすためのサービス改善を行っていることが伺えました。
その結果が低い休会率や顧客満足度につながっているのでしょう。
今後も、ビジネスシーンに特化したオンライン英会話を効果的に、より楽しいものとして広めていってくれるに違いありません。
上北様、お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。
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